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大病院にこそ、ISO9000を!!

 
単純なミスによる医療事故が増えています。
ごく最近では、京都大学病院で、53時間にわたり看護婦が蒸留水の替わりアルコールを人工呼吸器に入れ、患者が中毒死してしまいました。
最初に間違えた看護婦から6〜7人の看護婦が2時間おきに病室を巡回し同じ容器からアルコールを注入していました。約20回にわたり単純ミスを繰り返していたのです。
昨年、横浜国立大学病院では、看護婦が手術前に患者を取り違えてしまいました。
また、大阪赤十字病院では、研修医が抗ガン剤の点滴量を別の抗ガン剤と勘違いし8倍指示し、患者が副作用で死んでしまいました。
この他にもいくつかの事例が報告されていますが、実際はもっとあり、氷山の一角でしょう。
 
これらの事故で共通して言えることは、発端は看護婦さんなどによる単なるうっかりミス。でもそのミスを検知する機能が働いていないことです。
看護婦さんが行った行為を信じ込み、医師はそれをチェックしようとしない、またそれをチェックするプロセスを書いたマニュアルも存在しない、仮にあってもそれを使わないといったことが、今回の一連の事故を引き起こしています。
 
産業界では、ISO9000品質保証プログラムが普及しています。
仕事のプロセスをマニュアルとして記述し、それに従って行動することを義務付ける、これらが満たされていると判断された企業に対し、認定書を授与する、というものです。
もともと欧州のEU間での製品の品質を一定にするために始まったものですが、現在は世界中にひろまっており、品質保証の基準になっています。
最近では、町工場や小売店でも認証をとったという事例もあります。
 
ISO9000をとったからと言って、品質が大幅に上がるというのではありません。
手順をマニュアル化することにより、ミスや不良品の発生を防ぎ、一定の品質を確保しようというものです。
 
今回の医療事故に当てはめてみると、まず、マニュアルがなかった、また有る所でもマニュアル通りに行動していなかった、そして、行動結果をチェックする機能がなかった、といったISO9000の基本的な事項を満たしていないことがわかります。
 
大病院という分業された組織になればなるほど、それぞれのプロセスが大事です。
また、万一間違ったとしてもそれを発見できる仕組みが必要です。
今回の例のように、看護婦さんが薬を間違えたとしても、それを医師がチェックするプロセスが抜けていたのが問題なのです。看護婦さんだけを責められません。
 
私事になって恐縮ですが、私の息子も医師を目指しています。私がいつも言って聞かせているのは、「患者は医師が頼り。患者への誠意を忘れてはならない」ということです。でも、今回のような大病院の事故を見るに付け、これだけでは不十分。人を救うという仕事にと燃えている彼の気持ちに水をさすようですが「プロセスを大切にしなさい。チェックを怠るな」と言うことも言い聞かせる必要があるように思ってしまいます。
 
ISO9000は通産省が主管です。病院は厚生省ですからISO9000がそのまま医療分野に摘要はできないでしょう。でも、ミスをなくし作業の品質を落とさないようにするということは、産業分野でも医療分野でも同様に大切なことです。
ぜひ病院にもISO9000のような品質保証のプログラムを適用し、不幸な事故をなくしてもらいたいものです。
人は命を救ってもらうために病院に行くのです。それが病院のミスで殺されたのでは、死んでも死にきれないですよね。今後、このような事故がないことを願ってやみません。

 
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