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シンガポール航空機の事故の教訓 (2000.1104)
台北近郊の中正国際空港でシンガポール航空機が離陸直後に墜落し、70名以上の尊い命が奪われました。
事故原因は、事故機が誤って閉鎖中の滑走路に進入し、滑走開始後2メートル程離陸したとき、滑走路上にあった物体(パワーシャベル?)に衝突し、墜落したとされています。
つまり事故機は二本平行して走っている滑走路のうち、本来の左側の滑走路(05L)ではなく、修理工事のため閉鎖していた右側の滑走路(05R)に進入し、そのまま滑走したというものです。
事故機の後に続いていた中華航空機の機長らが、事故機が05Rに進入するのを目撃しているという報道もあります。事故機が誤って修理中の05Rに入ったのは間違いないでしょう。
ただ、これを単なる機長のミスと片づけて良いものでしょうか。疑問が残ります。
台湾・交通部(運輸省)民間航空局は、正しい滑走路に導く誘導看板や5Lの誘導灯などは正しく点灯していたとして、空港当局や管制塔のミスの可能性を否定しています。
しかし、本当にこれだけで済まして良いのでしょうか。
問題は、滑走路に入る直前、事故機のフーン・チー・コン機長は、管制塔から、「滑走路05L離陸可能」との連絡を受けたあと、「滑走路05L離陸可能」と正しく復唱し、「滑走路は、そう悪くない」「(エンジンを)ハイに入れる」と報告して、離陸を開始しているとのことです。
事故機の機長は、自分は、正しく05Lを滑走していると思いこんでいたと推定されます。人間、思いこんだら、その通り行動してしまいます。どんなに自動化が進んでも最後の判断は人間です。思いこみほど恐ろしいものはないのです。思いこみによるミスを未然に防ぐ、これが大切なことだと思います。
機長は、エンジンを全開して離陸するまで滑走路が違っていることに気づいていないようです。事前に気づかせる為の何か、つまり「気配り」が不足していたと思います。
新聞に掲載された事故時の滑走路の図を見る限り、05R滑走路の入口には何も置いてありません。滑走路の中間点あたりにパワーシャベルがあったようです。この時刻、台風20号の接近で、滑走路付近は風雨がとても強かったと聞いています。そんな中で機長は離陸を急いでいたのでしょう。05R滑走路を正しい滑走路と思いこんで入り込んでしまったとも考えられます。
もし05R滑走路の入口近くに車止めが置いてあったら、飛行機はこれにぶつかり、機長が気がついて滑走を止め、今回のような大事故にならなかったかもしれないのです。
今回の事故の直接の原因は、機長の思いこみによるミスに違いないでしょう。でも、ミスを未然に防止できなかった「気配りの欠如」に、本質的な原因があるように思います。
『チョットした「気配り」により、ミスを防止することができる』、逆に『チョットした「気配り」を忘れると、大事故をも引き起こしかねない』、今回の事故は、私達に、こんな教訓を示してくれているように思います。
事故時の滑走路(11/4朝日新聞より引用させて頂きました)
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