総アクセス数
<行動科学の目で見る>
戦略経営組織論
 ビジネスマンの組織環境

一桁>経営組織論?>改題:戦略経営組織論

【目標の設定】について

 計画の第一段階は、目指す目標をハッキリ定めることです。計画は、目標をはっきりと理解しない限り、計画を立てることは出来ません。
 「目標は明確に決めなければならない」そして目標の達成に参加する者全員が、目標を充分に理解することが必要になります。管理者が、ピラミット組織の上にいるとか下にいるとかは関係ありません。会社の目標に注意を払うのは勿論です、それを受け入れ、達成しなければならないときには、充分にその義務を果たすべきです。

 組織であるならば、どの様な組織であっても、必ず、組織運営を狙いとする目標があります。しかも目標には、長期的な目標もあれば短期的な目標もあります。長期的目標には、数年以上に及ぶ会社の目標で、後継者の育成とか、地域社会との改善といった性質のつかみにくい掴みにくいものから、市場占有率の拡大、新製品開発、長期金融などの類のものまであります。さらに、短期的な目標には、長期目標にいたるまでの段階目標や、プロジェクトを予定通りに完了させたり、組織が直面する特殊な問題を、解決するための目標などまで含まれております。

 ところで、複数以上のグループ単位の集まりから成り立つ組織は、単位グループ毎に独自の目標を持ちます。しかし、この場合どのグループ目標も親組織の目標に適合したものでなければなりません。
 目標の設定に当たっては、事業の継続という一大目標を決して忘れてはなりません。一時的に流行する‥‥短期間に利益をあげて、けりをつけてしまう‥‥ために、創られた会社のように、「荒稼ぎ」が目的で始めた事業を例外として、大多数の会社は事業を停止するようなことはしません。必ず事業継続を前提に目標を立てています。

 その上で、短期的な利益を犠牲にしても、長期的な利益を図るものです。また、事業継続の維持を図るばかりではありません。それにともなった事業の拡大や安定に全力をあげております。

 この様な考えは、経営管理の3要素に集約できます。
 つまり所轄の各部課長は、目標の設定に当たって、
@会社の目標
A事業の継続
B部の目標、を、
 それぞれを3角形の辺として考え、その面全てを頭に入れなければなりません。この3つの面をことごとく一つ残らず無視するならば、事業の成功はおぼつかないものになります。

「目標設定の利点」
1) 目標の設定は、仕事をする人に『やる気を』起こさせるのに役立ちます。ふつう、人は「何かをするよう」に命じられても、その内容を理解できている場合には、ただロボットのように、命令を受けただけよりも、何をすべきかよくわきまえており、判断行動に疑問が湧かないので目的を達成しやすくなります。さらに、仕事を上手に仕上げる事は当事者の誇りにもなります。もし、実際行動をとっているとき、目的が分からなければ、作業者に不安がつきまとい、行動は落ち着かなくなります。

2) 目標の設定は計画化に一貫性を与えます。何人かの人間がある組織の計画をいくつか立てる場合、目標を完全に理解していれば、全体の目標にそった計画が立て易くなります。
計画化に参加している者それぞれが、主要な目標に心を定め、自分の担当する計画化の一面を、全体像の中に据え付ければよいだけの単純化がすすみ、活動の安定性を増します。

3) 目標の設定は文献化を容易にします。多くの企業組織は、能率向上のために業務の分権化を図っています。権限移譲など細分・分権化の進んだ業務単位は、かなりの独立性を持っております。ですから組織に、明確な統一目標が徹底しませんと、分権化された単独で別の道‥‥親組織の長期目標から外れる‥‥を独り歩きしかねません。

4) 目標の設定は調整と統制のしっかりした基盤を作ります。目標が設定されればそれに基づいて業績基準を作れます。また、業績基準はさらに実際の実績を測る指標とすることができます。

 つぎに、一度設定した目標は軽々しく変更してはならない問題です。大きな異変でも起こらなければ、組織の目標はそのままにしておくべき性質のものです。しかし、会社が成長し、時代が変わることによって、目標が再評価されます。そのときなど場合によっては、新しい状況に適合するように、目標を調整しなければなりません。

 例えば、大きな子会社を買収する場合、親会社は新しい子会社の目標を含めるために、自社の目標を変えなければならないこともあります。また、消費者の受容態度の変化によって従来の目標を再検討し、新しい目標設定を迫られることもあります。生産財の変化で、社名変更などの例はよくあることです。
 各グループの目標を変えるときは、慎重に検討します。提案された目標の変更を全社的な目標に照らして真剣に考えます。結果分析してからでなくては、たとえ、部長責任者であっても、部の目標を容易に変えるべきではありません。  つづく