●北陸本線旧線(有間川〜谷浜)
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涼しくなって、歩く事が辛くなくなった初秋。北陸本線の有間川駅付近の漁村を撮影した帰り、海沿いに谷浜駅まで歩いてみた。通行人も殆どいないのに立派な歩道が国道脇に整備されていた。北陸本線は海沿いの崖を長浜トンネルで貫いているが、国道と歩道は海沿いをトレースしていた。そして、歩道の先にはレンガ造りのトンネルが姿を現した。
トンネルを見て、ある確信が持てたのでその場でネットを検索。果たして、歩いていた歩道は旧北陸本線跡であり、トンネルは旧長浜トンネルである。北陸本線が電化複線化されるにあたり、海沿いの多くの区間で線路を付替えた。旧線の一部はこのように歩道や道路となって遺構が活用されていた。廃線といっても、路線そのものは残っているので悲壮感はない。
長浜トンネルは入り口こそレンガ造りの古い構造物であるが、内壁は新しいコンクリートで修繕されており、ジメジメした暗さは無かった。しかし、このトンネルはどれだけの人が利用しているのだろうか? トンネルの出口に近づくと真っ青な日本海が眼下に広がった。気分が高揚してくる。北陸本線旧線の運転台からもこのような光景を見る事が出来た筈だ。
谷浜の集落に入ってゆく。海水浴場があり、海岸沿いには民宿も見る事が出来る。里は稲刈りの真っ最中で、稲木干の準備も行われており、中には8段式の巨大なものまであった。刈取った稲の天日干しは、秋の風物詩でもあった。しかし、最近では機械干しが増えて、このような光景を見る事は少なくなってきている。
谷浜駅にやってきた。2面3線+側線まである大きな駅は、また同時に伝統も感じた。この区間は線路の付け替えは行われておらず、旧線時代から使われている。古い木造駅舎も風格があるが、残念な事に無人駅になってしまって久しい・・・・。街も、駅も、それなりに規模を感じるのであるが、利用客は1日に30名に満たないらしい。
有間川の駅を出て海沿いを歩く。広い歩道は、鉄道の廃線跡の証拠でもある。 ここを走る電車は、今では第三セクターのディーゼルカーになってしまっている。 そしてトンネルが現れる。かつての北陸本線に乗ったつもりで歩いた。 |
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トンネルを出ると谷浜の集落に到着。 稲刈りの真っ最中で、最近では少なくなった稲木干を見る事が出来た。 |
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海沿いには民宿が並ぶ。かつては、海水浴客を列車で運んだ時代もあったのだろうが、今は殆どいないだろう・・・。 2面3線の駅も大きすぎて持て余しているようだった。 |
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