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一桁のビジネスマン《行動心理資料》より

【上手な命令の与え方を考える】

 上手な命令の与え方を考えると、先ず、必要なことは「明確」であることです。命令とは、言葉を示すものです。
そのため、言葉の選択には十分に注意して、命令に用いる言葉は、話し手にも聞き手にも同じことを意味するものでなければなりません。これは口頭で伝える場合にも、印刷物による場合であっても、同じように大切なことです。「不明確や曖昧さは許されてはならない」のです。

 命令が確かに、正しく受け取られたかどうかを知るには、命令を受けたもの自身の言葉で復唱させたり、命令された仕事のスタート点を、指導して正しい方向に、向かっていることを見届けたりして確かめます。

命令の正確さを証明するのは、リーダーの命令に対する掌握度ではありません。命令を受けた人々の行為によって示されるものでなければならないのです。

 一般に多くの人は、言葉で表現することは不得意です。用語に貧しく、自分の考えを正確かつ簡潔に表現することには慣れていないからです。

そのため、弁の立つ指導者の前では守勢に立たされてしまいます。しかし一見、得なように見える口の達者なことが、リーダーにとって、大きい危険を生む場合も度々生じます。

 次に必要なことは、良く「説明」することです。
自分に課された仕事について、各個人の立ち入ることの出来る限界は、何処までであるか、良く理解させることです。命令の受領者にイニシャティブと責任感を持たせることは重要ですが、それと同時に、イニシャティブと責任の範囲を知らせなければなりません。

大雑把に言って、働く人の自由裁量の範囲が広いほど、成果がもたらす教訓は大きいものです。しかし、一定の過程や明細指定にあるとおりに、行うことが必要な場合には、それをはっきりと、理解させなければならないのです。

 さらに、気をつけなければならないのは、「声に気をつける」ことでしょう。
 命令は、自然な熱のこもった、しっかりした声音で与えなければならないのです。困惑や、興奮、怒り、疲労などによる声色を使ってはいけません。リーダーの武器の中で、声音は、非常に大切な役割をはたしています。

良い声は、人々に確善たる印象を与え、傾聴と尊敬をうながします。低く断固とした調子で、分かりやすく適度な早さで要旨を述べると、その場の空気を自然に支配下に置くこともできるのです。

 命令を繰り返したり、説明を広い範囲に引き延ばす必要がしょうじても、いらいらや金切り声をあげないことです。
聞き手が鈍くて命令をのみ込むのに時間がかかったとしても、聞き手には罪はありません。その鈍さや愚かさが生まれつきで直しようがない場合は、そんな人物は仕事場にも職場にも、不適格であって、責任は、彼を選んだ人間にあるのです。

 また、トラブルの外面的な症状に悩んで、その核心を探る忍耐力を失うようになる危険を、絶えず戒めていなければならないでしょう。リーダーが悩みを感ずるとき、それは大概もっと根深いトラブルの兆候に過ぎないものであす。その責めはまたリーダーにあるものです。

 怒ってしまうと、トラブルの原因を糾明したり、修正する気持ちがなくなってしまいがちになります。
 命令を下すときの「表情」も重要です。命令を下すとき、つい、普段の表情がでてしまいます。活発、冷静、頼もしい顔つきの人もあれば、取りつきにくい、苛立ちや、沈んだ表情の人もおります。人の表情は、その人の性質を表します。しかし、性質は代えられないものではありません。温和な表情を心がければ、性質も穏和になっていくものです。 

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