金星の太陽面通過

6月8日の午後、金星が太陽の前を通過する「金星の太陽面通過」が 130年ぶりに観測された。

この現象は、地球の内側の軌道を回る金星が、地球と太陽の間に来て、3つが一直線に並んだときに起こる。

太陽の表面を黒い点のように見える金星が約6時間かけて通過する。

午後2時11分に金星が太陽にかかり、最も太陽の中心に近づくのが午後5時14分、通過し終わるのは午後8時19分頃だが

東京の日没午後6時55分以降は見ることができない。

金星は 584日の周期で最も地球に近づき地球と金星が並ぶが、金星の公転軌道面が地球の軌道面に対して

約 3.4度傾いているので、地球と金星・太陽が一直線に並ぶのは両軌道面が交わる線上で、「地球−金星−太陽」と並ぶ場合【内合】

「地球−太陽−金星」と並ぶ場合
【外合】の2箇所だけとなります。

この金星の太陽面通過は、過去の記録から一定の周期(105→8→122→8年)で起こっており今年の

次は8年後の 2012年ですが、その次は 105年後となり頻繁に見ることのできない貴重な現象です。

前回の太陽面通過は 1874(明治7年)12月9日で、日本は金星の太陽面通過のはじめから終わりまで観測できる好条件の地であったので、

海外から観測隊が来ました。

恒星までの距離や宇宙全体の広がりを測るとき「天文単位(AU)」 という単位を使いますが、これは地球−太陽間の距離を 1AU としています。

1874年当時は 1AU が何qか正確に分かっていませんでした。ハレー彗星で有名なエドモンド・ハレーは、
『金星の太陽面通過を地上の各地で

観測すれば1AUを正確に求めることができる!』
ことを発見し、これに基づいてめったに起きない金星太陽面通過を機会に1AUを求めようと

各国が国の威信をかけて世界各地に観測隊を派遣しました。その派遣地の一つに日本が選ばれたのです。

フランスが長崎と神戸、アメリカが長崎、メキシコが横浜で観測したが、成功したのは天候に恵まれた神戸と横浜でした。

当時の観測を記念した
「金星太陽面通過 100周年記念碑」が百年後の 1974年に横浜の神奈川県青少年センターの前に建てられた。

金星の太陽面通過

日付

前回からの間隔

1631年12月 7日
 

1639年12月 4日

8年

1761年 6月 6日

121.5年

1769年 6月 3日

8年

1874年12月 9日

105.5年

1882年12月 6日

8年

2004年 6月 8日

121.5年

2012年 6月 6日

8年

2117年12月11日

105.5年

2125年12月 8日

8年

水星も太陽面通過を起こします。金星よりも太陽の近くを早く動いているため、水星の太陽面通過の頻度は多くなり、金星の太陽面通過が

243年に約4回であるのに対し、水星の太陽面通過は 100年で 13〜14回も起こりま
す。