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戦略経営組織論
 ビジネスマンの組織環境

一桁>経営組織論?>『組織の構造』
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<ラインとスタッフの関係>

 ライン系列と、スタッフ系列に分ける組織の概念は、軍隊の組織にその起源を持 っているとされております。
 この組織の特徴は、ヒエラルキー構造(階層構造)の成長に従って、発生する複雑な問題を解決することが容易に出来る点にあります。一見すると、身分差別など不合理に見えるこの組織の構成法を、経営管理の方法として、企業が取り入れているものです。

 一般的に階層構造(ヒェラルキー構造)は、身分制度など働く人を差別するように、捉えられていますが、人間社会は、基本的に、階層性を原理として組織化されています。つまり、相互に関連する幾つかのシステムから、成り立っております。

 例えば、最も小さい家族組織は、生産活動に励む世帯主、消費生活を管理する主婦、あるいは、生活と安全を保障されて、リーダーの指示に従う子供達のようにシステム化されております。また、国の行政システムである徴税業務や郵便事業の行政機構は歴然とした階層構造になっています。

 このような階層的システムの、企業組織においてのライン権限とは、組織の中で営業とか製造業務などを、直接指揮・監督を行う権限のことを言います。つまり、ビジネス上の階級制のもとで、仕事に従事する個人に割り当てられた、職務上の責任や権限は、すべて一人の直接上司に、直に報告することになります。そして、各ライン・マネージャー(経営者、管理者)は、自分の担当範囲のあらゆる活動に責任があります。

 純然たるライン組織では、ライン・マネージャーは、仕事の予定を組み、部下を監督したり、品質のチェックをし、自分の部に関連するあらゆる意志決定を下します。
 これは小さな組織では容易に効果を発揮しますが、組織が大きくなるにつれて、運営がスムーズにいかなくなります。このライン組織は、もし、官僚主義的な上意下達の弊害が克服され、しかも、組織の複雑化にともなって、コミニュケーションの悪化という問題が生まれます。もし、これらが解決されるなら、ビジネス階層組織は、目標を達成していくための組織として効果的です。

 しかし、明らかな欠点も幾つかあります。それは、管理者の職務が多すぎて、管理者の負う負担が大きすぎる点です。現在のような技術革新の時代の管理者なら、誰でも、全ての職務を理解し、それらの一つ一つについて、時間を充分にかけることはまず不可能です。

 スタッフという職務は、常に支援活動を目的にしています。
 経営管理の分野において、ライン職とは、会社のために、実際に所得を生み出す組織上の諸機能を、表現するのに用いられる言葉になっております。製造会社でいえば、製造部門と販売部門がラインに当たります。そして、これらの活動を支援する他の全部門を、スタッフ職機能ということができます。

 メーカーなど、製造を業とする会社組織の、各種スタッフ職機能には、販売部に対して、商品販売に必要な手段を提供するマーケッティング部、金の出し入れを担当する会計部、会社の人的資源の監視的な働きをする人事部などがあります。
 スタッフ・マネージャーは、必ずしもラインの人達と、直接的な関係はありませんが、自分達の専門分野の問題について、ライン・マネージャーに助言したり援助したりします。

 2000年を迎えた最近において、大多数の組織は、ライン(直接業務)とスタッフ(支援業務)の組み合わせによる経営管理を行っています。
 スタッフは、ライン・マネージャーの職務から、スタッフがやったほうが効果的 な仕事を、ラインから解放してやります。ラインには、さらにより多くの時間を、ライン・マネージャーの部に、直接関係ある仕事に使えるよう取りはからいます。

 また、組織全体とスタッフの関連では、本来スタッフ的機能を果たしていても、スタッフ機能内部では、ライン的な役割を果たし得るということにも、注意する必要があります。
 例えば、人事部のようなところでは、求職者を募集して、選考する機能を果たすということでは、ライン活動をしております。ようするに、面接と雇用を、人事部が実際に行っているのです。しかし、対従業員関係で果たす機能については、従業員の士気や規律の問題を、ライン・マネージャーにアドバイスや協力など援助を行うこと――スタッフ機能――になります。

 また、人事部長は人事部内の面接試験係や、次長などのスタッフに対してはライン権限を持っていますが、社内の他の部門の人達に対しては、スタッフ権限をもつております。

 一方では、組織内の、ライン・マネージャーとスタッフ・マネージャーの間に、対立するトラブルが多発します。
 ラインの人達の中には、スタッフは大した役割も果たしていない、にもかかわらず、成功すると、その功績をわがもの顔にするとか、あるいは、スタッフの勧告にしたがったために、ライン・マネージャーが失敗すると、ラインに非難の矛先が向けられるといった類の不満があります。

 他方では、スタッフが、ライン権限を持ってはならない場合にそれを持ったりして、ラインの人達を混乱させるとか、部内の、部下統制の単一性に、横やりを入れて、乱すといったことも不満の種になっています。
 この種のトラブルは、自分のアイデアに、不安を感じているスタッフ・スペシャリストが、アイデアを実行する際、ライン管理者を無視して、ラインの人達に直接働きかけるようなときに発生しています。

 スタッフ・マネージャーの主な不満の原因は、ライン・マネージャーは新しいアイデアを受け入れないで、スタッフの支援が必要とする場面に於いても声をかけない。スタッフが行った勧告には逆らう、といった、職位の価値や存在を無視することでもあるのです。
 さらに、もう一つよく非難される点は、スタッフ・マネージャーには、充分な権限が与えられない、ということにもなります。

 ところで、彼らは、何といっても担当分野の専門家です。自分の意志決定を実行に移せるだけの権力を、与えられるべきであると主張をします。
 これらの問題を解決するために、経営者は幾つかの方法を試みています。その中で、最も注目される方法の一つは、ラインとスタッフの基本的関係を明確にすることです。これには、ラインとスタッフの責任と権限の明確化に、関与する者、全員に対する行き届いた教育と関連してきます。
 明確にして、簡潔な職務説明と、権限系列の的確な理解は、絶対に必要です。ライン・マネージャーも、スタッフ・マネージャーも、目標の設定に関与し、決定した基本成果領域に従うべきです。
 必要なことはラインとスタッフの競争ではなく、目的達成のためのチームワークであるはずです。   つづく