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2001.5.16



おお何ということだ。昨夜は仕事部屋の床のワックス掛けがあって部屋を追われた
ため、更新できなかったんである。(;_;)
でもって、何か知らんが、今日はやたらと疲れているような気がするのである。

以上のことを総合し、今日は髄膜腫をきっちりやって倒れることとした。(^^;


髄膜腫 meningioma。頭蓋内腫瘍の13〜19%を占め(多いね)、成人に
多い。
単純X線で頭蓋穹隆部または頭蓋底部の局所的骨硬化や逆に骨菲薄化、
血管溝の拡張、石灰化などを認めることがある
。実はこれは大事なことで、
特に今回のような「単純写真→CT→MRI」という流れで画像が出てくる試験では
単純写のうちにこれを見つけて「髄膜腫でこういう所見が出ますけど」とか
言えれば相当にカッコよくて好感度アップであろうと思われる。共に精進すべし。

で、カッコイイついでに、髄膜腫は出来る場所によっていろいろと名前が付いて
いるので、そういうことを覚えとくといいかも知れない。

parasagittal meningioma
 傍矢状静脈洞髄膜腫。つまり矢状静脈洞にくっついてる髄膜腫。

falx meningioma
 大脳鎌髄膜腫。大脳鎌にくっついてるわけである。中心溝より前に発生する
 ことがほとんど
であるらしい。

convexity meningioma
 穹隆部髄膜腫。要するに大脳鎌や矢状静脈洞以外の大脳表面の髄膜に貼っ付く
 髄膜腫である。

olfactory groove meningioma
 前頭蓋底に付着して上に成長する髄膜腫。場所的に、CTやMRIの冠状断像が有用
 である。

planum sphenoidae meningioma
tuberculum sella meningioma
 前者が蝶形骨平坦部、後者が鞍結節部にあるやつ。トルコ鞍のblisteringを
 起こすことが多い。

sphenoidal ridge meningioma
 蝶形骨縁髄膜腫。つまりは蝶形骨のふちに沿って発育する髄膜腫な。

intraventricular meningioma
 脳室内髄膜腫。ほとんどが側脳室三角部の脈絡叢から発生。そーすっと脈絡叢
 乳頭腫との鑑別が必要となるが、あっちは側脳室全体の拡張を示すけど、
 こっちは示しても下角どまり。なもんで鑑別は楽。脳室上衣腫との鑑別は
 難しいことも。

tentorial meningioma
 天幕髄膜腫。つまりはテントがあればどこにでもできる。

posterior fossa meningioma
 後頭蓋窩髄膜腫。小脳橋角部や穹隆部、斜台、大後頭孔部にできるものがある。
 小脳橋角部に出来ると、神経鞘腫との鑑別が問題になる。

・その他
 視神経周囲の髄膜から出るorbital meningiomaとか、Meckel腔から出て頭蓋外に
 出るものとかがあるらしいが、多分珍しいんだと思う。


ではCT所見。均一な等〜高吸収腫瘤造影剤で均一に吸収値上昇
そして必ず硬膜やくも膜と接している。これが典型。
中には、数パーセントぐらい、不均一なのとか内部の低吸収域や造影剤で吸収値
上昇がない部分があるとか、そういう非典型的なのはある。
あと、cystic meningiomaだな。嚢胞成分があるやつ。これはけっこう
誤診されるので注意だ。


MRIでは、T1強調像で等〜低、T2強調像ではいろいろ。Gdで強い信号増強。そして
接している硬膜まで信号増強効果をうける(dural tail sign)のが特徴。
つーか、本当はCTのところで言わなきゃだめだった。すまん。


鑑別だが、まずこの腫瘍で大事なのは脳内か脳外かの鑑別。そんで脳外と
いうことになればけっこう絞れて来るんだが、これが難しい場合もある。

傍鞍部では下垂体腺腫、動脈瘤、胚芽腫との鑑別が、小脳橋角部では聴神経鞘腫
との鑑別が問題となるが、それぞれ周りとの関連とかで何とか鑑別可能である
事が多い。
ただ、非典型的な髄膜腫で、なおかつ脳内外の鑑別が難しいようなやつは、
昨日やったglioblastoma、oligodendroglioma、それとmeta、lymphoma、あとAVM
辺りとの鑑別が非常に問題となってくるわけだ。


今日はここまで。明日は‥‥今日出てきた上衣腫と脈絡叢乳頭腫でもやるか。


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