特許申請とその後の手続きの概略全体的流れ ( )付きの番号の付近をクリックしてもらえば詳しい説明へ飛びます(特に(5)(7)(9)重要) |
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上記全体的流れの中の注の説明 | |
(1)特許出願 特許されるために必要な条件(特許要件)はこちら 出願を完了すると、製品などに「特許出願中」や「特許申請中」などの表示ができます。競業他社を牽制することも可能です。 また、発明を買ってくれそうなメーカーに売り込んで、実施許諾契約を結ぶことも可能です。 (1の2)新規性喪失例外の適用 出願の発明と同じ商品を販売したり、ネットで公開(発明の内容が分かる状態で)したりしてしまっている場合には、本来は、新規性がなく出願しても特許にはなりません。しかし、手続きすれば例外的に認められます。出願時に願書にその旨記載し(書面提出の代わり)、30日以内に証明書面を提出します。 (2)優先権を主張した国内出願、又は外国出願、又はPCT出願 出願した技術内容に、新しい内容をどうしても追加したいときは、1年以内であれば(従って出願公開前でもあるので)、追加した姿で新しい特許出願など(国内出願)をして元の技術内容については優先的に取り扱ってもらうことができます。これを国内優先権主張出願といいます。 同様に、1年以内であれば外国出願、又はPCT出願をして元の技術内容については優先的に取り扱ってもらうことができます。なお外国出願やPCT出願は、その外国毎の現地代理人が必要であり、個人の未経験者では対応が困難なので、特許事務所に依頼されるのが賢明です。 なお1、 優先権制度について詳しくは特許庁の「優先権の審査基準(案)」を参照してください。 なお2、PCT出願(国際出願)は国際特許を認めるような制度には未だなっておらず、単に、多数国出願の際の事務的な省力化をはかるもので、最終的には権利は各国別々に取得しなければなりません。詳しくは特許庁のPCT制度の概要あるいは特許協力条約(PCT)に基づくPCT国際出願の概要を参照してください。 (3)公開請求 特許出願された日から1年6月経過すると、発明の内容が特許庁のホームページhttp://www.ipdl.jpo.go.jp/homepg.ipdlなどで閲覧可能になり公開されます。特許法の大きな目的の一つが秘密状態の発明(技術)を開示することにあるからです。この公開後の他人の実施に対し、警告をすることなどを条件として、特許後に一定の補償を求めることができる、補償金請求権が発生します。この補償金請求権を早期に発生させるために、出願公開を早くしてもらう公開請求の手続きをすることができます。ただし、上記(2)の出願より早く行うと、(2)の出願が特許にならないことなどがありますので、注意が必要です。 詳しくは特許庁の審議会・資料2早期公開制度を参照してください。 (4)補正指令などに対する補正書 特許庁に提出された出願書類は、所定の書式通りであるかどうかなどのチェック(方式審査)を受けます。そして書類が整っていない、必要項目が記載されていない等の場合は、補正指令が発せられます。 この補正指令が来たときは、補正書を提出しなければなりません。 |
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(5)出願審査請求(特許印紙が必要) 特許申請(法律用語では特許出願と言います)するだけでは,審査はされません。審査してもらうためには出願審査請求書を出さなくてはなりません。すなわち、特許出願されたもの全てが審査されるわけではなく、出願人又は第三者(誰でも)が審査請求料を払って出願審査請求した出願だけが審査されます。審査請求されなかった出願は、取り下げられたものとみなされますが、以後は誰も特許をとることはできません。 手続きを別にした理由 このように特許申請と出願審査請求との手続きを別にした理由は、審査する件数を少なくするためです。すなわち、日本では特許申請の件数が特許庁の審査容量(審査官の数)よりも多く、審査が遅れがちです。他方、特許申請は早くした方が勝ちなので、急いで申請出願しますが、何年か経つうちにその技術は使わないことがはっきりすることが多々あります。そこで、申請だけは済ませておいて、その後に、本当に必要な特許かどうか吟味し、不必要な特許は審査請求をしないで済むようにすれば、その分だけ審査する件数を少なくできます。そこで手続きを別にしたのです。 出願審査請求の料金の計算 (平成23年8月1日以降の審査請求の場合) 審査請求の料金は、特許庁に支払うもので、次のように定められています。 118,000円+4000円 X 請求項の数 例とした明細書では、請求項の数は2つなので =118,000円+4000円 X 2 =126000円 となります。 この料金は、個人が一度の特許申請をする場合には、特許印紙で支払うのがいいと思います。 詳しくは特許庁の特許関係料金制度の改正点についてを参照してください。 これらの料金は高額ですから、本当にご自分の特許出願に特許の可能性があるのかどうか、出願時に特許調査を済ませていない方は、特許調査を行ったほうがいいでしょう。また、ご自分の作成された明細書や特許請求範囲などの書類が、特許審査に耐える十分なものかどうか、出願時にチェックを受けていない方は、チェックを依頼されたほうがいいと思います。 いつ出願審査請求するのか 特許申請の日(法律用語では特許出願日といいます)から3年以内(出願日が平成13年10月1日よりも古いものは7年以内)らばいつでも出来ます。しかし、忘れてしまわないように、1〜2年のうちに審査請求をするかしないかを決めた方がいいでしょう。 申請と同時にも請求できますが、出願番号(オンライン申請では直ぐに手に入る)を手に入れてからが良いでしょう。 出願審査請求書の作成方法 用紙は、すべてA4サイズで、各ページが50行、各行が40字です。 以下の例を見て、同じ書式にしてください。 黒色のところは、全く同じようにしてください。法律の規則で決まっている部分、または特許の明細書で慣用的な言い方だからです。 赤色のところは御自分の場合に合わせて書き直してください。 (青色)は注意書きです。実際には記載しません。
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(5の2)出願審査請求費用の減免申請 出願後に審査を受けるため特許庁へ支払う高額の審査請求費用(通常15万円程度)は別に必要です。 もっとも収入がないか少ない人は減免申請で0円(免除)か半額になることがあります。 |
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(6)早期審査の事情説明書 通常、審査請求から平均22ヶ月(2001年のデータ)してようやく特許になるかどうかの実体審査が行われます。そこで、審査請求から実体審査までの待ち時間を特別に早くしてもらうこともできます。つまり、特許出願に係る発明を実施(製造、販売など)する場合、出願人が個人である場合、出願人が中小企業の会社である場合などなどに、早期審査の事情説明書を提出して、早期審査をしてもらうことができます。この事情説明書では先行技術との比較検討が義務付けられています。この場合には、審査請求から平均3.3ヶ月(2001年のデータ)で実体審査が行われ、かなり短縮されるとされています。 詳しくは特許庁の早期審査・早期審理(特許出願)の運用の概要を参照してください。 |
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(7)意見書・補正書 実体審査では、審査官は、出願された発明の内容が特許されるべきかどうかの要件を審査します。この特許要件の主なものとしては以下のものがあります。 1 特許法が保護する発明(自然法則を利用した技術思想)であるか 2 その発明は産業上利用できるか 3 出願前にその発明と同じ技術は存在しなかったか 4 上記3の技術をもとに、いわゆる当業者(その技術分野のことを理解している者)が容易にその発明をすることができたものでないか 5 他人よりも早く出願したか 6 公序良俗に違反していないか(例えば犯罪目的の装置など) 7 明細書の記載は発明が実施できる程度になされているか そして、特許を与えるべきでないと判断された場合は拒絶理由通知書が送られます。 この拒絶理由通知書は、通常、既に公開されている先行出願(前記3に相当)が引用されて、これらの先行出願をもとに「当業者が容易に発明できたもの」(前記4に相当)とする内容になっています。この拒絶理由通知に対して、意見を述べる意見書や出願内容を補正する補正書を提出する機会が与えられます。拒絶理由通知書が来たからといって、直ぐにあきらめていては特許にはなりません。 意見書では、拒絶理由通知書により示された先行出願とはこれこれの点で相違するという反論をします。補正書では、この相違点を明確にするために、特許請求の範囲や明細書等を補正します。直ちに特許される出願はまれで、多くは、意見書,補正書を提出することで特許になります。 このとき特許庁への料金は無料です。 この意見書,補正書の作成方法を、ジョッキブラスの出願を具体例として、説明します。 |
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(8)拒絶査定不服審判請求(特許印紙が必要) 意見書や補正書をみても拒絶理由が解消されておらず、やはり特許できないと審査官が判断したときは、拒絶査定を行います。この拒絶査定にどうしても不服があるときは、拒絶査定不服審判を請求することができます。特許印紙が必要になります。また、個人の未経験者では対応が困難なので、特許事務所に依頼されるのが賢明です。 |
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(9)3年分の特許料(設定特許料)の納付(特許印紙が必要) 審査の結果、審査官が拒絶理由を発見しなかった場合は、特許査定を行います。また、意見書や補正書によって拒絶理由が解消した場合にも特許査定となります。拒絶査定不服審判が認められた場合には特許審決となります。 そして特許査定や特許審決になったときには、特許権設定のための3年分の特許料を納めます。これにより、特許原簿に登録されて特許権が発生します。特許第何号という番号のついた特許証が出願人に送られます。その内容は特許公報に掲載されます。 特許査定や審決された後に納める特許料の計算 いよいよ特許されると、特許を維持するために特許庁に各年毎の特許料を納めなければ なりません。始めの3年分は直ぐ(査定受取から30日以内)に納めます。金額は、法改正が何度かあったことから、請求項の数、出願日、出願審査請求の日によって、異なります。 特許庁のウエブサイトの手続料金自動計算システムhttp://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/touroku_cgi.htm で自動的に計算してくれます。 詳しくは下記のようになります。 例として、平成20年の1月中に出願と出願審査請求を行い、7月に特許査定を受け取ったとき、請求項の数が4であれば、始めの3年分は (2,300円+4×200円)X3=9300円 になります。 *********** 記 ****************** 昭和63年1月1日以降の出願、かつ平成16年4月1日以降に審査請求をした出願 第1年から第3年まで毎年 2,300円+請求項数×200円 第4年から第6年まで毎年 7,100円+請求項数×500円 第7年から第9年まで毎年 21,400円+請求項数×1,700円 第10年以降毎年 61,600円+請求項数×4,800円 ・昭和63年1月1日以降の出願、かつ平成16年3月31日までに審査請求をした出願 第1年から第3年まで毎年 11,400円+請求項数× 1,000円 第4年から第6年まで毎年 17,900円+請求項数× 1,400円 第7年から第9年まで毎年 35,800円+請求項数× 2,800円 第10年以降毎年 71,600円+請求項数× 5,600円 ・昭和62年12月31日以前の出願、かつ平成16年4月1日以降に審査請求をした出願 第1年から第3年まで毎年 1,500円+発明の数× 1,000円 第4年から第6年まで毎年 4,800円+発明の数× 2,900円 第7年から第9年まで毎年 14,300円+発明の数× 8,800円 第10年以降毎年 47,500円+発明の数×29,600円 ・昭和62年12月31日以前の出願、かつ平成16年3月31日までに審査請求をした出願 第1年から第3年まで毎年 7,500円+発明の数× 4,900円 第4年から第6年まで毎年 11,900円+発明の数× 7,400円 第7年から第9年まで毎年 23,800円+発明の数×14,800円 第10年以降毎年 47,500円+発明の数×29,600円 |
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(9の2) 特許証 特許庁から特許証が郵送されてきます。普通郵便です。 (10)無効審判請求に対する答弁書 特許されたからといって、必ずしも完璧な特許とは限りません。何人も特許無効審判を請求することが可能です。 万一、特許無効審判を請求されたときは、答弁書を提出して争います。答弁書の作成は個人の未経験者では対応が困難なので、特許事務所に依頼されるのが賢明です。 なお、拒絶査定不服審判の拒絶審決に対して不服がある出願人、特許無効審判の審決に対して不服がある当事者は、東京高等裁判所に出訴することができます。 (11)4年分以降の特許料(維持特許料)の納付(特許印紙が必要) 上記(9)手続料金自動計算システム参照 特許権を維持するためには4年分以降の特許料を忘れないように納めなければなりません。特許庁から通知は来ません。忘れると特許権は消滅します。 (12)上記(9)と(11)の特許料の減免申請 |
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なお、ここに説明された内容は、特許権を取得する際の手続きの大まかな流れを説明するのみであり、必ずしも十分ではありません。御自分の発明を無駄にされないように、経験者に相談されたり、特許庁の相談窓口に相談されたり、あるいは資金がある場合には特許事務所(弁理士)に依頼されることをお奨めします。 | |
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