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パリオペラ座のエトワール達による、バレエ「ジュエルズ(Jewels)」の映像があります。振付家ジョージ・バランシーンは、1947年に、パリ・オペラ座で、ビゼーの交響曲第1番を使った「水晶宮(Palais de Cristal)」を振り付けました。ダンサーは、華麗な第一楽章はルビーで赤、しっとりとした第二楽章はサファイアで青、活発な第三楽章はエメラルドで緑、第四楽章はクリスタルで白の衣装で踊ります。30年後の「ジュエルズ」を予見させる作品でした。
このバランシーンが、1967年にニューヨーク・シティ・バレエで初演したのが、「ジュエルズ」です。創作の発端は、「水晶宮(Palais de Cristal)」を振り付けた頃から、宝石の美しさに魅了されていたバランシーンがニューヨーク五番街の宝石店ヴァンクリフ&アーペルを訪れたことからだったそうです。「ジュエルズ」は、エメラルド、ルビー、ダイヤモンドの3つの宝石をイメージして、フォーレ、ストラヴィンスキー、チャイコフスキーという3人の作曲家の音楽によってバラエティ豊かな3幕仕立ての作品となりました。3つの幕はそれぞれ、バランシーンが愛した3つの国のバレエ文化へのオマージュ(賛辞)となっています。バランシーンは、1974年にパリ・オペラ座に「ジュエルズ」を持ち込み、ストラヴィンスキーの音楽の原題に即し「カプリッチョ」と題して初演しました。この後、バランシーンは、1976年まで定期的にパリ・オペラ座を訪れて、自作の指導にあたったそうです。「ジュエルズ」は、クラシック・バレエの美学にスピード感や大胆さなど現代的な要素を加えたバランシーン独自のスタイルが込められた魅力的な作品です。
第1幕<エメラルド>Emeraude
音楽:「ペレアスとメリザンド」「シャイロック」、作曲:G. フォーレ
フランスのロマンティック・バレエへのオマージュであり、緑のロマンチック・チュチュのクレールマリ・オスタが優雅に舞っていましたが、ただそれだけという感じ。
あまりインパクトが感じられませんでした。
第2幕<ルビー>Rubis
音楽:「ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ」、作曲:I. ストラヴィンスキー
バランシーンの活動拠点アメリカのバレエへのオマージュで、赤のミニ・スカートの衣裳のオーレリ・デュポンがダイナミックに踊ります。抜群の存在感と美しい踊りでした。
テクニックの安定性では、チョットと思わせる彼女ですが、飛び切りの美人で、ほのかに色気漂う肢体。このエトワールの華やかさをいつまでも保って欲しいものです。
第3幕<ダイヤモンド>Diamants
音楽:「交響曲第3番」、作曲:ピョートル・I. チャイコフスキー
バランシーンの故国ロシアのクラシック・バレエへのオマージュで、白のクラシック・チュチュのアニエス・ルテステュが格調高く華やかに踊っていて、彼女の独壇場といった感じ。
アニエスは、相当の上背なのですが、身体のコントロールが素晴らしく、本当にテクニックが安定していました。
初めのアダージョでは、相当緊張していたようで、表情が強ばっていた。背中には汗が滲んで・・・、懸命に踊る姿に感動でした。
(1)エメラルド:クレールマリ・オスタ、カデール・ベラルビ、レティシア・プジョル、
マチュー・ガニオ、エレオノラ・アバニャート、ノルウェン・ダニエル、
エマニュエル・ティボー
(2)ルビー:オーレリ・デュポン、アレッシオ・カルボネ、マリ・アニエス・ジロ
(3)ダイヤモンド:アニエス・ルテステュ、ジャン・ギョーム・バール、
イザベル・シアラヴォラ、エミリー・コゼット
【振付】ジョージ・バランシン、【衣装】クリスチャン・ラクロワ
【管弦楽】パリ・オペラ座管弦楽団、【指揮】ポール・コネリー
2005年9月パリ・オペラ座
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