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デンマーク・ロイヤル・バレエ「ナポリ」 (2001.12.16)
CS放送クラシカジャパンが、珍しいバレエを放送してくれました。「ナポリ」です。
現在私たちが観ているようなバレエは今から170年ほど前に生まれました。当時の作品の多くは失われ、「ジゼル」のような現存する作品も、後代にロシアで大幅に手を加えられているのですが、ブルノンヴィルの作品はほとんどそのままの形で残っていて、当時のバレエがどんなものだったのかを今に伝えています。その代表作が「ナポリ」です。デンマークはフランスと並んで最も古いバレエの伝統を誇っていますが、その基礎を築いたのがブルノンヴィルで、デンマーク人にとってバレエの神様とも言われているそうです。
彼がイタリアの陽気さに初めて接して作ったと言われ北欧の人間の感動が伝わってきます。
漁師の青年と恋人が小舟で海に出るが、嵐に遭い、男だけが生きて帰ってきて、村人たちの批難を浴びます。恋人の娘は海王に見初められ、妖精にされてしまったのです(第二幕はカプリ島の青の洞窟が舞台)。ふたたび海に漕ぎ出した青年は、聖母マリアの護符の力によって恋人を救い出します。ロマン主義時代の作品だけあって、海王やら妖精がでてくるものの、現世のリアリズム的描写のほうに重きが置かれています。
全3幕のバレエですが、日本ではめったに観る機会がありません。その意味でたいへん貴重な映像ですが、前半はひじょうに演劇的で、踊りが少なくやや退屈です。やはり踊りを中心にした第3幕が圧巻です。帰ってきた2人のカップルを祝う人々の踊りの洪水。パ・ド・シスの爽やかなこと。 この部分だけがしばしば独立して上演されます。
CS放送クラシカジャパンは、多くのバレエ作品を放送してくれます。今回の「ナポリ」やフォンティーンの「オンディーヌ」のような珍しいものもあり、有料放送で視聴料も高いのですが、それなりに番組は充実していると思います。
バレエ「ナポリ」
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル
音楽:エドヴァルト・ヘルステッド、ハンス・クリスチャン・ルンブイエ、
ホルガー・シモン・パウリ、ニールス・W・ガーデ
出演:リンダ・ヒンドバーグ(テレシナ)、アルネ・ヴィルムセン(ジェンナロ)
デンマーク王立バレエ団
指揮:ピーター・エルンスト・ラッセン、演奏:デンマーク王立管弦楽団
収録:コペンハーゲン王立劇場、1986年
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