●ウエスト・ハイランド鉄道@
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時刻表では今5時35分発の列車がある筈だった。しかしグラスコー駅の時刻表の始発は8時台だった。鉄道を利用した旅人にとって時刻表は基本中の基本である。これが当てにならないと旅行の工程も変わる。スカイ島に渡る計画は断念せざるをえない。
この日は晴れて欲しかった。憧れの風光明媚な高原列車の旅である。生憎の小雨模様・・・・。雨男なので仕方ない。3両編成のローカルディーゼルカーのボックス席を確保し、5時間の長旅に備えた。鉄道ファンには有名な、ハイランド・レイルウェイだが、乗客は疎らであった。車両も古びていて、クーラーも無い。走り始めれば、エンジンの唸りが響く。走行音が激しいわりには速度が上がらず、これは、まるで懐かしい、日本国鉄の古いディーゼルカーだ。キハ58とか、20とか、学生時代に乗りなれたローカル線の旅を思い出した。
街を抜けると、針葉樹など、北国の山中らしい風景が続く。北海道の山岳区間を行くような感じだ。途中駅には切り出した材木を積んだ貨車もあった。山小屋のような小さな駅に止まる度に、大きなザックを背負った本格的クライマー姿の乗客が乗降する。ウェスト・ハイランドは、本格的な山々が多い。ここでは、私のような軽装の旅人の方が似合わない気がする。
オーバンに向かう支線を分岐した後、1日4往復の閑散区間に入る。峠越えの山あいの車窓が激変し、いきなり広大に開けてきた。左手には広大な草原が広がり、線路が緩やかに高度を稼ぐために右へ、左へと緩やかな曲線を描いているのが遥か遠くまで見える。この高原の景色が、ウェスト・ハイランド鉄道の魅力なのだろう。この景色の前では、日本の狩勝峠も霞んでしまいそう。
このような人気のない大草原の駅でも、何故か乗降があり、車内は空いているが、ある一定の乗車率を維持しながら進む。車内販売もあり、美味しいコーヒーを飲みながら、ボックス席を確保して、絶景を眺められるのは幸せだなぁ・・・と思う。雲も時々切れ、緑の大地に、まだら模様の雲の影を映していた。
やがて下り坂に変わり、渓谷の車窓も見ることが出来た。峠、高原、渓谷、湖・・・・この鉄道には高原の景色が全て揃っている。グラスコーを出て3時間40分。深い入江の奥の港町、フォート・ウィリアムに到着。一息つきたいが、列車の旅はまだ続く。
グラスコー(クィーン)駅を出発 | |
途中駅の列車交換 | |
日本ではもう見られない、材木輸送も行われている | |
川沿いを走り | |
高原を走り | |
圧巻はこの景色(前方にこれから渡る橋梁が見える) | |
このまま晴れてくれれば・・・ |
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