企画を定義づけると、解決法を一
般的な常識範囲から求めるのではなく、独創的な唯一の解決法を求めるとい うこ
とになるかもしれません。(図1-8) 企画は、ある特定のシステムにたいしてそのシステム
の持っている特有の狙いがあり、解答をもつものです。ですから、企画は一 般的
な理論とは異なります。したがって、実際例を読んで、同じようなシステムがあれば、「右な
らえ」方式で模倣して解決する考えは成立しませんから、意味のないことに なり
ます。
そして、企画についての問題処理は、いずれの分野にも固定化されないア
ブダクティブ(確率の高い)な、発想法的なものです。(図1-9) また、企画作業
を進 める場合のワークデザインは、帰納的(インダクティブ)な学問でもなけれ
ば、演繹的(ディダクティブ)な学問でもありません。
それでは、企画とは何かといいますと、まず、考える楽しみを知って貰う
必要があります。そのために、論理教育では、事実データのインプット に意
を注ぎます。しかも、感性を育てるため、基礎の基礎を理解することを徹底
します。企画は、マニュアルを与えられ、強制されても良い結果は得ら れま
せん。日常生活に不必要と思われる多くの基礎知識に接することによって、
考えを楽しみ嬉しさを味あう感性と密接な関係のある独創力がはじめて 生ま
れそして育つのです。
企画するに当たって、最低限知っておく必要がある3つの条件がありま す。
@ 企画の定義
A 企画作業のプロセスおよび各プロセスの内容(企画作業における意 義)
B 企画テクニック(情報収集の方法、アイディア発想方法、企画書の まと
め方など )
この3つを基本として内容を認識理解する必要があります。(図1-10)参照
企画は、「知的格闘技」と称されるように、百人百様の論理
的な思考を要
します。漠然と考えているだけでは企画の価値付けが難しく、必要とす る人
に理解を求めるのは至難の業です。情念を考えとしてまとめ、言語化して、
相手に伝えるには、企画のテクニックをマスターすることで可能になり ま す。
事実、このプロセスだけを商売にして成立させているビジネスもありま
す。企画の意図について大凡を伝えれば、あとは、不足した情報を加え なが
ら、企画と企画書を作成してくれるサービスも、近頃は多くなっています。
企画とは、思う、思考すること、これが重要であると理解できます。(図1-11)参照
また、企画は仮説でもありますから、数学、物理などの研究の、まず仮説
をたてることに通じます。論理的な思考と仮説を立てることで、それら につ
いての証明するようにデータを集めて立証します。企画は、この論理的な思
考がなければ、作業を続けることはできません。
そして、企画とは、人間のためにあるものです。例えば、隣の家族が 愉快
に、豊かに暮らせるようにするようなものです。最も企画する本人自身、消
費者、生活者でもあるのです。この一生活者が感じることが消費ニーズ をつ
かんだ適切な仮説が、仮説を生むのです。これが企画のスタートラインで す。
いくら企画のテクニックに長けた人でも、生活のニーズを感ずること がで
きない人は、企画の遊びだけに終わるかも知れません。良い企画人とは、良
い生活人であることも知る必要があります。
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