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≪組織の調整とコントロール≫

<組織の調整-3>

「調整役にスタッフを起用する」
 組織構造がしっかり出来上がっているときには、企業組織の階層構造の中に、調整機能を組み込むとが出来ますが、その場合、計画化がスムーズに進むような運営の手続をとることができて、調整のシステムを定めることが出来るときに限られます。
 多くの会社では、一般的に別の方法を採用して調整機能を増やすような必要性を認めています。

 前章でも説明しておりますが、スタッフの仕事は、総括的なものと専門的なものに分けられます。
 総括的な職務担当者(ゼネラリスト・スタッフ)‥‥例えば、経営スタッフ、上級管理者スタッフ‥‥は、しきりに各種活動の調整を任されます。

 とくに、経営スタッフはヨコのコミュニケーションに役立ちます。経営スタッフは屡々上位の管理者の代理として下位の管理者に接します。情報を伝えたり、フィードバックを得たり、問題を見つけたりします。そのとき、個人的な対立を処理したり、円滑な経営を行うために必要なことは何でも行うことが出来ます。

 そのとき、下位の管理者の行動にたいする経営スタッフの統制力は、彼が持つ権限の大きさによって変化します。経営スタッフは、上司の分身として行動しますが、問題の処理を行うに当たって、成功するときもありますが、たいていの場合は、対人関係の駆け引きと説得力など、ツールやスキルに頼らなければ、問題処理や目標を達成することは困難になります。

 そのような場合、一部の会社では、組織内の比較的低いレベルで『整理係』的肩書きを使って、部内の多様な活動の調整に協力させております。
 この種の調整はいずれの場合でも、よく管理された経営にとっては、非言語系のコミュニケーションが少ないため、きわめて異質のものになります。優れた経営組織と統制によって、ラインに属する部長などが、外部の助けを借りずに効果的な調整が出来るように、納得のできるコミュニケーション・システムや調整システムを社内に作るべきだと考えます。

「委員会制度」
 情報技術の革新がつづき仕事の専門化と細分化が進んだ結果、権限の委譲が進み組織内の調整方法も大きく変わっております。
 そのため今日の企業活動においては、委員会制によって管理され、中堅管理者などからなるグループは、組織調整においても重要な役目を果たしております。

 色々な立場から選ばれて調査をしたり意見を述べる委員会は、様々な意見を統一したり調整をすることが出来ます。また、活動の大筋を決めたり、必要な調整と協力の程度を定めることが出来ますが、参加者は誰でも、下された意志決定に従わないと制裁の措置を受ける仕組みになっています。

 また、参加する管理者を励ますことも委員会の役目になります。委員会に出されるアイデアの討議に参加する彼等には、必ず意志決定に際して発言の機会が与えられます。これが、定められた目標を達成しようと努力するやる気を彼等に起こさせます。そうすることによって、必ず、委員会を通して、緊密な協力関係が出来上がることになります。

 管理者によっては、委員会を、調整を行うために使用する最も効果的な武器にしております
しかし、管理者の中には、委員会は役に立つどころか障碍になると思っているものもいます。
委員会というのは、実行メンバーそのものです。ですから、達成しようとする目標を理解しなかったり、メンバー全員が無能で協力しあわなければ、委員会は全参加者の時間を浪費させるばかりでなく、調整のためというよりも調整の妨げになります。

「経営はバランスをとりながら継続」
 企業組織に影響を与える環境は絶えず変化しております。
 管理者は外的条件、社員の変化、景気の動向等、非言語系の変化をいち早くくみ取って、会社の経営上のバランスを崩すことを警戒しなければならないでしょう。

 部内の管理者の移動では、部長が厳格な場合には、柔軟な管理者は交代させられてしまいます。その結果、その部門の力のバランスに変化が起こるかも知れません。経営者は、他の部の活動がそのような変化によって、悪い影響を受けないように気配りをしなくてはなりません。
 新設工場の操業開始、あるいは、新製品の発売、大口契約の取り消しなど事業活動の節目は、いずれも、会社の企業活動に変化を与え、均衡を破る虞があります。

 このような環境の基で、バランスを保つと言うことは、益々困難になってきます。これらの変化を受け入れるには、管理者は、その役割と、トップ・マネジメントと、中間層以下の管理者の間の関係や、中間管理者達の間にある横の関係を、絶えず再検討する必要が生じます。  つづく