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ラ・バヤデール:ザハロワ、新国立劇場バレエ (2008.8.4)
NHKの芸術劇場で、今年5月に新国立劇場で上演された「ラ・バヤデール」の放送がありました。私はこの舞台を見に行けなかったのですが、放送で見ても、なかなか見応えがありました。
「ラ・バヤデール」の物語は他愛ないもの。舞台は古代インド。戦士ソロルは寺院の舞姫(バヤデール)ニキヤとひそかに愛し合い、結婚の誓いを立てていました。ソウルの主人ラジャはソロルを気に入り、娘ガムザッティの婿にしようとします。ソウルは、ラジャに逆らえず、ニキアを裏切り結婚を承諾してしまいます。婚約を祝う宴でニキヤは舞姫として悲しげに舞い、ソロルから贈られたという花かごを喜んで受け取るが、そこにはガムザッティの侍女が毒蛇を仕込まんでいました。ニキヤは毒蛇に咬まれて息絶えてしまいます。ニキヤを裏切った悔恨と絶望の淵に我が身を責め、彼女を失った悲しみに暮れるソロルに従者がアヘンを差し出します。幻覚の中でソロルはバヤデールたちのなかにニキヤを見出して、愛を誓います。
やがて寺院でソロルとガムザッティの結婚式が執り行われますが、ニキヤとの愛の誓いを破ったソロルに神が怒り、寺院が崩壊して全員死んでしまいます。
ニキヤ役のザハロワは、この世のものと思えないくらい美しい。
テレビですと細かい表情までよく観られるのですが、改めて、ザハロワは本当に美人だと思いました。
ただ、ニキアという役のイメージからは、チョッと違うように感じました。長い足が高々と上がって6時のポーズ。
ニキヤは舞姫なので、踊りが上手くなくてはならないので、いいのかなとも思わなくはないのですが、
ニキヤという役が、こんなに脚を高く上げてしまっていいのだろかとも思ってしまいます。
派手な踊りで、正にボリショイ風で、うまいけれど好きにはなれませんでした。
別の日に踊った本島美和さんが、感情表現はやや薄味でも、わざとらしさがない上品なニキヤだったと評判でしたので、本島さんのニキアを放送して欲しかった。
一方、ガムザッティの湯川麻美子さんは、とても好感を持てました。気が強く気位が高い反面、お姫様然とはせず、本当は気が弱いという感じを
うまく表現していました。「お願いソロルを私に譲って!!」という悲壮感も感じさせる上品な演技。婚約の場では、見せ場のイタリアン・フェッテは若干心もとないところがあり、グランフェッテもやや軸足がずれてきたものの、頑張って無難にこなしました。踊り終わってホッとした表情が実に美しかった。
「ラ・バヤデール」は照明の暗い場面の多い作品なので、テレビですと画面が暗くなっていて観づらいところが多く感じました。
影の王国のシーンは、市販のDVDでも暗いものが多いのですが、こんな暗い舞台をテレビの画面に再現するのは、ハイビジョンの高感度カメラでも、よほど難しいのでしょう。
ニキヤ:スヴェトラーナ・ザハロワ、ガムザッティ:湯川麻美子、ソロル:デニス・マトヴィエンコ
大僧正:ゲンナーディ・イリイン、王:逸見智彦、アイヤー:神部ゆみ子、マクダヴェヤ:吉本泰久
壷の踊り:真忠久美子、黄金の神像:八幡顕光、影の王国ソリスト:厚木三杏、川村真樹、丸尾孝子
作曲:レオン・ミンクス、振付:マリウス・プティパ、演出・改訂振付: 牧阿佐美
指揮:アリクセイ・バクラン、管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
2008年5月20日、新国立劇場オペラ劇場
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