1997年。10月。  この秋の改編で、「オールナイトニッポン(以下、ANN)」は、  大改編になっちゃいました。  月曜日2部を担当していた「TMレヴォリューション」の西川貴教クンが、  金曜日に移行。  笑福亭鶴光さん以来の1部2部ぶっつづけの4時間の「ANN」に、  挑戦することになった・・・。  そして、今回の「ANN」改編のもう1つの目玉は、  木曜日のANN第2部を「週替わり」にするというモノであった。  数年前、ANNでは、金曜日の2部を週替わりにしていたことがあった。  この週替わりのANNの特徴は、  パーソナリティが週替わりなだけではなく、  ディレクターも週替わりなことである・・・。
AD物語 第1部最終回 第34話
 1997年9月末。  ニッポン放送の編成部において、木曜日のANN第2部を、  「週替わりパーソナリティ」にすることが正式に決定。  この時は、  別にオレにゃかんけーねーや。  ・・・ぐらいにしか思ってなかったのだが、  「スーパーアニメガヒットTOP10」のチーフディレクター・神田さんに、  「ジュン君も企画書書いて、ANNやればいいじゃん。」  ・・・と言われ、急に「ディレクター」をやりたくなってきてしまった。  「でも、僕、前回の『週替わりANN』の時に出した企画書全部ボツでしたよ。」  「例えば、どんなの出したの?」  「2時間、ロボットアニメの主題歌かけまくりのANN。」  「・・・なにそれ。」  「やっぱダメっすか?」  「・・・。」  「・・・。」  「岩ちゃんとかで、ANNやればいいじゃん。」  「!」  なるほどね。「スーパーアニメガヒットTOP10」では、  局アナの荘口さんと2人で喋ってる「声優・岩男潤子」さん。  1人だけで、ANNをやるの、意外に面白いかもなあ。  ・・・で、そんなおり、ANNのチーフディレクター・近藤さんから、  『ANNのパーソナリティからリスナーへの残暑見舞いのハガキ』を、  ワープロで作って欲しい・・・という依頼が来た。  僕はEVAのアスカよろしく、心の中で、  ちゃ〜んす!  ・・・とつぶやきながら、近藤さんに交換条件を出した。  「作りましょう作りましょう。そのかわり・・・」  「そのかわり・・・なに?」  「週替わりのANN、岩男潤子で1回やらして下さい。」  「岩男潤子? ああ、いいんじゃない? やんなやんな。」  「やっちゃっていいですかね?」  「やっちゃえ、やっちゃえ」  ・・・なんか、ひどくエロなトークであるが、  こうして、企画書も書かないうちに、岩男潤子のANNは決まってしまった。    さて、ニッポン放送内だけで企画が決まっても、  当の岩男潤子さんのスケジュールをおさえなきゃ話にならない。  結構いそがしいらしいからなぁ。  スケジュール、なかなか出ないだろうなぁ。  ま、とりあえず、マネージャーさんに電話してみるか・・・、  「もしもし、あ、アニメガのコバジュンですが。」  ・・・どういう電話のかけ方してんだ?  普通の会社なら間違いなく上司にぶっとばされるな。  「あの〜、10月に岩ちゃんでANNできそうなんすけど。」  『あら。』  「スケジュールっていただけないっすか?」  『ホントにやらせていただけるんですか?』  「・・・はあ。」  『ありがとうございます!』  「・・・はあ。」  『よろしくおねがいします!』  「・・・はあ。」  『じゃ、そういうことで。』  「・・・はあ。」  ・・・なんか、スケジュール取れちゃったみたいだな。  ・・・なんか、トントン拍子で話がすすんでない?  再び、ANNチーフディレクターの近藤さんのとこに報告に行く。  「なんか、スケジュール、取れちゃったんですけど。」  「あ、そう。じゃ、10月23日ね。」  おい!  日にちまで決まっちゃったんかい!  「あの〜、10月23日って・・・」  「あ、他の日、みんなすでにおさえられちゃっててね。」  「あの〜、その日って・・・もしかするってぇと・・・」  「そう、レイティング」  なんだとー!  レイティングにボクなんかがディレクターやっていいのかぁ?  レイティングって大事なんじゃないのか?  聴取率が出ちゃうんだぞ。  どーしよー。
 半分シャレのつもりで進めてた話が、  急に現実的になって、両肩にのしかかってきた。  こりゃ、本腰据えてやんなきゃな〜。  とりあえず、スタッフをかき集めなきゃな〜。  まずは、AD。こりゃ問題なかろう。  ボクがディレクターをやる以上、ADを頼むのはヤツしかいない。  ・・・そう。  残酷シリーズ副監督/稲垣ノリユキ!  まず1人決定ね。  ミキサーはサウンドマンの  凄腕/井折ヨシオ!  多分、生歌コーナーとかやることになるんだろうけど、  井折さんなら、絶対的安心感がありましゅ。  これで、2人決定ね。  あとは、放送作家かあ。  スタジオ内の作家とFAX整理作家の2人必要だろうな。  ま、1人はアニメガのスタッフの方がいいだろな。  岩ちゃんが顔見知りの方が落ち着くだろうからね。  てなことで、FAX整理係は、岩ちゃんの食べかけのお弁当を下取ることで有名な、  アニメガ/天野シンヤ!  これで、3人決定。  あと1人。スタジオ内で岩ちゃんへの指示を出せる作家・・・。  ANNで放送作家をしたことのある人物で、  ボクが安心して作家をまかせられる人物・・・。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  誰かいないかな。  ・・・・いた!  脳裏に浮かぶ、あの笑顔!  彼いわく「1本で、ネクスト1mgの24本分のタールを摂取できる」という、  日本が生産するタバコの中で最強最悪な「ピース(タール24mg)」を、  1日3箱も吸う男。  「山本シュウのANN」「KYOYAのANN」の放送作家を担当。  なにより「日本大学芸術学部放送学科」の後輩という絶対的安心感があるアイツしかいない!  鈴木ヒロミツ顔/正岡ケンイチロウ!  よっしゃよっしゃ。早速、正岡に電話だ。  「もしもし? オレ様だが。」  『あ、どもども。お久しぶりっす!』  だから・・・どういう電話のかけ方してんだ?  普通の会社なら間違いなく上司にけっとばされてるって。  「あのさ〜、今度オールナイトやるんだけど、作家やらない?」  『あ、いいっすよ。』  契約成立!
 さあ、スタッフはそろった。  いよいよ放送内容について考えよう!  さーて、なーにやろうかなー。  「少コミナイト」でも「アニメガ」でも出ない「岩男潤子」像を出してあげたいよな。  てなことで、過去3ヶ月分の「アニメガ」と「少コミナイト」のカセットテープを聞き直す。  ・・・で、基本方針2つを決定。  ニッポン放送の「アニメガ」では、荘口アナとの二人喋りだよね。  そういや、ニッポン放送で岩ちゃんの1人喋りって聞いたことないよなぁ。  ・・・てなことで、1コ目、 「岩男潤子以外の声を出さない!」  次に文化放送の「少コミナイト」を聞いて、思ったこと。  「少コミナイト」は何故か、「です・ます」調で喋ってるんだよなぁ。  「です・ます」調って、なんか、他人行儀に聞こえるよなぁ。  「です・ます」調で喋る番組、好きじゃないんだよなぁ。  ・・・てなことで、2コ目、 「『です・ます』調、禁止!」  と、まあ、基本方針も決定。  で、次に、番組のテーマを決めとこう。  レギュラーのANNとは違い、1回こっきりのANNの場合、  番組のテーマを1つ決めておいた方が、  番組全体のまとまり感が出るんだよね。  岩ちゃんのANNで、テーマにするには何がふさわしいか。  ・・・。  お、そういや、岩ちゃんは、インターネットで「日記」を書いてるじゃないか!  ・・・「日記」って、番組テーマにならないかなあ。  たとえば・・・その放送当日、  つまり10月23日のリスナーのFAXとか募集したら結構面白いし、  みんなで同じ時間を共有してる感じがあっていいんじゃないかなあ。  『普段日記を書かない人も今日だけは書いてみて!』って感じでね。  いいじゃん、いいじゃん!  あとは「アニメガ」でおなじみの「悪男づん子」のコーナー作って・・・。  ・・・と、トントン拍子で番組のベースはできあがっていく。  10月入ってすぐの頃には、すでに番組の大まかな形は、  ボクの頭の中に作られちゃってたのね。  放送日までまだ20日以上あるじゃん。  余裕じゃん。  楽勝じゃん。  完璧じゃん。  と・こ・ろ・が・・・・、
 10月7日(火)に岩ちゃんのマネージャーさんから、電話がありまして、  「岩男が、今度のANNで『好きな人』の話をしたいと思ってるらしいんですよ。」 「なんだとぉ!」  岩ちゃんの『好きな人』の話っていうのは前から聞いて知ってたんだけど、  それを発表する場っていうのは、  レギュラー番組の「アニメガ」か「少コミナイト」だと思ってたわけよ。  今回のANNは思いっきり「イレギュラー」なんだよ?  そんな場で、そんな大事な話をしていいのか?  お気楽極楽番組ならお手のものなのだが、  そーゆー「ヘヴィ」なもんは苦手なのね、ボクは。  さあ、困った。  どうしよう・・・。  どうやって発表させてあげたらいいんだろう・・・。  ・・・悩む悩む・・・。  こりゃ、岩ちゃんといっぱいお話をした方がいいな。  ・・・てなことで、打ち合わせをかねて「焼き肉」を食べにいく。  こんな深刻な(?)事態なのに、  なぜ「焼き肉」なんだ?  ま、でも、この「焼き肉の会」で、  岩ちゃんといろいろとお話しすることで、  岩ちゃんのいろんな「気持ち」を知ることができました。  ずっといっしょにお仕事してても、  こうやってお友達のようにお話しするコトって、  なかなかないんだよね・・・。
 さあ、ANNのオンエアまであと1週間。  「Qシート」と呼ばれる「番組進行表」と、  最終的な演出プランを、  構成の正岡クン・天野クンや副監督の稲垣クンとともにまとめ上げる。  <演出プラン1>  ANN1部のナインティナインへの挨拶  岩男潤子を本番前にたった1人でナイナイのもとに挨拶に行かせる。  本番前に一度、緊張状態を作ることで、  本番のテンションを高める・・・という利点と、  「ナイナイに挨拶をしてきた」・・・というネタ作りができる利点、  さらにナイナイが岩男潤子に興味を示せば、  「このあとの2部も聞いて下さいね。」・・・とANN1部から2部への  「連携」が出来上がり、ナイナイファンの数字も取れる・・という利点  以上3つの利点による。  サウンドマンの加藤Dがよく使う手法。  <演出プラン2>  3時の時報とともに「月夜の星空」をかける  「月夜の星空」は、かつて「ナインティナインのANN」の  エンディングテーマだった。  3時のド頭でこの曲をかけつつナイナイに挨拶に行った話をすることで、  これまた、ナイナイファンの数字もいただこうという作戦。  かつて、寺内Dが使った手法。  <演出プラン3>  1曲目をワザと間違える  1曲目にかける「おひさま」という岩男潤子の曲を、わざとかけまちがえる。  もちろん本人にはナイショで。  これは、本番直後のパーソナリティの緊張を解きほぐすためと、  パーソナリティの曲を何度も曲紹介できるため、  初めてのリスナーにも曲名を覚えてもらえるという利点がある。  これも加藤Dがよく使う手法。  <演出プラン4>  岩男潤子の今日の日記  エンディングテーマのビタースイートサンバを通常よりも早く終わらせ、  その後に岩男潤子に「今日の日記」を読ませる。  これはアニメガの神田Dがよく使う手法。  「緒方恵美のANN」でも似たような演出が使われた。  <演出プラン5>  アニメガ、少コミのパロディ番組の作成  岩男潤子の裏キャラ「悪男づん子」を番組に出すのは早い段階から決まっていたが、  どのように使うかが、問題であった。  最初、悪男づん子がお台場海浜公園で「中継」を行い、  カップルに「突撃インタビュー」をするというアイデアもあったが、  『岩男潤子以外の声を出さない』というコンセプトに反するため、  パロディ番組の作成・・・という形に落ち着いた。  「リスナーと電話で話したい」・・・という岩男潤子の希望もあったが、  これも『岩男潤子以外の声を出さない』というコンセプトに反するため、却下。
 こうしてできあがったのが、下の「Qシート」・・・「番組進行表」です。  実際に番組で使ったモノと全く同じです。  一部、オンエアされたモノとコーナーの位置が違っていますが、  それは、オンエアの段階で、急遽入れ替えられたためです。
岩男潤子のオールナイトニッポン 今日のテーマ「普段日記を書かない人も今日だけは書いてみてね」
97年10月23日(木)
3時台 : 4時台   
*BGM「月夜の星空」〜                
*ご挨拶!〜ナイナイに挨拶してきた話など
*タイトルコール                      
*TM〜                            
*改めてご挨拶                      
*今の気持ち/ANNに対する思い入れなど   
 
M お ひ さ ま / 岩男潤子  
*ハガキで募集した「最高の1日/最低の1日     
 
*自分の想い出に照らしたりなんかしつつ
 
 
 
 
M 海の時間 / 谷山浩子

*改めてご挨拶
 
*今日のFAXテーマ発表
 
*FAX受付スタート!
 
*前もって受けつけたハガキを元にトーク
 
M 優しさに包まれたなら/荒井由実
*FAX紹介(ほのぼの系)
 
 
 
*テンポよく!
 
 
*募集したハガキ紹介 
 
*自分の想い出に照らしたりなんかしつつ
 
*6〜7枚くらいハガキ紹介 
 
<完 パ ケ> 悪男づん子の レディコミナイト  
*FAX紹介(おもしろおかしい系)
 
*テンポよく!
 
*改めてFAX番号紹介
 
M J.BOY / 浜田省吾
*FAX紹介(ちょっとじっくり系)
 
*じっくり感想述べつつ
 
 
M 夢の子供 / LOOK
<完 パ ケ>


悪男づん子
in
ウルトラアニギガ64

*ええ話やなぁ的FAX1枚紹介
 
*・・・感想あって
 
*好きな人のお話
 
*今日聞いてくれているみんなへのプレゼント
 
生M  ここにいるよ / 岩男潤子
 
*岩男潤子からのお知らせあれこれ
 
 
 
 
 
 
*クッション(FAX締め切りなど)
 
 
 
 
 
*ジングル〜後TM F.I.〜
*今日の感想あれこれ
*最後の決め言葉 〜 明日も晴れるといいね』  
 
*後TM完奏後 オルゴールビタースウィート〜
*岩男潤子の今日の日記
*ビタースウィート UP〜FO
   受け付けFAX番号は、     (東京)03(5500)0707(必ずくり返し)    「東京03地区以外に住んでいる人は頭の03を忘れずに!」    「深夜なので、くれぐれもかけ間違えの無いように!」
 さあ、いよいよ放送前日、10月22日。  準備は全て整った。  ただ1つ、  『岩男潤子に好きな人がいる』ことの発表  ・・・を本当にしてもいいのか?  という疑問はどうしても消えなかった。  連日、何度も何度もこの疑問が頭をかすめた。  「レイティング」ということを考えれば、こんなにキャッチーな「特ダネ」はない。  だが・・・。  この発表によって、  「岩男潤子ファン」は少なからず「ショック」を受けるであろうし、  当の岩男潤子が危惧しているように、    「もう岩男潤子ファンやぁめた。」  ・・・という者も出てくるかもしれない。  果たしてそんなことを、ボクが自らの手でしていいモノなのだろうか・・。  いつの間にか「岩男潤子ファン」になってしまっていたボクが、  同じ「岩男潤子ファン」の気持ちを断ち切ることになってしまうかもしれない。  本当にそんなことをしてもいいのだろうか?  悩むたびに胃が痛い。  まーじでつれー。  ニッポン放送のディレクターさんたちも、  「大丈夫? やばい顔してるよ?」  と心配してくれるが、  全然、大丈夫じゃねぇ。  結局、この疑問は、放送当日になっても消えることはなかった。
 明けて、10月23日・木曜日。放送当日。  ちょっとだけすっきりした気持ちで、第1会議室に向かう。  結局、「『岩男潤子に好きな人がいる』ことの発表」が、  本当にいいことなのか悪いことなのかの判断はつかなかった。  でも、その発表が本人の希望である以上、  いつかは発表してしまうことなのだとしたら、  それをどこかのラジオ番組で岩男潤子が言ってしまうんだとしたら、  その番組のディレクターが、  神田さんであれ、田所クンであれ、おたささであれ、三河屋さんであれ・・・、  誰であっても、ボクはきっと「後悔」し「嫉妬」するだろう。  「何故、あのとき『ボク』のANNで発表させなかったのだろうか。」  ・・・と。  それならば・・・。  今日、この『ボク』の番組で発表してもらう方がいい。  ・・・そう思ったら、ちょっとだけ気が楽になった。  結局、ボクは「最終的な決断」を、「ボクの都合」で決めちゃいました。  最悪ですな。  ま、いいか。  所詮ボクは、残酷ディレクターだから。
 21:00 スタッフ、第1会議室に集合  22:00 岩男潤子入り  22:30 悪男づん子「アニギガ」「レディコミ」録音  23:40 岩男「ゲルゲットショッキングセンター」出演  23:50 会議室にて打ち合わせ開始  24:45 岩男、ナイナイに挨拶  26:00 1スタへ移動        キーボード調整・生唄練習  26:20 ジングル作成  26:30 最終打ち合わせ  27:00 番組開始  そして・・・、  28:40 岩男潤子、好きな人がいることの発表。        ここまでずっと鳴りっぱなしだったFAXがぴたりと止まる。        岩男、「ここにいるよ」生演奏。        演奏終了後・・・、8台のFAXがいっせいに鳴りだす。        どのFAXにも、        「がんばって」「応援します」の文字。  29:00 放送終了
 本当に「あっ」という間の2時間でした。  ANNの企画を出し、  岩ちゃんと打ち合わせをし、  作家や副監督と準備をしていたこの1ヶ月が、  なんか夢のようです。  放送終了後、  シーだいばスタジオ(第1スタジオ)から、第1会議室に戻り、  軽く「ビール」で打ち上げ。  目の前には、おそらくANN史上最高数と思われるFAXが、  電話帳よりも分厚く積まれてます。  どのスタッフの顔もいい笑顔で、  おいしそうにビールを飲んでます。  ・・・しかし、なーんとなく、この光景が、  リアルに感じられません。  ニッポン放送では、基本的に外部のディレクターを認めていません。  故にボクは「フリーディレクター」を名乗りながらも、  実際には「AD」といわれる「アシスタントディレクター」しか、  担当していないワケです。  今回のようにごくまれに「ディレクター」として「現場」に立つと、  その光景は、普段見慣れているはずのモノなのに、  全く違った景色として目に映ります。  今、この第1会議室の風景も、  番組終了後にはよくある景色なワケです。  ・・・が、妙にリアルに感じられないのは、  そんなところに理由があるのかもしれません。  ああ、ボクぁ、根っから 「AD」なんだなぁ。
残酷シリーズ・作品第九番 作品名
主演 岩男潤子 助演 悪男づん子 構成 正岡ケンイチロウ 構成補 天野シンヤ 小林ジュン 技術 井折ヨシオ 協力 ニッポン放送 サウンドマン 81プロデュース ポニーキャニオン 神田ヒロシ 田所ケンタロウ 副監督 稲垣ノリユキ 総監督 小林ジュン
番組制作を応援して下さった全ての人に、 そして、番組を聞いてくれた全てのリスナーの方に、 ありがとう。
さ、明日からまた「AD」だ。 明日も晴れるといいね・・・・!
「AD物語」第1部 終 劇  1997/10/24

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