三高歌集

行進歌

大正八年  三光桂生・横田栄治(補筆)作詞  小川 昇 作曲

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1
嗚呼青春の脈血に
希望の薫香混じては
想はひた湧く狂熱酒
健児が胸を環りては
眼は遠く永劫の
憧憬の的むかな


ああせいしゅんの みゃっけつに
きぼうのかおり こんじては
おもいはひたわく きょうねつしゅ
けんじがむねを めぐりては
まなこは とおくえいごうの
あこがれのまと のぞむかな

2
いざ我が選手さらば行け
義憤の勇士、自由の子
頑迷、固陋、暴虐の
コーランの國破るべく
唐紅の大旆を
さゝげて進む十字軍

いざわがせんしゅ さらばゆけ
ぎふんのゆうし じゆうのこ
がんめい ころう ぼうぎゃくの
こーらんのくに やぶるべく
からくれないの たいはいを
ささげてすすむ じゅうじぐん

3
高鳴る鼓紅蓮燃ゆ
自由の大旗風を捲き
白日動く鯨波
刀鎗響き弦唸り
鎧袖相搏ち手綱しめ
いざ敵壘を突かんかな

たかなるへいこ ぐれんもゆ
じゆうのたいき かぜをまき
はくじつ うごく ときのこえ
とうそうひびき げんうなり
がいしゅう あいうち たずなしめ
いざ てきるいを つかんかな

4
短剣何ぞ憂ふべき
一歩を之に加ふべし
長楯敵を防がずば
屍を曝せ其の上に
咄、此敵を破らずて
誰か自由を口にする

たんけんなんぞ うりょうべき
いっぽを これに くわうべし
ちょうじゅん てきをふせがずば
かばねをさらせ そのうえに
とつ このてきをやぶらずて
だれかじゆうをくちにする

エール
やーれやれグールマイタホイ
柏の葉柏の葉
柏の葉をブッとばせ
(繰り返し)

私の持っている三高歌集には作曲者名が「小川某」とあり、作詞者の名前といい、作曲者名といい首を傾げていた。「神陵史」などにも当たってみたが、資料が見られない。最近、海堀昶氏から『三高野球部史』の該当部分のコピーを頂いた。それによると作詞者三光桂生とは大正8年一部丁の津田騰三、これを一部丙横田栄治が補筆、また、作詞者小川某とは小川昇である。津田は三高相撲チームに属し、毎日新聞社主催の相撲大会で優勝している。小川は野球部に属しキャッチャーとして活躍したが、ピッチャーの小島栄が回想しているように文化面でも「達人」であった。この曲を作曲したときは東大在学中で、応援団の依頼に応じてこの名曲を作った。小川はこの他にも「野球部歌」(大正3年 加藤 謙作詞)、「行旅」(團 伊能作詞)、「行春哀歌」(矢野 峰人作詞;現在歌われているのは小川の作曲したものではない)を作曲している。私の在学した昭和20年代の三高でも行進歌はよく歌われた。現在の漢字制限では許されていない難しい漢字が並び漢文の訓読のような雰囲気なのだが、それでも何となく意味がはっきり分かる不思議な歌である。十字軍の故事になぞらえて烈々たる打倒一高の雰囲気が伝わってくる名歌である。最後に打倒一高のエールが高らかに歌われる。一高の校章は柏の葉であった。

東大OBで、一高玉杯会にも出席して一高の寮歌を歌っておられる埼玉県御在住の吉田 健彦氏から次のメールを頂いた。(2003.01.09)

、
    柏葉について
     一高の寮歌で、徽章の「柏葉」という言葉がよく出てきます。当然に「かしわば」
   と読むべきと思われるところでも、「はくよう」といいます。「行進歌・嗚呼青春
   の」のエール「やーれやれグールマイタホイ 柏の葉 柏の葉 柏の葉をブッとば
   せ」が、一高の学生にとって、よほど嫌だったことによるらしいですね。

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