●山形鉄道

作成日:2012年7月21日
    
訪れた日 2012年5月1日
 

1両のディーゼルカーは適度に乗客を乗せて満開の桜の米沢盆地をノンビリ走っていた。その姿が大きく変わったのは長井駅に到着した際だった。大勢の観光客がドッと押し寄せて座席は満席。方言で面白おかしくガイドする車掌さんも登場して、車内は笑い声で溢れた。それまでのノンビリした旅情は損なわれたが、活気に満ちた雰囲気も悪くない。

山形鉄道は、国鉄長井線を引き受けて出来た第三セクターである。JR奥羽本線の赤湯駅から荒砥駅を結ぶ30qのローカル線である。途中今泉駅でJR米坂線と接続している。ホームは別々であるが、線路は合流する。白川橋梁を共用する為と思われる。かつては両方とも国鉄。当時の名残を感じる。信号場で米坂線と分岐して主要駅である長井駅へ、観光客を乗せて終点荒砥駅に到着する。

沿線は桜がまさに満開だが、水田には手が入っていなかった。最初は放射能の影響かと思い暗い気持ちになったが、ガイドさんが、桜が終わったら田植えの準備をすると言っていたので安心した。

終点の荒砥駅では忍者や武士の格好をした人が乗客を出迎え、記念撮影などで盛り上がった後、殆どの乗客は観光バスに乗って次の目的地に向かっていった。改めてゆっくり駅を見学する。駅舎内には博物館のような展示スペースがあり、日本人形などが展示されていた。自転車を借りたかったが出払ってしまって、徒歩で観光できる場所を聞いて駅を出た。桜の名所巡りという訳だが、徒歩で行ける範囲は限られている。四季の郷駅まで歩き、下り荒砥行きをつかまえた。

荒砥駅で折り返して赤湯駅まで戻る。2両編成なのは、上記の通り、観光バスツアー客向けであるが、上り列車は一般客だけで、実質的に回送列車。車内はガラガラであった。これが日常の山形鉄道の姿なのだろう。色々な方法で増収を目指しており、名物社長のブログも有名である。道のりは楽ではないであろうが、頑張って欲しいものである。


山形新幹線が止まるホームの隣から出発する。宮内駅など、風情のある駅舎も多い。
用途廃止されたホーム跡にも桜、あやめ公園の桜には乗客が見入っていた。
終点の荒砥駅ではこのパフォーマンス。一般客の居場所がないような気分も・・・
奥の鉄橋は最上川橋梁。元東海道本線の木曽川鉄橋を流用したとか。1887年(明治20年)イギリス製で、日本最古の長大鉄橋との事である。
沿線の桜を見物して歩いた。ただし徒歩では限界があり、帰りの列車の都合もあって2箇所程度しか見れなかった。
映画スウィングガールズの舞台としてこの鉄道でロケされた事があった。2004年の青春映画である。1両がスウィングガールズ列車として運行されていた。車内には名場面や、出演者のサインも展示されていた。上野樹里も可愛かったなぁ・・・と懐かしく思う。映画の場面ではあるが、鉄道会社として、線路を歩くこのシーンを提示するのは如何なものか・・・。
                
一時期は、ロケ地巡りで大変な人出だったようだが、やがてブームが去り、あまり話題にならなくなった。NHK朝ドラ「私の青空」のロケ地の大間を訪れた際に感じたように、懐かしさというよりも寂しさを感じてしまう。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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