ビルフラン物語

「前書き」という名の言い訳

 「家なき娘」と言うと、あまりご存知ない方も多いと思いますが、「ペリーヌ物語」というと、聞いたことがあると言う方もいらっしゃることでしょう。
 日曜夜7:30からの名作枠で放送されていた作品ですが、「ラスカル」、「アン」というメジャー作品に挟まれた、比較的影の薄い存在となっています。
 しかしストーリーは決してそれらの作品に劣るものではなく、十分、肩を並べられる実力を持った名作です。ここで細かなストーリーを紹介はしませんが、未見の方はぜひ一度、全話を通してご覧になることをお勧めします。
 さて、長々と「ペリーヌ物語」の話をしましたが、この作品と、これから書く予定の「ビルフラン物語」は、実は深い関係にあります。というのも、「ビルフラン物語」は「ペリーヌ物語」の前段に当たる部分を小説にしようという、無謀な野心で書かれることになったからです(どのように関係するかは、「ペリーヌ物語」、または「家なき娘」をご覧になったことのある方なら、すぐにお分かりになるでしょう)。
 しかし、いざ書き始めてみると、当時のフランスを中心とする国際情勢が分からない、経済状態が分からない、一般の人々の暮らしが分からないと、自分が無いナイ尽くしであることに、気づきます。
 ここで、執筆をいったん中断して、綿密に調べ直してから書き直すか、それとも細かいことに拘らずに、好きなように書き進めるかの選択に迫られたのですが、
「別に、これで食っていこうと考えているわけでもないし、自分の好きなように書いたほうが楽しいや」
という安直な結論の元、あまり細かいことは気にとめずに書き進めることに決定しました。
 というわけで、いろいろと不備や不手際があるものと思いますが、設定よりもストーリーを楽しんでいただけましたら幸いです。
 なお、この作品はアニメの「ペリーヌ物語」よりも、岩波文庫の「家なき娘」に近い設定になっていますが、それでもアニメしか知らない方や、両方を知らない方でも十分楽しめるよう、心がけるつもりです。
 第一章掲載時点で、書きだめがほとんどないため、掲載ペースはおそらくかなり遅くなることでしょう。一応、月一回、月末掲載を目標としますが、どうなるかは暖かく見守ってください。  なにしろ、原作には登場しないオリジナル人物が多数、登場しますし、パンダボアヌ家のエピソードや人名の多くも、わたしが適当に考えたものですから、
 「勝手にこんなストーリーを作りやがって!」
というお怒りの声も聞こえてきそうですが、そこは、まあご勘弁ください。

 なお、この作品を記すにあたり、ペリーヌ物語の部屋の主催者である眠夢さんや、その他の方々から、多大のご協力を賜りました。この場をお借りしてお礼申し上げます。


目次
第一章 マロクールへ続く道
第二章 ビルフランの野心
第三章 古工場
第四章 試練と前進
第五章 支援
第六章 ビルフランの求婚
第七章 タランベール家への招待、そして・・・
第八章 失意と悲嘆
第九章 告げられた事実
第十章 ロベールの告白
第十一章 困惑と決意
第十二章 パンダボアヌ工場
第十三章 乳母
第十四章 タルエルの居眠り
第十五章 過去の残影
第十六章 不況
第十七章 挑戦
第十八章 奔走
第十九章 ぎりぎりの選択
第二十章  父の影
第二十一章  オーレリーとガストン
第二十二章  去りし人
第二十三章  パリの夜
第二十四章  二つの遺言
第二十五章  確執
第二十六章  タルエルの決断
第二十七章  リュックの苦悩
第二十八章  エドモンの帰郷
第二十九章  エドモンを巡る人々
第三十章   タルエルとギョーム
第三十一章  工場訪問
第三十二章  スタニスラス夫人の訪問
第三十三章  スタニスラス夫人の訪問(その2)
第三十四章  密談
第三十五章  終幕と開幕
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