上顎前突の判定基準
0:問題なし
1:上下前歯が水平方向で3~5ミリ離れているもの
2:上下前歯が水平方向で6~7ミリ離れているもの
※判定が「1」であっても、気になるようでしたら、歯科医師にご相談ください。
上顎前突症(出っ歯)の治療方法について概略的な説明
ここでは、上顎前突(出っ歯)の治療法について、私なりの見解をまとめておきます。治療開始時期に分けて、まとめてみますね。
1.乳歯列期(概ね6歳前まで)
この時期に問題となるのは、指しゃぶりですね。4,5歳でやめれば骨格的な影響は少ないと言われておりますので、ある程度は大目に見てあげましょう。指しゃぶりは上顎骨の成長を助ける意味もありますので。
幼稚園や保育園に行って、遊ぶのに忙しくて、あるいは他人に言われるのが嫌で自然とやめるのが一番良いと思います。
問題となるのは隣の部屋でも聞こえるぐらいチュバチュバしたり、一日中やっていたりすると悪い影響が出ます。力の強さと作用時間の問題ですね。こういった場合は、歯科矯正専門医にご相談ください。やめるための補助的な装置から、「やめないとこうなるよ。」の写真を見せてあげます。
あと、アレルギー性鼻や花粉症など、耳鼻科的な問題があれば、耳鼻科医にご相談ください。鼻づまりでも出っ歯になります。(アメリカのハーボルト先生の動物実験でも 証明されております。)
親や親戚、ジジババが出っ歯なら、。遺伝要素も考えないといけません。気になる場合は、小学校入学までお待ちください。先にも書きましたが、小学校以前では矯正治療を理解出来ませんし、そうであれば矯正装置を使ってくれません。
2.6歳から10歳ぐらい(前歯部の永久歯への交換期、混合歯列期)
1)骨格的な異常(上顎骨過成長、下顎骨劣成長)があるのか、
2)機能的な問題(耳鼻科的な問題)があるのか、
3)指しゃぶりなど悪習癖による上顎骨や歯列の変形があるのか、
など、いろいろな要因がありますので、慎重に診断して治療してゆきます。
乳歯のむし歯により第一大臼歯が前にずれてきていれば、元に戻します。上顎骨過成長であれば、成長を抑えるような装置を使います。
3.中学生から高校生(12歳から18歳)
思春期成長期ですので、下顎骨劣成長タイプの上顎前突では下顎骨の成長を期待して治療を開始する時期です。ただし、日本人の場合、うまくゆくとは限りません。また、顔面形態(フェイシャル・パターン)によって難しい場合があります。=そのへんもちゃんと診断します。
骨格的に以上がある場合、あるいは、上顎前歯の唇側傾斜がある場合、小臼歯を抜くことで前歯を下げ津場所を作り、、ブラケットを付けて治療します。
4.成人症例(18歳以降)
骨格的に異常があれば=上顎骨過成長あるいは下顎骨劣成長、あるいはその両方)がある場合は、外科的に対応します。下顎骨劣成長タイプは後戻りがしやすいので綿密な治療計画が必要です。
保険導入前は200万円以上かかる治療でしたが、現在では3分の1ぐらいの治療費で治せます。 骨格に異常がない場合、あるいは手術をしたくない場合はブラケットを付けて治せます。
※骨格に異常がある場合、マウスピース矯正(インビザラインとか)では、絶対に治りません。(治せません!)
※外科的に治療する場合、術前歯科矯正治療を含めて最低でも4年の時間がかかります。また手術は全身麻酔下で行われますので、それなりの覚悟が必要です。
※第Ⅰ期治療(12歳以前の歯科矯正治療)で骨格的な異常を修正し、原ナビについては第Ⅱ期治療で行う場合も、治療期間は長くなります。乳歯から永久歯への生え換わりだけでも6年から9年かかりますので、ある程度は仕方ないことだと考えます。コレは第Ⅰ期治療で土台を治して、第Ⅱ期治療で家を建てる感じです。