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エスメラルダ〜ディアナとアクシオンのパ・ド・ドゥ:榊原弘子、久保宏一 (2007.12.1)
榊原弘子と久保宏一が踊った「ディアナとアクシオン」の映像があります。1994年の「青山バレエフェスティバル」の中の踊りです。このパ・ド・ドゥは、プーニのオリジナルにはなかったのですが、プティパ?が改編したとき、ディベルティスマンの一つとして挿入されたそうです。この踊りはバレエ「エスメラルダ」の中で、猟師のアクシオンと弓を手にした狩猟の女神ディアナとのパ・ド・ドゥで、女神の優しさ、勇壮な男性の対比が見所で、物語の本筋とは関係ありませんが、この方が有名になって、バレエコンサートでは主役によるエスメラルダとフェビュスのパ・ド・ドゥより踊られることが多いようです。
アダージョ、男性のバリアシオン、女性のバリアシオンそしてコーダと、典型的なパドドゥの形式をとった華麗な踊りです。
ディアナが弾みながら現れ、弓を引くように、腕と脚を鋭く開いてアラベスクをし、女神の威厳と輝きを誇示します。
続いて、野性的なアクシオンが、高いジャンプとともに登場します。
女性ダンサーは、技巧的なパや、アラベスクやアラベスク・パンシェの決めの美しさに加え、女神の気高さが求められ、男性ダンサーには、野性的な爆発力が求められます。
当時ベルギーのフランドールバレエで踊っていた
蒲原弘子は、どちらかというと丁寧でひかえめな踊りですが、ふっくらとした容姿でとても可愛らしく、パートナーのコロラドバレエの久保紘一さんのダイナミックな踊りと好対照で、とても楽しめました。
男性ダンサーには、バリエーションで高いジャンプなど高度な技術が要求されることに加え、アダージョでは女性を優しく支える繊細なも必要です。
久保宏一は、この双方に長けている素晴らしいダンサーだと思いました。バリエーションで高いジャンプと速い回転、そしてフィニッシュをピタリと決めて大きな拍手を誘いました。
榊原弘子、アダージョの出だしは、ジャンプが弾むように軽快。サポートの久保宏一を信頼仕切っているようで、伸び伸びと自分の持てる美しさを披露し、見せ場のアラベスクも180度まで足があがって華やかでした。
バリエーションも弓の使い方も上手で、とても可愛らしく、ピルエットからのフィニッシュもピシッと決まって、思わず笑みが零れました。
ただ、コーダのグラン・フェッテは苦しそう。序盤で、思い切ってダブルを加えた直後の回転で、回りきれず後ろ向きになってしまい、
「あわや?」と思いましたが、必死に立て直して最後まで回り続けたのは立派、感動しました。
小柄でふっくら可愛らしい榊原弘子と、勇壮でダイナミックながらもパートナーへの優しい気配りを感じさせる久保さんとの、
とても気のあった素敵な踊りを楽しめました。
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