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ラ・シルフィード:オレリー・デュポン、パリオペラ座  (2006.6.3改)

パリ・オペラ座バレエ団の「ラ・シルフィード」の映像があります。2004年7月に、ガルニエ宮で上演された公演の記録です。 「ラ・シルフィード」は、ロマンティック・バレエを代表する作品で、主人公の青年が妖精に魅せられたために破滅してしまう悲劇です。

主役は、オペラ座のエトワール、オレリー・デュポン。この公演の前、彼女は膝の怪我のため一年以上も舞台に立てませんでしたが、見事に復帰して、素敵なステージでした。 オレリーのシルフィードは、柔らかく丁寧な踊りで、空気の精そのものというような浮遊感がすばらしい。こんなに優雅で神秘的で透明で美しい妖精を、ここまで表現できる人は少ないと思います。 マイムも、とても愛らしく可憐で、情緒豊かな表現はまさにシルフィードでした。マチュー・ガニオによるリフトも、ふわっとあがるようで重さを感じさせません。 かって、川口ゆり子さんが、NHKのインタビューで、「チョット体を緩めるだけで、パートナーから『今日は重いね』と言われることもあります。男性の上に乗るのではなく、浮かんでいるように心がけます」と、 言っていましたが、デュポンもきっとそんな気持ちでマチューにリフトされていたのでしょう。終盤の魔法のスカーフで羽が落ちてしまうシーンでは、痛々しさが印象的でした。 全体を通して、オレリーの演技力が見事です。怪我のブランクがかえって彼女を大人にしたのかもしれません。
マチューは、当時まだ20才とのこと。収録直前にエトワールに昇進したばかりだったそうですが、キルトが良く似合っていて、優雅な身のこなし、ジャンプは軽々と美しく、 ちょっと頼りなさげな感じが、迷える青年らしくて、バレエの主人公ジェームスの役にぴったりと役にはまっているという感じです。
この二人のペア、背のバランスもよく息も合っていたと思います。この二人のペアが幻想的な世界を醸しだし、最高にロマンティックな気分に誘われました。
 
また、ユレルのエフィ、純粋で愛らしいく、エフィという役柄にピッタリの健気な演技でした。 スコットランド情緒ある踊りをパリ・オペラ座ならではの優雅な雰囲気で堪能できました。

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