BLUES BROTHERS 2000





 監督:ジョン・ランディス 主演:ダン・エイクロイド ジョン・グッドマン



 この映画を見た感想を一言で表せば「意外と楽しいじゃん」という感じだろうか。


 「ブルースブラザーズ 2000」はもちろん前作「ブルースブラザーズ」の正統な続編にあたる訳だが、私自身はブラザー・コン(バブルガム・ブラザーズ)やDJ赤坂泰彦のように前作にはそれほどの思い入れはない。
 そもそも一本を通してしっかりと見ていないのが実状である。
 そんな自分が見ても楽しいと感じるということは、前作が未見の全くの初心者でも楽しめるのではないかと思えた。特にロック、ブルーズ、R & B、ファンクそしてそれらを包み込む洋楽好きな者にとっては最高なミュージカル映画である。これはミュージカル嫌いな私にとっても画期的なことであった。

 この映画の主要なテーマはもちろん音楽であるが、その音楽はタイトル通りブルーズが中心である。(あえて”ブルース”ではなく”ブルーズ”と書かせていただく。)
 冒頭のダン・エイクロイド扮するエルウッドが18年の刑期を終え刑務所から出所してくるシーンでも手拍子が伴奏だけのブルーズが流れ、そのもの悲しさと馬鹿馬鹿しさに妙にマッチしていた。[このシーンを要約すると18年の刑期を終え出所したエルウッドは刑務所の前でお迎えが来るのを待っている。
 約束では相棒のジェイク(ご存じ、故ジョン・ベルーシ)が迎えに来ることになっているが、しかし日が落ち、夜になり朝が来てもいっこうに迎えは来ない。エルウッドはジェイクが亡くなったことを知らなかったのだ。それを哀れだと感じた刑務所長はエルウッドにそっと亡くなったことを知らせるのだった。「お気の毒に」と.....。--- このシーンは、前作のジェイクの出所をエルウッドが出迎えるという設定のパロディとなっているのだが ---]
 18年の月日はジェイクの死と共に、エルウッド、ジェイクの父親代わりである孤児院長カーティス(故キャブ・キャロウエイ)も亡くなりバンドも解散という悲しい現実をエルウッドに突きつける。
 彼はそんな中でも、恩師のシスターメアリーに会い今後の事を相談したり(ここでのやりとりが傑作。またここではミニブラザーズ”バスター”と出会うことになる。)足代わりに中古車(再び90年製のパトカーを)を購入したり(この中古車の店主がなんとBBキング)カーティスの隠し子である警察本部長ケーブルに会いに行って追い返されたりとするが、彼の望みは”バンド再結成”ひとつである。
 そんなバンド再結成第一歩はかってのバンドメンバーとの再会&活動再開のお願いの旅であった。エルウッドはこの旅の合間を縫ってかってのバンド仲間ウイリーが経営するストリップバーで働き始める。
 もちろん彼が務めるのはショーの合間のMCと歌だ。(そして、ここではもう一人のブラザーになるマイティマック(ジョン・グッドマン)がバーテンとして働いていたのである。)
 しかし、この店はロシアマフィアから脅されいわゆるシャバ代を取られており怒りを感じていたエルウッドはマイティマックと協力してこのロシアマフィアを懲らしめるのである。だがこれがマフィアの逆鱗にふれ、ストリップバーは破壊されエルウッド一行は追われるはめになる。彼らは追われながらもバンド活動再開の旅を続け、かってのメンバーを誘いルイジアナで行われるという勝ち抜きバンド合戦を目指すのだった。



 −とあらすじとしてこんな感じで単純明快であるが、ところどころで前回のギャグの踏襲やパロディ、そしてギネスに記録されたも言われる何十台ものパトカークラッシュもスケールアップしており大いに笑いを誘われた。
 また出演者も今回も豪華で、前回と同じジェームス牧師役のJ.Bことジェームス・ブラウンやミセスマーフィ役のアレサ・フランクリン、前述の中古車屋店主のB.Bキング、ドナルド”ダック”ダンらのブルーズブラザースバンドの面々はもちろん、サムックックの片割れサム・ムーア、ブルーズの超新星ジョニー・ラング、大御所ウイルソン・ピケット、ブルーズハープのジュニア・ウエルズなど音楽ファンにはたまらないキャストだ。
 しかし、その音楽ファンを狂喜乱舞させるのが勝ち抜きバンド合戦でブルーズブラザースバンドと対決する”ルイジアナ・ゲーター・ボーイズ”だろう。
 このバンドのメンバーは凄すぎる。B.Bキングを筆頭にボー・ディドリー、ココ・テイラー、ビリー・プレストン、ジミー・ヴォーン、ドクター・ジョン、スティーヴ・ウインウッド、エリック・クラプトン、ジェフ・バクスターなどと、もの凄い。多分グラミー賞でもこんなには集まらないだろう。それもみなノーギャラでの出演などとは信じられない。どちらにしてもブルーズに対するレスペクトを捧げた”偉大なるおバカ映画”は数あるこの手の映画の中では今でも金字塔であることを示してくれたと思える。


 PS:でも最後の最後に始まるジェームス・ブラウンの熱唱&パフォーマンスはやりすぎだろうな。





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