↑トップへ。           ←前日へ。   翌日へ。→


2001.3.8



困ったのである。
いや、実は、このページを置いている「トクトク」という無料サーバ屋が、

「サービス向上・安定性の維持の為、大規模メンテナンスを2002年3月15日〜21日
 に行います。メンテナンス中はサイト閲覧・編集といった、一切のサービスが
 ご利用が出来ません。
 誠にご迷惑をお掛け致しますが、ご理解とご協力をよろしくお願い致します。」


とか言ってきやがったのである。
つまりは、このページが1週間の長きに渡って閲覧不能になるのである

どーすんべ。潔く、この機会に移転するか、それともミラーサイト作って1週間
持ちこたえるか‥‥
まぁ、時間はあるので、今週末にでも考えることとするのである。


さて、本日は、昨日の続きであり、すなわち「肺野の吸収値低下をきたす疾患」
の各論の続きである。
思えば、昨日はブラとブレブ、肺気腫で挫折したのであった。ダメじゃん。


というわけで、昨日の表をもう一度掲載するのである。

(1)辺縁不明瞭な透亮像
 ・初期の肺気腫

(2)壁が比較的薄く均一な嚢胞
 ・ブラ・ブレブ
 ・肺気腫
 ・リンパ管平滑筋腫症(LAM)
 ・Langerhans cell histiocytosis
 ・嚢胞性気管支拡張症
 ・円筒状気管支拡張症
 ・蜂窩肺

(3)嚢胞以外の変化が目立つ
 ・リンパ増殖性疾患(LIPなど)
 ・カリニ肺炎
 ・塵肺

(4)壁が厚く不均一(多発性空洞性結節)
 ・肉芽腫
   Langerhans cell histiocytosis
   結核
   真菌
   サルコイドーシス
   塵肺
   リウマチ様関節炎、Wegener肉芽腫症
 ・腫瘍性病変
   転移性肺癌
   悪性リンパ腫
   細気管支肺胞上皮癌
 ・その他
   肺梗塞
   膿瘍(菌血症性肺塞栓)
   感染性嚢胞性気管支拡張症

(5)新生児疾患
 ・間質性肺気腫
 ・気管支肺異形成症
 ・Wilson-Mikity症候群
 ・先天性嚢胞性腺腫様奇形(CCAM)
 ・横隔膜ヘルニア


では、昨日の続きと言うことで、今日はリンパ管平滑筋腫症(LAM)から行くので
ある。
この疾患は、肺及び躯幹に置けるリンパ管の平滑筋細胞の異常増殖を特徴とし、
画像所見としては数mmから数cmの壁の薄い嚢胞構造が多数認められる
たちの悪いことに、この疾患は進行性であり、どんどん嚢胞が増えていくので
ある。従って、患者は発症から平均10年で死んでしまう(!)。そして、
なお悪いことに、この疾患が発症するのは、生殖年齢の女性に限られるのだ。
若い女性を専門に狙う疾患なわけなのである。ひどい話だ。
余談だが、結節性硬化症が似たような肺になることがあるらしい。こちらは
先天性疾患やな。

次。Langerhans cell histiocytosis。「ヒスチオサイトーシスX」と
その昔は呼ばれていた疾患。プロジェクトXみたいで好きだがなこの名前。
ちなみに、ヒスチオサイトーシスXというのは単一の疾患ではなく、慢性の
経過をとる「好酸球性肉芽腫」と、幼児に起こり、急性の経過をとって予後
不良な「Letterer-Siwe病」、その中間型である「Hand-Schueller-Christian病」
や「未分化組織球性腫瘍」といったものをひっくるめた名称であったのだが、
そのうち、Letterer-Siweと未分化組織球性腫瘍に関しては悪性リンパ腫の一種で
あるということになったらしくて、その辺をはずして、好酸球性肉芽腫とHand-
Schueller-Christianを合わせて「Langerhans cell histiocytosis」と呼ぶ
ようになったらしい‥‥んだが、その辺は教科書によって言っていることが違う
のであり、非常に困るのである。
まぁ、それはそれとして、この疾患であるが、20〜30代男性に多く、
無症状が多く
、また9割が喫煙者である。
そして、この疾患は肺以外にも、骨、皮膚、リンパ節、脳、内分泌腺などに
病変を生じることがある。全身病なのだが、ここでは肺の病変に絞ることと
する。
でもってCT所見だが、病状が進むごとに結節→空洞性結節→壁の厚い嚢胞→
壁の薄い嚢胞
というように所見が移り変わって行くのが特徴である。従って
その途中では上記の所見が入り交じったような像が見られる

次は気管支拡張症であるな。これは、要するに「異常な非可逆的気管支
拡張」であれば何でもいいわけで、いろいろな疾患に合併しうるんだが、普通
ちゃんとした基礎疾患があるものは「その疾患に伴う気管支拡張」ということに
なっちゃうわけであるから、「気管支拡張症」と呼ばれるものは、たいがいが
非特異的な気管支炎のなれの果てであるらしい。
気管支拡張症は3つの型に分かれ、
・円筒状気管支拡張症:気管支が円筒状に均一に拡張する
・嚢胞状気管支拡張症:気管支の末端が嚢胞状あるいは風船状に拡張する
・静脈瘤様気管支拡張症:拡張の程度が場所により一定でなく、数珠状を呈する
という感じになるのである。

次は蜂窩肺か。これもひとつの疾患ではなく、いろいろな間質性疾患の
なれの果ての像。間質の慢性の炎症により、間質の線維化が起こり、気管支が
拡張して多発嚢胞様の状態になったもの。壁はやや厚い。

次は、LIP、カリニ、塵肺は前にやったから飛ばして、Langerhans cell histio-
cytosisもさっきやったばかりだから飛ばして、結核、真菌、サルコイドーシス
も前にやったからそっちを見ろ、ってことで‥‥
結局、次はリウマチであるな。こいつはご存じの通り全身の関節の病変
なのだが、実は合併肺病変の宝庫でもある。
こいつに合併するのはUIP、BOOP、そしてリウマチ結節。覚えておこう。
また多発性空洞性結節を呈することもある。

次はウェゲナー。英語風には「ウェジェナー」って読むのか?
ものの本によると「Wegener肉芽腫症は、肉芽腫とその周囲の炎症による結節、
肺胞出血、気管・気管支病変の3つに分けると考えやすい」と書いてある。
具体的な画像所見としては、まずさっきの1つ目に対応した「空洞を伴う
大小の多発性結節」
。肺血管や気管支の先端に連なって分布するとか、末梢の
肺動脈が不規則に肥厚して星形になるとか、いろいろな付随所見があるらしい。
2つ目に対応した所見は「肺門から広がるすりガラスやconsolidation」
3つ目に対応した所見は「区域性または肺葉性の無気肺」である。

次は腫瘍だな。まず肺メタ。空洞を伴う肺メタの3分の2は咽頭喉頭、食道、
子宮頚癌といったSCC
なのだそうだ。後3分の1が結腸や直腸からの腺癌。
リンパ腫も稀に空洞。細気管支肺胞上皮癌はすりガラスってイメージだが、やはり
空洞になることもあるのだな。

その他の肺梗塞だとか菌血症性肺塞栓だとかは丸覚えでいいやね。

最後は新生児か‥‥これは小児ネタをやるときにまとめてやっていいですか?(泣)


最後に、もっと派手に肺の(というか胸腔の)吸収値低下をきたす疾患をやろう。
そう、気胸だ。
気胸には外傷性・医原性気胸と自然気胸があって、自然気胸には原因不明の一次性
自然気胸と原因がはっきりしてる二次性自然気胸があって、と、まぁこの辺は
いいだろう。
で、知識として、二次性自然気胸の原因をあげておくのである。

・肺気腫、COPD、喘息
・間質性肺炎、肺線維症、塵肺、嚢胞性線維症
・空洞形成性炎症(結核、サルコイドーシス、Langerhans cell histiocytosisなど)
・悪性腫瘍
・肺梗塞、ARDS
・(生殖年齢の女性で)LAM、月経性気胸
・(新生児で)IRDS、胎便栓症候群

この中で、とりあえず月経性気胸ってのが目新しいか。IVBATのところで出た
「肺子宮内膜症」が原因で肺に穴が開くのが月経性気胸である。月イチで気胸か。
想像するだにしんどそうだ。(涙)

すみません、新生児は後で絶対やりますんで。(;_;)


というわけで、これで、びまん性肺疾患はおしまいである。(!)
次回は肺腫瘍をやって、肺の締めくくりとする予定である。

あ、それと、申し訳ないが、現時点で、今週日曜日を休みにさせていただく
可能性がある。
ただ、これは、明日の進行度によって決めることとする。というのは、実は
来週の16・17の両日は宇都宮にいないので、ここで休みをいただく予定
なのだが、そうすると講座が遅れすぎてしまう恐れがあるのである。
なもんで、一応明日まで保留ということでひとつ。


↑トップへ。           ←前日へ。   翌日へ。→