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一桁のビジネスマン《行動心理資料》より

【冷淡な上役を避ける】

 心底から非情で冷酷な管理者は、ビジネス社会においてはごく希な存在です。
 その数少ないうちの一人に、自分が当たったとしたなら、まさか自分にと本当に不運を嘆くと思います。

そのためか、最近の彼は、不運を避けようとして、抵当物件の土地を欲しいばかりに、返済日に自宅を留守にする非情な高利貸しのような、管理者をわざと除けていました。

 上役を避けるということは、別に珍しいことではありません。親身に面倒を見る上役と仕事をした方が、自分のためになると考え、面倒見の悪い人を避けるのであればそれは、当然のことと思います。

しかし、上役が冷酷無比な人物であるということになりますと、話は別になってきます。好き好んでそんな人間に冷たくあしらわれたいと思う人は誰もいないと思います。

 自然な流れでは、このタイプの上役を避けはじめたときに、彼はSOS(救難シグナル)を本能的に発信したのだと考えます。
 何かの弾みでやる気をなくしたのでしょう。挫折したのです。自我を傷つけられるのではないだろうか」左遷されるのではないだろうか」拒絶されるのではないだろうか」人間性を失いはしないだろうか」と、いった恐れのために、上役とのほんのちょっとした話し合いでも、正面から向かい合って話し合うということを避けていたからです。

 どんな仕返しがあるのか分からないので、意見をいうのにも遠慮したようです。
 このタイプの上役が、前にも何か仕返しをするのを、自分でも見たり聞いたりをしていたのかも知れません。

 この問題に真剣に取り組むときは、恐れや不安に縛られて、その二の舞になるのがいいのか、それとも、よりよい仕事につくために、何をするのがいいのかを、考えるようにすべきです。
 そこで上役も、一応人間なのだと考え、次のように考えを纏めてみたいと思います。

@ 上役との会見を求めます。
 まず、自分の考えを整理して置き、真面目に真正面から攻撃を開始します。そして、次のようにいいます。
「近頃どういうわけか、貴方のところに来にくくなりました。良くないことですが、貴方のもとで、能率良く働くことが出来ません。」

A 冷酷な上役はびっくりすると思います。
 上役は完璧なビジネス・マシーンですから、皆から尊敬され、部下は皆、自分のような素晴らしい人間と共に仕事が出来るのを喜んでいる、とばかり思い込んでいます。一体何処に問題があるのかと、不思議に思いこむかもしれません。

 これが話しの切り口になります。
 不平不満を次から次へとまくし立てるのではありません。どうしてそのように感じるのか不思議で仕方がないというように持って行きますと、上役に、部下達をキチンと扱っていなかったことを、わからせるチャンスも生まれるかも知れないのです。

 チャンスがあるかも知れません」といいます。冷酷な人間が必ずしも変身が早いとは限らないからです。自分は少なくとも、上役との関係を改善することに賭けていたからです。

 上役が、男性であれ、女性であれ、上役に正面攻撃をかけることは容易なことではありません。
 それには、勇気が必要です。成功することもありますが、失敗することも十分に考えられます。けれども、トライしてみなくては、どちらともいえません。

 もし成功したら、状況はずっと良くなる筈です。失敗したら、失敗したときのことです。いつも上役を避けなくてならないような、精神的に悪い環境で働くには、人生は、余りにも短すぎます。
 それから数日後、彼は明るくなり元気を取り戻しました。上役と話し合い不安が解消されたようです。

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