5.嘔吐

 嘔吐は空気や有害物が胃に侵入したとき腸に達することを防ぐ防御反応の現れです.嘔吐を繰り返したりしている間に,吐物の気道への誤嚥の危険も高まりますので,嘔吐に対し適切に対処する必要があります.
 嘔吐の対処方法
 @NIPPV患者さんが呼吸器装着中に嘔吐を始めた時は,マスクをとり体を横に向け口から出るものはすぐに吐かせて下さい.また口と鼻から何度も吸引をして下さい.この時背中をさするなどし吐いた物(吐物)を出しやすくしましょう.気管切開をしている患者さんでは気管切開チューブのカフを膨らませ,吐物が気道の末梢(肺)に流れていかないようにします.カフより口側に流れてきた吐物はボーカルエイド・チューブから吸引します.もし吐物が気道の末梢(肺)に流れた思われたら,気管切開チューブから吸引しましょう.
 A吐いたものの臭いや味が口の中に残っていると不快感により吐きやすくなります.口の中を水でうがいさせるようにして下さい.
 B嘔吐反射や咳が落ち着いたところで,呼吸困難があるならレスバック(アンビュ−バック)を使ったり,呼吸器をつけて呼吸を整えて下さい.
 C吐き気は精神的,心理的なもので起こり易いため,吐物はすぐに取りのぞき,汚れた服はずぐに交換して下さい.また衣服で腹部を締め過ぎないように注意して下さい.
 D吐物や量,臭いはよく見ておきましょう.
 E気道へ誤嚥をしていることもありますので,嘔吐後1時間は呼吸状態を観察するようにして下さい.一時的に痰の量が増えることがあります.感染を思わせる徴候にも注意をして下さい.
 嘔吐の予防法
 @食事は上半身を30度以上高く上げゆっくり食べさせます.
 A食後に人工呼吸器を着ける時は,ゲップをしてからにします. B毎日排便があるように習慣をつけます.
 (津田 倫代)

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