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向上訓練の研究
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『ST(Sensitivty Training Method)―感受性訓練―』

◆概要
 感受性訓練技法(Sensitivty Training Method)=センシティビティトレーニングは、態度・行動変容の技法として位置づけられている能力開発訓練技法です。
 管理者のあらゆる帰属関係、情報、人・物・金などへの従属を断ち切ることによって、文化的孤立状態を作り出すようにすると、研修生はそのリアクション(反作用)により、強い集団参加意欲を生み出し、対人的共感性にたいする意識を明確にすることが出来ます。技法訓練の受講生は、このプロセスを通して、集団機能と集団形成のメカニズムを体得し、管理者みずからが自主行動することを目的としています。

◆技法の背景とその特色
 体験学習の最も代表的な技法が、この感受性訓練(Sensitivty Training)です。
 この訓練は、一九四六年、米国マサチューセッツ工科大学のグループダイナミックス研究所などが、レヴィン等の指導で、集団相互関係の成人教育担当者を、対象とした行ったワークショップの中から、生まれたものといわれております。
 レヴィンは、このワークショップの翌年に死亡しましたが、一九四七年夏に、アメリカ教育協会とマサチューセッツ工科大学とが協力して、全米各地の大学関係者を対象に、三週間のトレーニングを実施しました。これが、STの第一回目のトレーニングとなっております。

 日本に導入されたのは、一九六〇年代に入ってからです。産業教育訓練会では、パーソナリティの変容をもたらす即効的な教育訓練に、ふさわしいと誤解された面もありました。高度経済成長期の訓練ニーズに安易に応えようとしところもありましたが、一時は、モーレツ訓練とか、敏感性(センシビリティ)の育成といわれた時期もあり、現在でもその流れを汲んでいるコースがあるようです。

しかし、これらは、いずれもSTの本質を理解したものとはいえません。一部の誤ったSTによって生み出された誤解であるといえます。
 この訓練は、通常十人から十五人の小グループ(Tグループ)に、一人〜二人のトレーナーがついて、一週間前後の合宿で行われます。
 メンバーは、時間を決めて繰り返し行われる「Tグループ」に参加することを義務づけられますが、グループの中では「自由」に振る舞うことが出来ます。討議課題や話し合いのルールは示されません。すべてそれぞれのメンバーの関わりの中で決定していくことになります。つまり「グループの中で起こるすべてのこと」が学習の教材となるのです。
 従って、対人関係の感受性、社会的感受性を高め、同時に、状況に適合した行動を柔軟にとれるような能力を開発するのがこのトレーニングの狙いとなります。  一般的な効果としては次のような点があげられます。

(1) いままで気づかなかった自分に気がつきます。
(2) 自分と集団の相互作用を体験的に理解します。
(3) 対人コミュニケーションのあり方を原理的に体得します。
(4) 真理リーダーシップを体験的に学びます。
(5) 新しい建設的な動きや創造性が発揮できます。

◆実践的活用例
 標準的なカリキュラム
 STは日本に導入されてからすでに二十数年が経過しております。ですから主催する器官によってスケジュールや実施の方法にも多少の違いが生じております。
 ここでは、一九七一年から年四回定期的に実施されているIRP(Inter-personal-Relationship)研究会(立教大学社会福祉研究会内・早坂泰次郎代表)の標準モデルを示しておきます。

ベーシック

フォローアップ
 

 企業内プログラムとしての実施
 STは通常、(1) 文化的孤島で、(2) 未知の人々をメンバーとして(ストレンジャーグループ)行うのが原則であるとされています。先に紹介したIRPが他のSTにおいては、この原則は守られています。

 しかし、最近ではいくつかの条件を満たすことによって、単一組織内において実施できることが、実証的に明らかになってきております。現在ではどちらかというと、先の原則は、「Tグループ」の成熟を最も容易にするための条件である考えられるようになってきております。

 企業内等単一組織で実施する場合には、

  1. トップの理解と協力――対人関係の原理的な体験学習は、経営目的や管理の改善といったものに、直接的に効果を与えるものではないというST本来の主旨の理解」
  2. 専門家によるトレーニング――人間尊重と非操作主義を、厳格に遵守することが出来る、追指導が行われること」
  3. フォローアップ・トレーニングの実施――数ヶ月後に必ずフォローアップ・トレーニングが実施され、追指導が行われること」
等の条件が必要です。

注:「下図、NEXTで次ページへ続く」



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