「統制の経過」 管理者の責任となる最終段階の役目は、統制(コントロール)の仕事です。 これは、この組織論の最初の段階に説明した頭字語”PLORDICOCO”の最後の音節で現されている『統制の問題』です。 統制の過程においての第一の目的は、組織活動の中で実際に起こっていることが、事業計画に沿って忠実に活動されているかどうか。『そのことについて』確認をするために行います。
経営組織の統制(コントロール)というのは、業績を上げるための
「業績基準の設定」
業績基準の必要な理由は、野球試合の『お見合い』の例のように、二人の選手の間に、フライを落下させて、ヒットにするような、職能と役目の混同を防ぐためです。 それで、内容的に価値のある業績の基準を設定するには、つぎの十段階に達する項目のチェックを経てミスを防ぐように設定します。 1 まず最初に、業績基準作成の責任は、基準を守って仕事をする従業員と、その仕事を監督する管理者の、共同責任にします。
技術革新が続き、仕事の専門化細分化が進みますと、一人の管理者が広範囲の仕事を管理することは難しくなりますから、職務権限の分散が行われます。ところが、人間行動は、決して論理的な行動を行うとは限りません。職務と責任は分権化しても、権限は委譲しないような不平等な行動をあえて行いたがります。
2 基準の設定を行う場合には、管理者が ようするに、この種の管理者による調整行為は、漢方薬による病気の予防や体力づくりに相当するものです。即効性においては劣りますが、体力をつけて弊害につよい耐性を持たせるためには、予防行為を避けることは出来ないと思います。 3 最終的な形では業績基準によって、まず従業員が個人的に責任を負う問題の最も重要な部分、簡単にいいますと、注意を集中しなければならない部分を、見分けがつかなければなりません。これは、ありのままの状況を述べ、それぞれの状況のもとで、一般的な目標を指し示すのに役立ちます。
このような業績基準作成の機能仕様は、丁度、新幹線方式みたいなものです。 4 それから、管理者と部下は、それぞれの責任範囲を充分に果たし、期間内に早く目標を達成するため、実現しておかなければならない予定の最終の成果、ないしは、状態を詳細に書き記さなければなりません。結局、この最終成果が期待される業績基準になります。 この項ではあたえられた仕事だけを進めればいいのか、それとも、組織の総体からに見て、役目上必要不可欠な手続を怠らないようにするなどの『責任と責任感』について、組織としての使命感を認識させます。
5 最終成果を、抽象的なものにはしないようにします。
技術革新によって変化する経済環境には、日進月歩以上の反応スピードが要求されるようになりました。その結果、雇用環境も大きく変り、終身雇用制度も崩れております。
6 最終成果はつぎのことを簡潔に指定します。 人物本位の組織においては、こうした要項は不要かも知れません。しかし、特別な縁故採用を望まない今日では、誰がやっても仕事が同じように出来る組織の仕組みが必要になります。結局、組織の縦や横の関係は、人間のつながりでなく、仕事の役目に、切れのない緻密な仕組みにしないと、組織は活性化しませんから、要項を具体化する必要がでてきます。 7 業績基準は各社員の仕事の評価、貢献度の評価、実際に計画通りに行われたかどうかの判定に用いられますから、業績基準は慎重に考えて作ります。管理者、部下双方の同意を得なければなりません。 人間行動には、誰にでも理解の出来る筋の通った『論理行動』、社会正義を社内で実現しようとする『非論理行動』、自分だけ分かって他人には理解の出来ない『非理性行動』の三様式があることは良く知られていますが、日常行動においては、多くの人が非論理行動をとることも広く知られています。
つまり、多くの人々は行動に先立って、合理的行動をとろうとして、自分本位のエゴが優先するわけです。ですから組織メンバーとして成熟しない間は、義務、権利、責任などの測定分析が、至難であるにも関わらず、自分なりに平等化させて、自分との境界を明らかにする意識が強く働いています。 8 管理できる範囲内で業績基準を守り、出来るだけ役立たせるようにするには、最終成果記述書を、検討中の期間内に、達成すべき最も重要な成果に限定して、作成しなければなりません。
通常のルーチンワーク的なデータでは成果は求められません。 9 業績基準には、経費、生産、販売などの確定要素ばかりでなく、部下の養成、社員相互の関係改善、自己啓発などの不確定要素も含めます。
組織においてコミュニケーションの欠如を調べた調査では、管理者側の部下からのコミュニケーションが絶対的に少ないとしている一方で、部下サイドの調べでは、管理者からのコミュニケーションは、殆どないに等しいというような相反した回答があります。 10 最後に、測定の対象となる各領域における期間開始当初に見受けられた「ありのまま」の状況と予定した期間終了時の状況の比較をして見せなければならないでしょう。
やる気がなければ、評価項目が電話帳のようになるかも知れません。しかし、責任感が芽生えて全体を見回し、自己の責務を果たすようになると、業績評価も重要項目に絞られてくるものだと考えられます。
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