20代初め、ギターを習って間もない頃、好きになった曲。 ギター演奏で聞いてからオリジナルはバイオリンの曲だと教えてもらったので、LPを買った。レコード店主お勧めのヨーゼフ・シゲティのLP。(今はもうなくなっている店だが、クラシック好きの店主で信頼のおける人だった。)ギターを習い始めた人があこがれる曲の定番は「禁じられた遊び」「アルハンブラの思い出」なんだけど、その上の曲として「シャコンヌ」がある。ダントツに難しく誰にでも弾けるとは限らない。ある初心者の人が「シャコンヌってどういうとこが難しいの?」って聞いた。その場にいた人(プロもアマも含め)みんな絶句。回答がみつからない。とりあえず私が「まず、譜が読めないですよ。」って返事するが、その人の頭には「???」がいっぱいだったろう。まあ、譜を見てギター持ったら意味がわかるよ。 というわけで「シャコンヌ」にあこがれていた私もなかなか譜読みに取りかかることができない。相当の覚悟と持続エネルギーを必要とすることがわかっているから。しかし、年齢はどんどん進んでいくし、体力も記憶力もどんどんなくなるし、手をこまねいている場合じゃないと決心する。練習に入る前にテキストの整備が必要。老眼かな?と思われる年代だったので楽譜を拡大する。フレーズごとに楽譜を切ってどんどん先へ進むのを防ぐ。(短いフレーズを確実にモノにしていくことを目標にした。)何人かの演奏を聴いて、どの音が必要か、どの音は省いてもいいか書き込む。ある程度自分の気持ちが固まってからギターを持つ。 50歳までには・・・と思ってた目標の年齢がどんどん近づいて来るが読譜が終わらない。ラストスパートをかけて誕生日までになんとか全曲奏破。できばえはともかく、目標達成。2001年。この年は私のギターを買って30年、大西門下になって20年という節目の年だったので、まだ自信はなかったが、楽譜を前に置いて発表会で演奏させていただいた。2002年。先生との約束で『全曲暗譜』で発表会で演奏。出来は・・・?そんなん聞かんといて〜。一生懸命弾いたよ!でも、一番好きな曲なので練習している時がしあわせ!何度でも聴けるもん! 「無伴奏『シャコンヌ』」という映画、ほとんど話題に上らないが、「シャコンヌ」好きの私にはバイブルというくらい大切な映画だ。ある場面で主人公が「弾き続けるんだ!!」と叫ぶ。弾き続ける・・・続ける・・・これだけが私にできること。
2003.3.1.
|