電話03-6277-0090
住所:東京都品川区北品川6-7-29 ガーデンシティ品川 1F
ランチ12:00〜15:00 (13:00 L.O.)、ディナー18:30〜23:00 (20:00 L.O.) 日曜中心に月6回お休み
2014年11月
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「禁欲的なエピキュリアン」レストラン
食べたもの
◎メキシカンな、小さなグラスに入った温かな具沢山スープ トルティーヤ、パクチ、セロリ入り
◎塩とオリーブ油が主役 山羊乳のバヴァロワ
◎ケークサレ パルメザン、マッシュルーム、うにのせ
◎鰆のロースト ジロール、オレンジピール、カリフラワー
◎芋豚の3時間ロースト ごぼうのソース
◎岩茶のシャーベットときざんだレーズン
◎クランブルクッキー 柿のソース
初めの1品(トルティーヤ)はまさに具たくさんで、猥雑さあふれる中央アジアの雑踏を思い出す。ロシアの大衆食堂で何度も食べた味だが、カンテサンスの世界に一気に引き込むインパクトがある。
山羊のバヴァロワは以前からのスペシャリテで、オリーヴオイル(プロヴァンス)と塩(ゲランド)を味わう料理。口に含むやいなや、靄の中から突然視界が開く瞬間や、闇のなかから明るみに出て、しかも目がくらむことなく、たちどころに焦点があうような感覚を味わえる。表面にしっかりした張力を保ちながら、どれだけ細かい粒子でつくられているんだというような滑らかさをもつバヴァロワはまさに三つ星料理。
メインの二つは、いつもながらシェフの火入れを最大限に楽しんでくださいと言わんばかりのもの。魚は短時間で鰆のかなり大きな塊をローストし、外から中に進むにしたがって生に近づいていくグラデーションを楽しめる。肉は3時間で20数回オーヴンに出し入れされて完成される料理。どちらも焦点がばっちり合っていたことはいうまでもない。焼く回数は素材やその日の温度や湿度に応じて厳密に決めているのだろう。だけど、火入れに全力投入している反面、味付けはシンプル。
デザートは水物と粉ものが一つずつ。アイディア賞だし、岸田シェフの料理の延長上にあることはわかるが、メインのデザートがクッキーというのはどうにも寂しい。
ワインは十分な品揃えだが、高いものばかり。一番安いシャンパーニュは8800円(マム)、白ワインは6600円(ローヌ)、赤ワインは7700円(ジュラ)から。ブルゴーニュは赤白ともに8800円からだが、ほとんどが15000円以上。ボルドーはたとえばPotensac 97が12000円、Citran 01が13200円。現在(2014年)の小売価格3000円ほどのワインにここまで高い値段をつけなくても、と思うのは私だけじゃないだろう。