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  神祇歌
 神祇歌は、神々への信仰や神社の縁起を詠んだ歌、神社の祭礼その他行事の歌、神の託宣の歌(神詠)などの総称である。日本
の神は日本の歌である和歌を愛しているという信仰のもと、神社に和歌や歌合を奉納する風習が盛んになるとともに、神祇歌も増
加した。神楽歌などの神事歌謡も神祇歌と密接な関係がある。

【新古今和歌集巻第十九】

大宰府天満宮   知しるらめや 今日けふの子この日ひの 姫小松ひめこまつ 生おひむ末すゑまで 榮さかゆべしとは
  なさけなく 折おる人ひとつらし わが宿やどの あるじ忘わすれぬ 梅うめの枝えだを
  捕陀落ふだらくの みなみの岸きしに 堂どうたてて いまぞ榮さかえむ 北きたのふじなみ
  夜よや寒さむき 衣ころもや薄うすき かたそぎの 行いきあひの間まより 霜しもや置をくらむ
  いかばかり 年としは経へぬとも 住すみの江えの 松まつぞふたたび 生おひ變かはりぬる
  むつまじと 君きみはしらなみ 瑞垣ずいがきの 久ひさしき世よより 祝いはい初そめてき
  人ひと知しれず 今いまや今いまやと ちはやぶる �~かみさぶるまで 君きみをこそ待まて
  道みちとほし 程ほどもはるかに 隔へだたれり 思おもひおこせよ われも忘わすれじ
  思おもふこと 身みにあまるまで なる瀧たきの しばしよどむを 何なに恨うらむらむ
  われ頼たのむ 人ひといたづらに なしはてば また雲くもわけて 昇のぼるばかりぞ
熊野大社   鏡かがみにも かげみたらしの 水みずの面もに うつるばかりの 心こころとを知しれ
  ありきつつ きつつ見みれども いさぎよき 人ひとのこころを われ忘わすれめや
  西にしの海うみ 立たつ白波しらなみの 上うえにして なに過すぐしらむ かりのこの世よを
  白波しらなみに 玉たまよりひめの 來こしことは なぎさやつひの とまりなるらむ
  ひさかたの 天あめの八重雲やえぐも ふりわけて 下くだりし君きみを われぞ迎むかへし
  飛とびかける あまの磐船いわぶね たづねてぞ 秋津洲あきつしまには 宮みやはじめける
  やまとかも 海うみにあらしの 西にし吹ふかば いずれの浦うらに 御船みふねつながむ
  置をく霜しもに 色いろもかはらぬ 榊葉さかきはの 香かをやは人ひとの とめて來きつらむ
  宮人みやびとの 摺すれるころもに ゆふだすき かけて心こころを 誰たれによすらむ
  �~風かみかぜや 御裳裾川みもすそがわの その上かみに 契ちぎりしことの すゑをたがふな
石清水八幡宮   契ちぎりありて 今日けふみや川がわの ゆふかづら 長ながき 世よまでも かけて頼たのまむ
  うれしさも あはれもいかに 答こたへまし 故里ふるさと人ひとに 訪とはれましかば
  �~風かみかぜや 五十鈴いすず川波かはなみ かず知しらず すむべき御代みよに またかへり來こむ
  ながめばや �~路かみぢの山やまに 雲くも消きえて ゆふべの空そらを 出いでむ月つきかげ
  �~風かみかぜやや とよみてぐらに 靡なびくしで かけてあふぐと いふも畏かしこし
  宮柱みやはしら したつ岩いわねに しきたてて つゆも曇くもらぬ 日ひの御影みかげかな
  �~路山かみぢやま 月つきさやかなる 誓ちかひありて 天あめの下したおば 照てらすなりけり
  さやかなる 鷲わしの高嶺たかねの 雲井くもゐより 影かげやはらぐる 月つきよみの森もり
  やはらぐる 光ひかりにあまる 影かげなれや 五十鈴いすず河原かはらの 秋あきの夜よの月つき
  立たちかへり 又またも見みまくの ほしきかな 御裳裾川みもすそがわの 瀬々せぜの白波しらなみ
宇佐神宮   �~風かみかぜや 五十鈴いすずの河かわの 宮みやばしら 幾いく千代ちよすめと たてはじめけむ
  �~風かみかぜや 玉串たまぐしの葉はを とりかざし 内外うちとのみやに 君きみをこそ 祀まつれ
  �~風かみかぜや 山田やまだの原はらの さかき葉ばに 心こころのしめを かけぬ日ひぞなき
  五十鈴川いすずがわ 空そらやまだきに 秋あきの聲こえ したつ岩いわねの 松まつのゆふかぜ
  ちはやぶる 香椎かしひの宮みやの 綾杉あやすぎは �~かみのみそぎに 立たてるなりけり
  榊葉さかきばに そのいふかひは なけれども �~かみに心こころを かけぬ間まぞなき
  年としを經へて 憂うき影かげをのみ みたらしの 變かはる世よもなき 身みをいかにせむ
  月つきさゆる みたらし川がわに 影かげ見みえて 氷こほりに摺すれる やまあゐの袖そで
  ゆふしでの 風かぜに亂みだるる 音おとさえて 庭にわしろたへに 雪ゆきぞつもれる
  君きみを祈いのる こころの色いろを 人ひと問とはば ただすの宮みやの あけの玉垣たまがき
伊勢神宮   跡あと垂たれし �~かみにあふいの なかりせば 何なにに頼たのみを かけてすぎまし
  大おおみ田たの うるほふばかり せきかけて いせきにおとせ 河上かはかみの�~かみ
  石川いしかわや せみの小河おがはの 清きよければ 月つきもながれを 尋たづねてぞすむ
  萬代よろづよを 祈いのりぞかくる ゆふだすき 春日かすがの山やまの 峯みねのあらしに
  今日けふまつる �~かみのこころや 靡なびくらむ しでに波なみ立たつ 佐保さほの川風かはかぜ
  あめの下した みかさの山やまの 蔭かげならで 頼たのむ方かたなき 身みとは知しらずや
  春日野かすがのの おどろの道みちの うもれみづ 未いまだに�~かみの しるしあらはせ
  千世ちよまでも 心こころしてふけ もみぢ葉ばを �~かみもをしほの 山やまおろしの風かぜ
  小鹽山おしほやま �~かみのしるしを まつの葉はに 契ちぎりりし色いろは かへるものかは
  やはらぐる 影かげぞふもとに 曇くもりなき 本もとのひかりは 峯みねに澄すめども
貴船神社   わがたのむ 七ななのやしろの 木綿襷ゆふだすき かけても六むつの 道みちにかへすな
  おしなべて 日吉ひよしの影かげは くもらぬに 涙なみだあやしき 昨日きのふけふかな
  もろ人びとの ねがひをみつの 濱風はまかぜに こころ涼すずしき しでの音おとかな
  覺さめぬれば 思おもひあはせて 音おとをぞ泣なく 心こころづくしの いにしへの夢ゆめ
  咲さきにほふ 花はなのけしきを 見みるからに �~かみの心こころぞ 空そらに知しらるる
  岩いはにすむ 苔こけふみならす み熊野くまのの 山やまのかひある 行ゆく末すえもがな
  熊野川くまのがは くだす早瀬はやせの みだれ棹ざを さすが見みなれぬ 浪なみのかよい路ぢ
  立たちのぼる 鹽屋しほやの煙けぶり うらかぜに 靡なびくを�~かみの こころともがな
  岩代いはしろの �~かみは知しるらむ しるべせよ たのむうき世よの 夢ゆめのゆく末すゑ
  契ちぎりあれば うれしきかかる 折おりに逢あひぬ 忘わするな�~かみも ゆく末すゑの空そら
香椎宮   年とし經ふとも 越こしの白山しらやま 忘わすれずは かしらの雪ゆきを あはれとも見みよ
  すみよしの 濱松はままつが枝ゑに 風かぜ吹ふ/rt>けば 浪なみの白木綿しらゆふ かけるまぞなき
  すみよしと 思おもひ宿やどは 荒あれにけり �~かみのしるしを まつとせし間まに
  榊葉さかきばの 霜しもうちはらひ かれずのみ 澄すめとぞ祈いのる �~かみのみまへに
  河社かはやしろ しのにをりはえ ほす衣ころも いかにほせばか 七日なぬかひざらむ

 
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