●由利高原鉄道
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無数の風鈴の音に迎えられて終点矢島駅に到着した。列車を降りると、売店のおばちゃんこと、有名な「まつこ」さんが桜茶のもてなしで乗客を迎えてくれる。折り返し列車まで時間があるので、観光地図を頂くが、この列車でやってきた数人の鉄道ファンたちは一緒に行動する事なく、バラバラで街に出て行った。
由利高原鉄道鳥海山ろく線は、秋田県由利本荘市の羽後本荘駅から矢島駅までの全長23kmの路線で、1985年(昭和60年)第三セクターとして誕生した元国鉄矢島線である。第三セクターの中でも特に経営が厳しいが、秋田おばこ姿の列車アテンダントが乗務するなどユニークな懸命な取り組みを行っている。当面の存続は決まったようだが、厳しい状況に変わりはない。運転本数はほぼ1時間間隔の14往復、相当頑張っている。
10人に満たない乗客は鉄道ファンばかり、途中駅の乗降も無く列車は淡々と田園地帯を行く。日本海側に暴風柵が設置されている事から、厳しい自然が想像されるが、今日は真夏の快晴。沿線風景は青々としてノンビリしたものだ。同じ東北でも日本海側のこの地区では、被災の爪あとを感じなかった。広大な平野を進んでいたが、序所に高度を上げて、終点の矢島では高原の様相を呈していた。
戻りの列車は「宇宙戦艦ヤマト号」。車内にはアニメの名場面が描かれていて思わず見入ってしまう。私の世代では懐かしい。八島駅発車の時間になると、「まつこ」さん以下3名が横断幕と小旗で列車を見送ってくれる。温かみを感じる鉄道である。この路線が未来も生き残る事ができるように祈った。
起点の羽後本庄駅で、手前の乗車目標はこの駅にやってくる特急列車用のものであるが、本数はかなり少ない。 | |
さすが米どころの秋田。水田の風景が広がる。 | |
途中駅の前郷駅で列車交換。 | |
清流子吉川に沿って進む。 | |
帰りは宇宙戦艦「ヤマト」号で | |
車内に掲示されている宇宙戦艦「ヤマト」の名場面は懐かしいが、この列車のメインの乗客である若い高校生は「ヤマト」を知っているだろうか。 | |
出迎えは桜茶のサービス、見送りは横断幕と小旗・・・・。みんな必死でこの鉄道を応援しているのだ。 |