3.誤嚥(食事中の注意事項)

 誤嚥は通常,食道にいくべき食物が気管に入ってしまうことをいいます.気管へ食物が入りそうになる時に示す反応を「むせ」と呼びます.図に示すように,口頭蓋谷(ポケット)やのどの奥(梨状窩)に,食物が入り込むことがあります.のどやのどの奥に食物の残った感じのある時は,その食物が気管へ流れこむこともあります.

 食事中は以下の注意点を念頭において食事介助をして下さい.
@言葉かけなどで,嚥下を意識させ,器械に合わせて飲み込むようにしましょう.
Aのどの動きを見て,飲み込んだか,口の中に食物が溜まっていないかを確認しながら,あせらずにすすめましょう.
Bのどの奥に食物が溜まっている患者さんを多く見受けます.飲み込んだ後さらに1〜2回,空嚥下させると,のどにひっかかった食物を食道に落とすことができます.
Cむせが続くようなら,食事を休むか中止します.
D食事中の体位は,上向きにして,患者さんが飲み込みやすい角度で食べさせます(できれば座位が望ましいと思います).
E食事の形態は,口の中ですりつぶしやすいもの,水分が多めか,流動性のあるものの方が飲み込みやすいでしょう.
 ゆったりと落ち着いて一口一口を味わいましょう.
 一口の量は少なめに,ゆっくり噛んで飲み込みましょう.    口の中のものを飲み込んでから,次のことをしましょう.    むせた時は,咳か吸引で出すようにしましょう.
(筋強直性ジストロフィ−の注意点)
 水分が多いと,かえって誤嚥してしまうので,とろみのある食物 やゼリ−状の食物のほうが良いでしょう.
(DMDの注意点)
 口の中で擦りつぶせる食物か,水様性のもの,または水気の多い食物のほうが良いでしょう.
   (津田 倫代)

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