重慶軌道交通路線図
今回乗車するのは、重慶軌道交通2号線(較場口〜動物園 12.6km)である。最終的に2号線は、較場口〜新山村(約18.1km)が予定されている。この他、市内を東西に結ぶ1号線(鉄道系)や重慶国際空港を結ぶ3号線(モノレール)の建設も予定されており、今後の訪問が楽しみな都市である。
本日の仕事は9時からなので、早起きして6時過ぎに宿泊していた南方君悔ホテル(CARLTON HOTEL)を抜け出した。目指すは、袁家崗(YuanJiaGang)駅である。重慶は曇りの日が多いが、日本の鹿児島の緯度に相当するので、夏場は暑いと聞いていた。確かに今日は曇りであるが、夏真っ盛りとは思えないほど、気温は涼しく過ごしやすい。
約30分ほどで、袁家崗(YuanJiaGang)駅に到着。早速、コンコースに近寄ってみるが、シャッターが閉まっていた。時刻は6時30分を回り、朝日も差し込んでいる。既に路線バスは走り、人々の往来も激しくなっているのだが、モノレールの朝はまだ始まっていない。まだ、公共交通機関としては機能していないようである。しかし、ホームのLED表示の発車案内は、すでに稼働しており、動物園(DongWoYuan)方面は7:19発との表示がある。較場口(JiaoChangKou)方面の時刻は読めないが、シャッターが閉まっている状況から見て、すぐには動き出すことは無いと考えられる。いきなり出鼻をくじかれたが、30分以上まっても仕方ないので動物園(DongWoYuan)方面へ歩くこととする。 重慶市内の道路は車優先で、まっすぐ歩こうにも歩行者道路は上に下に階段だらけ。日本ではバリアフリーへの取り組みが始まっているが、重慶市内はそんなのお構いなしの状況である。それでも、10分ほどで、謝家湾(XieJiaWan)駅に到着した。まだ、先に進めそうである。 至る所で、ビルの建設が行われているが、足場に竹材を使っていると思われる中国独自の工事も見られる。楊家坪(YangJiaPing)駅につく頃には、朝の雑踏の中で、広場では太極拳をやっているグループも見受けられた。ここは、商業の中心地らしく、頭上のモノレールは、歩行者広場の上を走行する。次は終点の動物園(DongWoYuan)である。まだモノレールが動き出した気配もないので、一気に動物園まで歩くこととする。
途中で、較場口(JiaoChangKou)行きの始発電車とすれ違う。モノレールの朝もようやく始まったようである。7時10分頃、動物園(DongWoYuan)駅に到着。1時間以上歩いたり、走ったりしたので汗だくとなった。窓口で筆談により乗車券を購入。ホームに駆け上がると、発車のカウントダウンが始まっていた。 先頭車に乗り込み、かぶりつき席をゲットする。車内の乗客はちらほら。朝の通勤ラッシュ時間帯なので混雑しているかと思ったが、まだ試運転の要素が高いのか、まだ公共交通機関としての認知度は無いようである。7:17、定刻に動物園(DongWoYuan)駅を出発、較場口(JiaoChangKou)を目指す。 重慶は、揚子江沿いの都市である。比較的平坦な盆地のようなところだと思っていたが、実際には起伏の激しい都市である。この為、登坂能力が高く、急曲線走行可能な跨座式モノレールが都市交通の切り札として、中国で初めて採用されたそうである。路線の建設は1988年に決定。1994年に日本政府の円借款項目に入り、1999年に着工された。日本の日立製作所の技術協力を受けて建設が進み、車両や軌道の設計は大阪高速鉄道と同一設計になっている。このため、車両のスタイルは大阪高速鉄道でお馴染みであり、中国にいるとは思えない。唯一、右側通行であることが、少し違和感あるかな(笑) さて、モノレールは、あっという間に30分程かけて歩いた袁家崗(YuanJiaGang)駅に到着する。発展著しいだけあって、沿線には高層ビルの建築ラッシュである。日本だと、しっかりした足場が工事現場に築かれるが、中国では途中階から竹材で足場が組まれている。竹は柔軟性があるであろうが、強度的に不安を感じる。大丈夫なのだろうか? 袁家崗(YuanJiaGang)駅を過ぎると、線路は道路の真ん中に降り、トンネルに突入し、太平(Daping)駅に到着。この辺りは重慶の繁華街となるそうで、地上にはショッピングビルが多くある。
牛角沱(Niujiaotuo)を出るとモノレールは、嘉陵江大橋と交差します。嘉陵江大橋が既にあるのだから、我々の感覚だと、この橋を乗り越えるようにモノレール線が布設されるはずですが、嘉陵江大橋の支柱の間を巧みに掻き分けて、モノレールは進んでいきます。
日本では考えられない線路の布設であり、中国らしさを感じるところでもあります。
モノレールに乗ってみた感想ですが、日本だと朝ラッシュ時の時間帯ですが、車内の乗客の出入りはほとんど無く、公共交通機関として成り立っていくのか心配になりました。 地上に出てみましたが、人並みは思ったほどでもなく、まだ朝の気だるさが残った雰囲気だったので、まだ早朝の感覚だったのかもしれません。 コンコースに戻ってみれば、開業記念乗車券らしきものも展示されていました。記念に購入でもと考えましたが、モノレールの初乗り運賃2元(約30円)に対し、約100元(約1,500円)もすることから、購入は断念しました。帰りの乗車券は自動券売機で購入し、折り返しのモノレールに乗車し、袁家崗(YuanJiaGang)に戻ります。帰りも、利用客の姿はまばらでした。
袁家崗(YuanJiaGang)に到着後、地上に降りてみれば、路線バスには人が鈴なりで乗車。車も多く走っており、朝の賑わいが始まっていました。
乗車した時から、早5年。今では重慶の公共交通機関の一角としてモノレールは重要な役割を担っているようです。路線も動物園(DongWuYuan)から新山村(XinShanCun)まで延長され、一期線は全線開業しています。次に行く機会があれば、未乗区間に乗り、どのくらい利用されているか実際に確かめたいですね。ただし、タクシーは気をつけないと、メータを倒さずに値段を吹っかけて来る場面が多いので注意しないといけません。
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