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「目標の設定」

 現代経営学では、組織の区分された部の、短期目標から、会社的な長期目標にいたるまで、全目標の設定に、関係者全員が参加することを奨励しています。
 そして、選んだ目標を詳細に検討するには、まず、かかわりを持つすべて人の、知識と見通しを活用する事になります。目標の設定には、基本政策として上層部から下の各部へ伝える方法と、各部が政策を提示し、トップがこれを総括する方法の二つがあります。

 前者の場合には、明確な全体概念があって、それを念頭に起きながら他のあらゆる目標を決定します。例えば、航空会社は割り当てられたルートで空輸を行う特権の行使が全体目標となる道理があります。したがって、その他の目標は全てこれにあわせることになります。組織の下層の各部においては、全体目標を意識しながら自分達の目標を作ります。それを経営者に示して全体目標の中に組み入れて貰います。ただし、その場合各部の目標は全体目標と矛盾しない場合に限られることになります。

 目標づくりに参加した人たちは、それぞれに、目標設定に協力する機会を与えられますと、会社はより広範な目標を持つことが可能になります。さらに大切なことは、参加者の一人一人が連帯感から、目標達成への責任を持つようになることです。
 全員参加の目標設定が成功するか否かは、トップ・マネジメントの成果の成り行きいかんにかかっています。大親分が独断専行すれば、子分の管理職がこれに忠実についていく見込みはまずありません。良くあることは、上から指示されてきた目標に、白けた気持ちで盲判を押すことです。そうなると、折角上層部で設定した目標を、本気で達成しようという気持ちが薄らいでしまいます。

 一方で、その態度や参加者から出される提言やアイデアの受けとめ方が、全員参加を促進するようなトップ・マネジメントであれば、協力的な空気が生まれます。そのときは、容易に全員参加が実現することになります。
 このような協力的空気から生まれてくる目標は、より実現可能性が高くなります。しかも創造性に富んでいます。衆知の集約になりますから思考が練られ熟成します。理由は、目標を持って働く人たちが、目標を作るときに協力するからです。彼らは何が本当の問題かを知っております。種々様々な人たちが加わっていることもあって、色々な優れた解決策を出してくるのです。

 長期目標は、一般的に短期目標に比してより抽象的です。短期目標は、できるだけ明確なものにします。そして、容易に評価の可能なはっきりした業績基準を、付随しているものでなければなりません。例えば、長期目標でこういうのがあるとする。「パソコン市場における有力な競争相手との差を縮める」この場合、明確な短期目標はつぎのようになります。
1. 製造部門の目標・・今後2年間に携帯用パソコンの生産コストを15パーセント引き下げる。
2. 販売部門の目標・・今後3年間に売上高を年7パーセントずつ伸ばす。
3. 技術部門の目標・・携帯用パソコンの重量を30パーセントほど軽くする
ために再設計し、原材料コストを10パーセント引き下げられるように新しい材料を開発する。

 以上のように、ひとたび目標を設定したら、管理者はあくまでも目標を狙って追いかけます。仕事の出来具合を評価しながら、絶えず目標との距離を測り、自分の仕事がどの程度効果的に行われているか、を、理解する目印をつくり行動をより確実なものにします。

 会社の目標を設定し、これを達成しようとする場合、次に上げるようなことが経営者や管理者の指針となります。
 各経営者や管理者にとって目標は、
[希望と勇気を与える目標なのか?]それは、将来に対して希望と勇気を与えてくれる目標だろうか。しかも、経営者や管理者が、少しでも、背伸びしなければならない位、高い目標だろうか。

[堅実で包括的な目標か]
 他人の意見や思いつきに頼らないで、客観的で堅実な分析に基づいているだろうか。
 力のいれ方が長期と短期では、バランスのとれた持続力を維持できるだろうか。
(収益性、技術的リーダーシップ、マーケット・リーダーシップ、人的資源及び物的資源の成長と開発など)経営上重要なあらゆる面をカバーしているだろうか。

[明確な目標か]
 記録してあるだろうか。
 各経営者や管理者に、自分のやっていることがはっきりと分かるように、明確で量的に把握できる目標だろうか。

[充分に理解できる目標か]
 部の目標について、理解しているところを書く様に求められる際、部内の全員が同じ様な内容を書くことが出来るだろうか。
「自分自身で自分の目標設定」することが出来るか。
「自分の目標は毎日の意志決定の指標」に使っているか。
                            つづく