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映画「くるみ割り人形」              (2005.1.9改)
“GEORGE BALANCHINE'S THE NUTCRACKER”

ニューヨーク・シティ・バレエ団()の出演のチャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」の映画があります。 毎年12月に、ニューヨークのリンカーン・センターでNYCBが公演している「くるみ割り人形」(振付はジョージ・バランシン)を スタジオに組んだセットで収録したものだそうです。原題は「ジョージ・バランシンの(振付による)くるみ割り人形」。
クリスマス・イブの夜にくるみ割り人形をもらった少女マリーは、その夜、人形が変身した王子様に魔法の島に連れられていきます。
王子役(くるみ割り人形)には人気子役スターのマコーレー・カルキンが扮し、ジョージ・ルーカスひきいるSFX集団ILMが特殊効果を担当、 踊りは、ニューヨーク・シティ・バレエ団というものです。マコーレ・カルキンは、主役というよりも、正直なところ邪魔な存在でした。 踊りの経験のない彼の存在が舞台では確実に浮いていました。
この映画、せりふがありません。俳優は、バレエと同様、マイムで表現します。ただ、場面の変わるところ等に、解説が入って、ストーリーがわかりやすくなっています。
結構面白い。子供向けの映画ですが、大人も十分楽しめます。特に、後半の雪の妖精たちの登場以降の本気バレエの部分だけが楽しめます。劇場の「くるみ割り人形」を見慣れたバレエファンでも、また別の面白さがあると思います。
 
バレエは、「プロットレス・バレエ」「目で見る音楽」といったバランシンの影響が強く出ています。
お目当ての金平糖の精はダーシーキスラーですが、彼女を観るだけでも価値があるというくらいです。 透けるような肌、小さい頭、すんなりと美しい身体のライン。
キスラーの踊りは、音符一つ一つに畳み込むようなポワントのテクニックが出色です。スピーディなテンポの中、軸を捕らえて1ミリもぶれないようなジャンプとポワントワークの連続で、床に踵をつけている時間がほとんどないと感じられるほど、爪先立ちを続けます。
ポワントワークは、女性ダンサーの魅力のひとつですが、このキスラーのこれは、この最たるものです。 彼女は、足首の間接がとてもやわらかいようで、足の甲のアーチが良く出て、足のラインが非常に美しいのです。 足裏をしなやかに使って重心を巧みにコントロールして、繊細な足さばきを披露しています。 相手役の王子はダミアン・ウーツェル。終盤近く、キスラーが90度後方に足を上げ、トゥの先で滑って、王子に10メートル近く引きずられていく場面があります。 キスラーは、ビクともしない安定感。大変な技術だと思います。アダージョ最後はフィッシュダイブ。弓なりになったキスラーの体をウーツェルがしっかりとホールドしましたv
なお、金平糖のパドドゥは、アダージョとコーダだけ。金平糖の精のバリエーションは、これ以前に、マリーを歓迎するところで、ロマンチックチュチュで踊られています。
また、アラブのコーヒーの踊りが妖艶で素敵です。中国のお茶の踊りでは堀内元さんが素晴らしい跳躍を見せています。
 
先にも申したように「大人も子供も楽しめるエンターテイメント」として完成されていて、さすが「ハリウッド(映画)とブロードウェイ(ミュージカル)とディズニー(おとぎ話)の国」の映画と思わせられます。いかにもアメリカ的な演出が楽しめる逸品でしょう。


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