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一桁のビジネスマン《行動心理資料》より

【かんしゃくは禁物】

 忍耐が要求されるのは、人間がおこなったり考えたり経験したり、あるいは実際に起こったりする限定された事に限るわけではありません。全ての行動の上に必要とします。

 現在の職にとどまったらいいのか、それとも、去ったらいいのかについては、忍耐の対象外にしても、日々の仕事や人間に苛立ちを感ずることは往々にしてあります。
「こんなことが」と、思われることが手直しもしないでそのまま何週間も続いたときとか、自分が提言した意見が取り入れられないようなときには、癇癪を起こしたり、「どうにでもなれ」といった自暴自棄の気持ちを持ちます。

実際に、たまには爆発させてストレスを発散させることは、精神衛生のためにもいいことですし、真面目さの証拠ともなりますから、勧めるわけではありませんが、止めようとも思いません。
しかし、その場合には、自分が間違っていないことを先ず確かめる必要があります。また、そんなことが度々起きないようにすることがたいせつになります。

 その上に、ある場合には、自説を棄てることが一番賢明なやり方になる場合もあります。
自分の考えがいかに立派なものであっても、弱点が隠されているかも知れないからです。極端な言い方をすれば、提言や進言が無視されていることは、相手の弱点ですし、あるいは、提言そのものが弱体であるかもしれません。しかし、根本的な基本問題でない限り、個人的にほかの意見に破れたとしても大したことにはならないからです。

 しかし、大抵の場合、切れたり癇癪を起こすなどして、自説を撤回することは賢明な解決策にはなりません。確実な成功への道のりは、怯まずに一歩一歩進むことで目的に達成するのです。
 例えば、何人かの人たちで自分の会社の製品を、もっと売れるようにするにはどうしたらよいか、についての提言を求めれば、一応の考えは、用意しております。それを筋道たて要素分析のように考えてみますと、「改善策」の内容がはっき浮かんできます。

 新しいアイデアを見つけて推進することが進歩ではないでしょうか。しかし、実際にそれを取り入れる際には、いっしょに起こるトラブルを忘れないようにします。

 例えば、包装の改善策を考え出すとします。透明な容器にすれば、内部が見えますから、見えないときよりもはるかに人の目を引きつけます。販売を増進することは間違いないと考えます。

しかし、紙質は、現在使っている厚手のカートン紙程もちがいいでしょうか?

お得意さんに、着いたときには半分も駄目になってはいないだろうか?
そんなことがないとしても、この新包装のコストはどのくらいのコスト高なのか?

製品の価格を変えなければ引き合わなくは、ならないだろうか?
新しい包装機械を必要とするのだろうか?
現在の市況で、会社はこのための投資資金を準備できるのだろうか?

 等々、言い換えれば、自分が新しいアイデアを考えて、それを提案するときには練りに練って明確なものにしてから、注目を引くようにすべきです。

そして、提示したならば、しばらく待つことが重要です。また、ときどき当事者に、その案の再検討を促すことも大切になります。
しかし、「タイミング=時期」の価値を忘れてはなりません。会社が工場拡張の資金のために、大きな借金をした直後、さらにお金のかかる新しい計画を押し通そうとしてはならないのです。
 

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