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将 棋

私と将棋の出会いは定かでないが、小学校低学年の頃、夏休みに田舎に帰ったとき、近所の友達やおじさん達と縁台将棋をしていた記憶があることから見ればかなり古い。
その後ヘボ将棋の域を出ずなんとなしにやっていた様だ。それが急に力を入れ始めたのは「あの人」に出会ってからだ。
昭和36年10月に小倉・篠崎へ自宅を新築、八幡より引っ越した。隣に八幡大学学長の吉田五郎先生も引っ越して来られた。同じ新築仲間ということで非常に懇意にさせていただいた。この吉田先生が何と「将棋五段」という腕前である。
早速お手合わせ願ったが、かなう筈がない。非常に几帳面な方で棋譜を書いて講評まで付けてくれた。やはりやる以上はある程度以上にならなければと、それから一念発起、「将棋世界」を読み耽った。本で研究すると同時に先生に実践で教えてもらえば早く上達するものを、無惨な負け方をするのが嫌で、ある程度うまくなってからと変な意識が働いて手合わせしなかった。
約一年をかけて、待望の「初段」の免状をとることが出来た。昭和43年12月1日の事である。何事も「成せば成る」である。
世間では将棋の正式有段者は囲碁に比べ非常に少ない。しかし囲碁と違って免状なしの強い人はザラにいる。やはり将棋の方が囲碁より底辺は大分広いようだ。
私は将棋は投機(Speculation)
   囲碁は投資(Investiment)
と思っている。
将棋は一手のミスにより挽回不能となる。盤面も狭い。従って一手の価値は非常に大きい。又、玉が詰まされるわけだから負けたときの屈辱感は囲碁の比ではない。その代わり勝ったときの気分は最高だ。将棋を「投機」と考える訳である。
それに比べ囲碁は盤面が広く、一手一手の積み上げが勝利をもたらす。序盤で失敗しても取り返すことが出来る。まさに「投資」である。
私は囲碁、将棋と両方やるが両者のそういった違いをよくわきまえてやると非常に面白い。



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