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「瀕死の白鳥」:渡邉順子、2005年6月八王子いちょうホール         (2005/6/18)

アラベスクもアチチードも決めれなくて、見るからに下手な踊りなんです。こういう踊りを見ると私でも踊れるかも・・・と思う人も多くなると思います」。2005年6月、JUNさんこと渡邉順子が八王子のステージで「瀕死の白鳥」を踊った翌日、彼女から、こんなメールが届きました。「上手く踊れない人にも希望を与える『瀕死』になったと思います。今までの美しいJUNさんの瀕死のイメージをこれぐらい崩すのか!!と思われるかもしれません」と続いていました。ステージが思う通りいかなかったのか、「自分は、もうおしまいだ!!」と思いこみ、相当落ち込んでいる様子なのです。今まで幾度か彼女の踊りを見てきましたが、こんな渡邉順子は、初めてです。この日急用で彼女のステージに行けなかったのですが、よほど大きな失敗をしてしまったのでしょうか。衣装も新調し、意気込んで臨んだ舞台だっただけに、彼女は立ち直れるのだろうか、と心配でした。
一週間後、渡邉順子から、この日のDVDが届きました。すぐ再生してみたのですが、彼女が言うような「見るからに下手な踊り」というほどではなく、彼女の思い過ごしかなと思いました、前回より、幾らかふっくらした感じで、ほのかな色気も感じられて、新しいチュチュもよく似合って・・・・。でも、今回の渡邉順子、いつもより余裕がないように感じられました。出だしの部分、相当、堅くなっていたようで、表情はこわばっていて、出を待つ間に、震えが止まらなかったのでは・・・、と思ったほどでした。 そのせいか、ブーレにわずかな乱れが見えました。また彼女が言うように、バランスでの溜めが決まらず不十分でした。いつもなら、彼女は片足を挙げたところで、グッと堪えて「ハッと息を呑むバランス」となるところですが、粘れなかった。前半の3連続のアラベスク、支えの足のトゥが崩れて、上げた足がすぐ落ちてしまった。これに焦ったのか、2度目も失敗、3度目は何とか持ちこたえたものの、後半のアチチュードのバランスも、ポジションに入るのに戸惑った気配が感じられ、中途半端に。ファンの目で観ても???・・・でした。 渡邉順子は出演前に「去年とはまた一味違う『瀕死』、『元気に生きよう』と思う瀕死を舞います」と言っていました。この気負いが、緊張に繋がってしまったのかもしれませんが、「挑戦無ければ、進歩なし」、新しいものへ挑戦す気持ちは必要だと思います。 ラスト、力尽きて崩れ落ちるように横たわった渡邉順子・・・、ゼイゼイという苦しい吐息が聞こえるように大きく肩が上下していました。 額にうっすらと汗が光ったレベランスでは、落ち込んだ様子がありあり・・・、疲れきった表情に、笑顔はありませんでした。
今まで、渡邉順子は、舞台で十回以上も「瀕死の白鳥」を踊ってきました。彼女の踊りは、ゆっくりですが、着実に進歩しています。思い通りでなかった本番・・・、屈辱感、挫折感。「舞台には魔物が居る」というアダム・クーパーの言葉のように、11回目にして味わったステージの恐ろしさ。彼女は貴重な体験をしました。 「私もどんな瀕死を演じたのか、ゆっくり自分のビデオを見て、良い部分はこれからの踊りに役立てていきたいし、ここは・・やりすぎだったかな〜〜〜と思う部分は、もう少し若々しく踊ろうかと思います。」と彼女。一ヶ月後の「瀕死の白鳥」へ、復活をかけた渡邉順子の挑戦が始まります。

頑張れ、渡邉順子さん!!!!。



この感想をHPに載せるにあたり、渡邉順子さんに了解を求めたとき、彼女は次のように語っていました。 掲載させて頂きます。

本当に本番が終わった日は落ち込みました。 いつも「瀕死」を見てくれている方に今回の「瀕死」の出来をお話すると、 「それは上達したと言うことよ!!!」と言われました。やっと私も大人になったのかな〜〜〜と思ったりもしました。
7月の舞台はリチャード・クレイダーマンの音楽で「瀕死」を踊ろうと思っていま す。 この頃、やっと「瀕死」を踊る事が楽しく思えるようになりました。 どんな風に「瀕死」を踊ろうかと思えるようになったのです。 毎回、毎回、自分なりのアレンジで「瀕死」を踊れる余裕が出てきたようです。
やっと色気も出てきたようです。相当な遅咲きですが。 滲み出てくる色気と言うのは「芸」が磨かれてきた証だと思うのです。 芸人はやはり、舞台人としての色気が必要だと思うのです。やはり、長く踊りぬく事が大切だと思います。
11回目の「瀕死」は私にとって貴重な体験になりました。 これからも「瀕死」を踊りぬく覚悟で、修行に励みます。

JUNバレエスクール  渡邉順子
  
注)JUNさんの踊りの感想です。JUNさんのお許しを得て掲載させて頂きました。 画像・文とも無断で複写複製を禁じます。

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