今日は、シドニー郊外のブルーマウンテンに足を運ぶ。ここに景勝地“スリーシスターズ”があり、最大斜度52度を誇るトロッコ列車(カトゥーンバーシーニックレールウェイ)もある。
本当はもう少し西に位置するジグザグ鉄道に足を運びたかったのだが平日なので断念した。ジグザグ鉄道はオーストラリアで著名な保存鉄道で、名前の通りジグザグ山を登るスイッチバックがあり、休日には蒸気機関車も運転されているのである。
何とか、足を運べないか検討したが、シドニーから片道3時間もかかるので時間的余裕が無く、泣く泣く断念したのである。しかし、今日訪れるトロッコは観光名所となっているが、それなりに楽しめそうである。
サーキュラーキー駅の自動券売機で、カトゥーンバーまでの往復乗車券を購入する。平日の9時以降と週末にシドニー郊外へ日帰りする場合、45%割引になる「オフ・ピーク割引」が適用され11.8豪ドル。随分と安くすんだ(^^)。
内回り電車でシドニー中央駅に出て、シティレールの環状線を完乗。シドニー中央駅で、次列車の発車を案内する発車案内板を見て、乗り場を探している間に9:56発のリスゴー行き電車は発車してしまい1時間弱の小休止となる。
長距離列車ホームだと、駅コンコースに自由に出入りできるが電車線ホームには自動改札が設置されているので外に出ることもままならないが、中距離電車は上野駅地上ホームのような櫛形ホームから発車するので、電車の観察は楽しい。
ふと隣の長距離列車のホームを見ると、「インディアン・パシフィック」のロゴを付けたステンレス客車が停車している。シドニーとオーストラリア西部の都市、パースを結ぶ長距離列車で、400キロ以上に及ぶ世界一長い直線区間を走ることで有名な列車である。今日が運転日になっていたのである。乗り遅れてラッキーだったかもしれない(^^)。
妻も「インディアン・パシフィック」編成を見て大喜びである。編成をチェックすると、なぜだか1両だけ「ザ・ガーン」のロゴの客車が混じっていた。「ザ・ガーン」はエアーズロックに近い中央部のノーザン・テリトリー州の都市、アリススプリングスと南オーストラリア州の州都、アデレードを結ぶ長距離列車である。
しばらくすると、近鉄のアーバンライナーに似た顔立ちの長距離列車が到着した。到着と同時に駅構内への通路が開放されたので、「インディアン・パシフィック」の近くに行ってみる。片面のホームに10数両の客車が停車して、先頭はホームから外れていたのだが、向かいのホームにも、片割れが停車していた。連結して30両近くの編成で走るらしく、ホーム入口にも乗車口を示す案内が掲示されていた。さすがは大陸、規模が違う。
10:56発のカトゥーンバー行き電車に乗り込む。この電車も総2階建て。かなり年数がたっているようでガタも来ているが、座り心地は良い。ブラックタウンまでは複々線で、シドニーの都市圏鉄道として利用されている様子を垣間見る。オーストラリアは鉄道不毛の地と思ったが、想像以上に発達していた。
この線はシドニーオリンピックのメイン会場へのアクセス鉄道として利用されるそうで、会場へのアクセス線も現在急ピッチで工事中である。また、シドニー国際空港へのアクセス線も建設中でシドニーの鉄道は便利になる。
ペンリッヒを過ぎると、住宅地もとぎれ景色もがらりと変わり、山岳路線の様相を見せる。線路も複線となるが、すれ違う電車も約30分毎となる。日中は1時間毎の運転だが、ラッシュ時は本数があるのだろう。
シドニーから約2時間でカトゥーンバー駅に到着。あいにく曇り空で肌寒かった。駅前のタクシー乗り場から、相乗りでエコーポイントに向かい、自然が造った奇岩「スリーシスターズ」を見る。続いて、お目当てのシーニックレールウェイの拠点があるバイオレットストリートに向かいたいが、市内を循環バスは行ったばかりだったので、歩くことにする。距離にして約1.5キロ程度である。
小雨が降りだしたが、20分ほどで、シーニックレールウェイの駅に到着。4.5豪ドルの往復乗車券を購入しトロッコ列車に乗り込む。乗車券は観光施設にしてはお粗末なレシートで、出発駅に戻ったときに回収された。
発車ベルが鳴り、トロッコ列車は降下を始める。標高差207mで、路線距離が310m、最大斜度52度という凄い乗り物である。スキー場の斜度35度でも凄い壁と感じるのに、それ以上の斜度がある。ほとんど崖を垂直に降りると思ってよい(^^;;。
手すりをしっかりと握っただけではダメで、足を踏ん張らないと身体が空中に放り出されそうであった。まさに、迫力世界一の鉄道だ(笑)。
崖下は、スリーシスターズの観光ポイントであるが、ブッシュウォーキングの起点ともなっている。雨上がりで濡れているので、ブッシュウォーキングはそこそこに、出発駅に戻る。
帰りは路線バスでカトゥーンバー駅に向かう。多少遅れてやってきたバスには小学生の一団が乗車しており騒々しかった。この路線バスは、こまめに住宅地をまわり大回りしながらカトゥーンバー駅に戻った。
15:29発のシドニー行き電車に乗り込む。シドニーまで約2時間。途中、スプリングウッド付近では怪しい機関庫を目撃し、14:00にシドニーを出発した「インディアン・パシフィック」号とすれ違った。この路線、アデレード、パースを結ぶ幹線の役割もしているのである。
シドニーに近づくにつれ、雨が激しくなってきた。電車は多少、遅れてシドニー中央駅に到着。電車を乗り継いでホテルに帰るのをあきらめ、有人改札で記念に切符を貰い改札を出る。
駅構内の本屋を覗くと、鉄道雑誌が何冊か出ていたので、記念に購入。実は、まだ中身を詳しく読んでいない。
大雨の中、タクシー乗り場は長蛇の列。15分くらい待ってタクシーでホテルに戻り、ブルーマウンテン行きの小旅行が終わると同時に楽しかったオーストラリアの旅も終わりである。
最後の夜もディナー豪勢に?、ホテル内の117レストランでワイン懐石料理(ツアーに含まれている)で締めくくったのであった。