慶州
雁鴨池(アナプチ)
|
韓国3日目。昨日に引き続き天気が良く、暑い
今日は慶州発11:20の江陵行き「ムグンファ号」に乗車して江陵へ向かう予定である。指定券はすでに入手済みであり、慌てることもないので出発時刻まで市内観光に出かけるとする。ガイドブックと相談の上、瞻星台(チョムソンデ)、半月城・石氷庫(パンウォルソン・ソビンゴ),雁鴨池(アナプチ)を巡ることにした。出来れば国立慶州博物館にも行きたかったが、歩きだから時間的余裕が無く断念した
これらの遺跡は新羅時代のもので、瞻星台は天文台、石氷庫は冷蔵庫、雁鴨池は古代王朝の離宮であり、しばし新羅時代の時代に想いをはわせた。7世紀の日本といえば奈良時代で律令国家の立ち上がりの時期であるが、朝鮮半島には、このような文化があったんだねぇ
ここから約20分かけて慶州駅に向かう。慶州駅前では、パレードが行われていて、車は大渋滞であった。もっとも、歩きの私には渋滞は関係ない(^^;;
駅前にある郵便局に入り、絵はがきを日本の知人に送付。たぶん、帰り着く頃には日本に着くことであろう。海外から、絵葉書を出すのもまた海外旅行の楽しみである
投函を済ませ、商店街をうろつき、お昼の候補を探す。ちょうど、角を入ったところで、海苔巻き製作の実演をしている店を発見。しばらく見入っていたが、辛みの効いた韓国の海苔巻きが食べたくなって、思わず購入。列車の中での食料とする
この海苔巻き、韓国の家庭では一般的に食べられているようで、飛ぶように売れていた
まだ、時間があったので、市場ものぞいてみる。しかし、市場には高麗人参の臭いが蔓延しており、随分ときつかった
このあたりは、高麗人参の産地らしいが、この臭いはたまらんなぁ。でも、こういう雰囲気がいかにも韓国らしい気がした。
ムグンファ号 慶州→江陵
江陵に到着したムグンファ号
|
慶州観光が終われば、今日のメインディッシュ、乗り鉄である
昨日、慶州駅で降りたときは地下道経由でホームと駅舎の間を行き来したのだが、今日は地下道が工事中で、駅員の誘導に従い、ホームの途中から、線路を横断してホームにたどり着く。プラットフォームの高さが10cmくらいしかない鉄道ならではの芸当だ
構内を見渡すと、石油輸送車が停まっている。標準軌だからか、日本の車両と比較すると2倍近く大きいように感じる。しばらくすると、ムグンファ号が、ほぼ定刻に到着。今日は定刻に運転されているようだ
ホームは低いがデッキは高いので、乗るのも一苦労である。「どっこいしょ」と乗り込めば、慶州でかなりの乗客が下車したのだが、車内は満席で立ち客も多かった。私の席にもおばさんが座っていたので、切符を示し退いてもらう。本来、ムグンファ号の座席は進行方向に向かって並んでいるものだが、3人連れの家族が相席であったため、席が向かい合わせにされていた。ひとまず遠慮がちに座る
昨日のトンイル号は安っぽい座席であったが、今日のムグンファ号のシートはリクライニングシートであった。さすがに特急の名に恥じない。車両も大きいので、2&2のシートピッチながら、新幹線のグリーン車と同様に、通路の幅も広い。そのため、混雑しているにも関わらず、車内販売のワゴンは余裕で行ききできていた。しかし、やはり座席を向かい合わせにすると、足下が狭い。この辺の構造は日本の列車も同様である
車窓には田園風景が広がる。田園風景を見ている限りは日本の風景と区別がつかない。ただ、ゆったりとした車内と車内の韓国語の響きだけが、韓国にいることを思い起こさせるのであった
時々、車内販売員が廻ってくる。車内販売の形態は日本と似ていて、ワゴンを押して、お菓子や、ドリンク(ビールもある)、つまみ類、弁当、アイスクリームの販売とある。ただ、異なるのは、販売員は男性で女性の販売員を全く見かけなかった
慶州で購入した海苔巻きを食べ一息つく。江陵まではまだ先は長い。相席の家族連れも食事を始める。広げたのは韓国式海苔巻きで、私にも食べるように勧める。旅の道中での楽しみでもあるのだが、お腹もいっぱいだったので遠慮した。しばらくして、ゆで卵を勧められる。ゆで卵1個ならば食べられるので、ご相伴にあずかる。
この家族連れとは、会話は通じなかったけど、楽しいひとときを過ごさせたいただきました。
慶州を発車したときは定刻だったのだが、途中の駅の交換待ちで、5分ほど遅れた14:00頃栄州に到着。ここから嶺東線に入る。
嶺東線
栄州から江陵への嶺東線は、韓国有数の山岳路線で、特に桶里−羅漢亭間の13.2キロの区間には、オメガループ線2箇所、興田,羅漢亭駅と2駅連続のスイッチバックがある鉄道ファンにはたまらない区間である
山越え区間のためか、途中の東海までは電化されている。江陵まで行く我がムグンファ号は、今まで牽引していたディーゼル機関車のままは変わりない。ここで、乗客がかなり入れ替わり、少し車内が空く。列車は5分程度の遅れを保ったまま栄州を発車。奉化、春陽、縣洞と停車する度に車内は空き、いつの間にか立ち客もいなくなった。
16時頃、10分程遅れて桶里(トンニ)に到着。いよいよ、待望の山岳路線の始まりである。と思ったら、いきなり下り始めた。
山岳路線と聞いていたので下り始めた瞬間は驚いたが、すぐに納得。今は無くなった横川−軽井沢間を軽井沢側から乗車したようなものなので、慶州からゆっくりと勾配を上っていたのである。
山を登る感触は味わえないが、右手眼下にはこれから走行する線路や交換列車の姿が見えたりと、峠の鉄道の雰囲気を堪能できる。相席の家族連れも、父親が娘にスイッチバックの説明を始めていた。まさか、鉄チャンじゃないよな(^^;;。
深浦里駅で韓国唯一の電車特急、東海発清涼里行きムングファ号と交換。行き止まりの興田駅に進入し、バックで羅漢亭(ナハンジョン)に向かう。
Ωループ 3段式スイッチバック
┌−┐ ┌−−−−○興田
| | | /
| | | / 羅漢亭
桶里○ | ○ ・−○−−→至東海
| └−┘深浦里
↓
至栄州
【桶里−羅漢亭間路線概略図】
|
羅漢亭駅のスイッチバックでは、一旦停止せずにいきなり前進をはじめる。日本では一時停止が原則なので驚く。羅漢亭駅ではトンイル号とすれ違う。このトンイル号は時刻表に乗っていないのだが、臨時列車だろうか?。
羅漢亭を過ぎれば、山岳路線の面影も薄れ、快調に走行する。相席の親子は次の道渓駅で下車していった。
順調に走っているようでも何故か遅れる韓国の鉄道。新基駅で動かなくなった。車内放送が流れるがさっぱりわからない。
状況からして、行き違いのための停車だろう。5分ほど待って、セマウル号がやってきた。ようやく発車したと思ったら、緊急停止がかかる。自動扉が開けられ、職員が列車のまわりを右往左往している。乗客の一部も列車から降り、何やら話し込んでいるが、韓国語のさっぱりわからない私には、緊急停止した原因はよくわからなかった。
雰囲気からして、線路の直前横断のようだ。10分以上停車したあとようやく走り始めた。全体で、30分は遅れている。
久しぶりに都会の風景が広がってきたなぁと思ったら、東海(トンゲ)であった。ここで、電化区間が終わり、また非電化区間に入る。海沿いのリゾート地を抜けるとまもなく江陵である。ムグンファ号は結局、25分ほど遅れて18:10頃、江陵に到着。駅の雰囲
気は稚内に似ていた。ここは、韓国で一番北の市である。
江陵(カンヌン)
江陵駅 右側に列車を待つ乗客の行列が見えます
|
江陵では、観光とかの予定はなく、20:40のムグンファ号でソウルに出る。このムグンファ号には寝台車も連結されている。この寝台車に乗るために、江陵に来たようなものである。
「その前に夕食を・・・」と思い町中を歩き回ってみる。何軒も食堂はあるものの、ハングル表記のメニューばかりで、英語併記、漢字併記メニューは影も形も無かった わずかに1件「日式」の看板を掲げるレストランを見かけたが、そんなもの食べてもつまらない。
「こういう場合は駅前の店に限る」と駅前に戻り、デカデカとハングル文字でメニュー表示している店に入った。英語が多少、通じることを期待したが、中学生くらいの若い女の子には英語も日本語も通じなかった(; ;)。
仕方ないので、壁に掲げられたメニューを適当に指さして注文するしかなかった。一体、何が出て来るのだろう?と、半分期待・半分不安な気分で料理が出るのを待つ。5分ほど待って出てきたのは、暑い季節なのに、体が熱くなりそうに真っ赤な色で湯気が立っていた「魚のチゲ鍋」であった(苦笑)。
汗をかきながらふうふうと食べる。辛いものは結構好きなのだが、真っ赤なだけあって、結構辛い。「口直しに・・・」と思っても、キムチしかない(苦笑)。
お陰で、白い御飯が真っ先に無くなった。口直しに、町へビールを買いに出かける。駅で列車の発車を待つ間、火照った体を冷やすべく飲み続けたのは云うまでもない。
ムグンファ号寝台車 江陵→清涼里
ムグンファ号の寝台車の様子
|
20時頃、あたりがようやく暗くなり始めた。待合室のベンチは、これから夜行列車に乗車する乗客?が多数集まってTVを見ているし、駅の切符売り場も長い行列が出来ていた。
私もこの行列に並んで「入場券(イプチャンクォン)」を購入する。入場券は300W(約42円)。日本ではほとんど見かけなくなった硬券で、安いので記念にもなる。
20時20分過ぎに改札が始まり、ムグンファ号への乗車が始まる。改札には大行列ができ、最後尾は駅舎を出て並んでいる。今日はこの列車のあと臨時列車も運転される。ソウルへ行くには、高速バスの方が断然速いのだが、結構乗車する乗客がいるものだと思う。
今日、私が持っているチケットは寝台車のチケットで、1号車である。江陵出発時点では1号車は一番最後尾、途中の栄州でスイッチバックし、先頭車に変わる。寝台車の車内にはいると、まず車掌の切符のチェックがあり、寝台が案内される。
寝台車は他の座席車と隔離され、チケットがないと入れないようになっていた。出入り口は1箇所のみなので、防犯対策なのだろうな?。
寝台車は通路をはさんでベットが進行方向に平行に2段配置された構造で、日本の解放式A寝台に似ている。
私のベットは下段で、背筋を曲げずに座れるぐらいの高さはあった。幅は日本の寝台よりも明らかに広く100cm以上ある。さすが標準軌の車両というべきか・・・。
もっとも、寝るだけだからスペース的には充分である。
値段は、乗車券が17,200W(約2,060円)に寝台料金が20,400W(約2,500円)。日本と比較すると随分と安いが、運賃に比較して寝台料金がべらぼうに高いためか、江陵発車時点では私の他に2人組の女性と3人だけであった。その後、停車するたびにポツポツと乗車がある。韓国の寝台車の利用率はこんなものであろうか?。
心地よい列車の走行リズムと疲れから、ベットに横になるとすぐ寝てい、羅漢亭−桶里間のスイッチバックや栄州の機関車交換にも気がつかなかった。
|