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くるみ割り人形:ウェスターン・バレエ 2014  (2015.1.16)
とても素敵な「くるみ割り人形」(全幕)の映像が、YouYubeに載っていました。 2014年12月5日のウェスターン・バレエの「くるみ割り人形」の録画で、これがKMVT15コミュニティで放映され、続いてYouTubeでも公開されたようです。()
劇場は、カリフォルニア州のマウンテンビュー・パフォーミングアーツセンターとなっています。()
ウェスターン・バレエ(Western Ballet)は、1976年に設立されたバレエ教室で、子供や10代の若者達にバレエを教えている非営利機関(A non-profit institution)とのことです。 この「くるみ割り人形」の舞台は、贅沢な装置や衣装を備え、それに有名なキャストという大バレエ団に見られるような豪華な公演ではなく至って簡素です。 でもそれがかえって品が良く爽やかでした。それに、何と言っても出演者達の熱意に打たれました。 主役はもちろんソリスト、コールドバレエの一人一人に至るまで、日頃からの練習の成果を披露しようと、頑張って、舞台を盛り上げようと一生懸命なのが伝わって来ました。 この映像では、カメラもダンサーの動きを良く追っていて、アップも多く、ダンサーの表情もよくわかります。
映像には全幕ですが、何と言っても金平糖のパドドゥが素晴らしい。 特に金平糖の精役のバレリーナの踊りには感動しました。 映像にはキャストの紹介はありませんが、おそらく他のバレエ団からの客演なのでしょう。 アダージョが始まって、パートナーの男性にエスコートされて舞台の中央に進んだこのバレリーナ。 最初のうちは、かなり緊張している様子。他のバレエ団からの客演だからこそ、出を待つ間に「失敗は許されない。でもミスしたらどうしよう」と、どんどん不安が高まってきたのでしょうか。 しかも金平糖のバドドゥは開幕から2時間近くたってから。長いこと出を待つプレッシャーは計り知れません。
パートナーの男性は、彼女のこの気持ちを察知したようで「心配しないで、僕がついているから大丈夫だよ。」と言うように、彼女の緊張を和らげようとて気遣っているのがわかりました。 こんな男性を心の支えにして、懸命にプレッシャーと戦っているバレリーナの姿に感動しました。 随所に男性を頼りきっている様子も伺えましたが、それが却って健気で可愛らしい。 終盤の見所のバランス。男性の手を離してタメるだけタメたほうがよいというアラベスクのポーズに、ハラハラ、ドキドキ。 歯を食いしばった険しい表情でグッと堪えてキープした姿の美しいこと。はっと息を呑みました。これぞ「不安定の安定のバランスの美」。 それまで、波を打ったような静寂に包まれていた観客席から、期せずして拍手が起きました。極限に近い緊張の中でもこんなに見事にバランスをキープできたのは流石。 素晴らしいバレリーナです。 フィニッシュでは、至難なフィッスダイブをピタリと決めました。踊り終わってのレヴェランス、ホッとした表情の彼女の背中にはうっすらと汗が光っていました。
続く、金平糖の精のヴァリエーションも美しかった。 丁寧で、かつ爽やかで、丹精こめた踊りに、うっとり見とれていました。 とろけるようなチェレスタの伴奏に乗って、柔らかく上品で、アラベスク、アティテュードのキープ力も伸びやかで、心温まる踊りでした。 お菓子の甘さに加えて女王様の威厳も要求されるこの金平糖の踊りですが、 純白のクラシックチュチュをエレガントに着こなしたこのバレリーナは、タメるべきところしっかりタメて、回るところは無理なくスムーズに回って・・・。 うっとりとして眼を離せませんでした。 アダージョの時よりは大分緊張が解けてきてたようでしたが、それでもヴァリエーショの最後まで表情の堅さは残っているようでした。 これがむしろ彼女の美しさを際立てているようで、難しい場面にさしかかった時に見せる険しい表情がなんとも魅力的。 健気に踊る姿は本当に可愛らしかった。 終盤、クルッと回った時、背中は汗が滲んでいました。軽快に踊っているように見えても、やはり相当重労働なんだなと、胸がジーンと熱くなりました。

最後のコーダ。彼女は、すっかり緊張が解けて笑顔が輝いていました。 踊るのか嬉しくてたまらないという感じ。 コーダでは、彼女は回転の美しさが際立っていました。男性に腰を支えられたピルエットがとてもスムーズなのです。 女性の回転が途中で止まりそうになり、男性が無理やり女性の腰を回す姿は見苦しいものですが、男性は軽く女性の腰に手を添えているだけなのに、このバレリーナは回転が全く止まらず、自然で美しかった。厳しい稽古の賜物でしょう。 最後はパートナーの男性に大きくリフトされたあと、ウェストを支えられてフィニッシュ。「終わった!!」と思わず白い歯を見せてこぼれた笑みが感動的でした。 大きな拍手の中、胸は大きく波打ち、汗が流れ落ち・・・、この二人、信頼しあったカップルという感じが微笑ましかった。 それぞれが、しっかりと役割を果たし、お互いを讃え合って、二人の表情は、大きな仕事を成し遂げた満足感に溢れていました。

それにしても、金平糖の精役のバレリーナが素敵です。顔から判断して日本人のようですが、手足が長く身体のバランスが綺麗で、伸びやかな爪先など日本人離れした優れたプロポーション。 病的なまでに痩せぎすのダンサーも見かけますが、この人の健康的で女性らしい体の線が魅力的。 こんな素敵な日本人ダンサーがアメリカで頑張っていると知って嬉しくなりました。どこのバレエ団所属の何というダンサーなのでしょう。 どなたか、このバレリーナについてご存知の方がおられたら、教えて下さると有り難いです。

Western Ballet's Nutcracker performed on December 5th, 2014.
This program was aired on KMVT15 Community Media. ()

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