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一桁のビジネスマン《行動心理資料》より

【人を見下す管理者がいるのは何故か】

「嫉妬心とその誤解」
 ビジネス社会でもっとも面白く、しかも、もっとも遅れた変化の一つに、新しい女性ミズ(MS.)とその管理者のことがあります。
 自由闊達に活躍する女性については、これまでいろいろと広く喧伝されてきたため、ビジネス社会では、今ではそれらの女性に多くを、占められるのではないか、と思われるほどです。

 しかし、そのようなことはありません。古くから、自由社会の企業の中に、女性が一人もいないような企業は、滅多にありません。
 ビジネス社会では、ミズが、決してはじめて参加する訳ではないのです。現に労働人口の20パーセントから80パーセント以上まで、女性が占めている企業は沢山あります。

 女性を保護している差別撤廃の、法律から生ずる変化は、非常に大きいのですが、その変化の中から、難しい問題が生まれる傾向が出ています。
 長い目でみれば、それらの問題は殆ど解決して、女性は性による差別から解放され、男性と対等の競争を、する事になると考えられます。
 けれども、いまのように棲み分けのような保護的状況が、長く継続すると思っては、間違いです。それは、ご婦人方が、手に入れたものに相応しい、働きが出来るようになると、保護は必要が無くなるからです。

新しい「ミズ」は「女であることに、何らかの思いやり」が周囲から与えられることに、気がつくでしょうが、長い間には、男性と同等の仕事を、しなければならないことにも気がつくことになるでしょう。そして、もっとも大事なことは、女性も、男性も、一個の人間であると言うことを、忘れてはなりません。

 遅いか早いかは別問題にして、ビジネス社会でも、実力のある人間が、昇進するという実力主義が、多くのビジネスマンから支持されています。
 これは、あらゆる組織の中での地位、よりよい仕事、より高い報酬等々、男性と同等の権利を持つに価するものです。

 経営の矛盾点や不合理性を、うまく片づけようとする進歩的経営者は、性差別の反対を、ビジネス社会のメリットとして見出しています。
ですから、これからは、新しい「ミズの短所を」考える必要がでてまいります。

 ある管理者が次のように話をしてくれました。

「我々の働く課に、ある若い女性が加入しました。
 その女性は才能もあり、熱心に働いていたので、私は彼女を大事にしたのです。
 それは、野心的で頑張るだけの力を備えていたからで、将来の期待がもてます。
彼女には、長女を思い出させる面影もあり、出来るかぎりの支援惜しみませんでした。

 ところが、しばらくして、周囲の人達が、私が『昇進しようと躍起になっている』とか、『馬鹿な真似をしている』とか騒ぎはじめたのです。
 それからまもなく、今度は、私が彼女と寝たも同然のように、言い触らす人が課内に現れました。結局、私は彼女に支援することから、手を引かざるを得ませんでした。

 またある経営者はこれと逆の体験をしています。
 以下は、その女性の話です。
    「私は数年前、若い男性から【ある距離を保つ】ということを学びました。人間関係は、ほんの些細なことでも、人の噂の種になります。あるとき、数人の優秀な大卒社員に、その出世を早めるために、特別な技能訓練の指導援助をして上げようと思ったことがあります。

     特別訓練は、課全体のためにも役だつでしょう。
     しかし、私は自分の試みに暗に疑いを持っている人がいることを警戒しました。『彼女をご覧、あいつらの母親としてもおかしくない年じゃないか。一体何考えているんだ。』
     その人達が何をほのめかしているか解ったので、私は青年達に普通以上の距離をおくようにしました」

 対人関係において、他人の悪口や、他人に責任を押しつけて逃げることの多い人の大半は、自己覚知(フェルトセンス)がないか、あるいは、対話などはしようとしないで、外部基準や”外なるもの”判断しようとします。
 もし、自分の出世を早める為に、上役があまり多くの援助を、してくれないとすれば、それは、上役の援助が同僚の邪心によって容易に誤解されたためであるかもしれません。 つづく

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