私たちの生命維持に欠かせぬ「食」。いまの日本では真にありがたくも、食べることに苦労する人よりも食べ過ぎないように苦心する人々のほうがずっと多いようです。今回はそんな食生活のちょっとしたポイントをお話しします。
肥満を防ぐにはどのような食生活が良いか、またそもそも人は一日に何食たべるのが良いか、など以前からよく問われてきた疑問があります。一般的には厚労
省の推奨案をはじめ一日3食均等にとることとなってきました。ただ肉体労働量が極端にすくない現代人においては少々工夫がいりそうで、栄養学の専門家の間
でもこのような点に関して数々の研究がなされています。
■まず、2008年の米国小児科学会での発表で、毎日朝食をとる小児の群の平均肥満度【BMI】は21.7であるのに対して、ときどき朝食を摂る群は
22.5、まったく朝食をとらない群は23.4と「朝食をとるほど肥満指数は低い」ことが示されました。この理由はいくつか推察されていますが、朝食を抜
くことで同時に摂る水分量も減るわけで、利点どころか脱水傾向へのリスクまで増えてしまいます。もとより夕食からの経過時間や一日の活動開始のためのエネ
ルギー補給を考えれば「朝食抜き」が良くないことは自明の理ですね。■次にスペインの大学で昨年、「肥満を防ぐには朝・昼・夕食どの食事でカロリーを多く
とると良いか」という研究が18才以上の男女4,243人を対象に行われました。その結果、「昼食で摂るカロリーが最も多いグループは最も少ないグループ
に比べて、3年半の間に体重が3kgを超えて増える人が4割程度も少ない」ことが判りました。この傾向はすでに肥満のある人そして女性においてより顕著で
した。■さらに、2011年の米国睡眠医学会では「夜更かしの人は正常睡眠の人よりも肥満度【BMI】が高いこと、そして果物や野菜をあまり食べておらず
午後8時以降の摂取カロリーが多かった」との報告がなされました。ここで正常睡眠の人と夜更かしの人の間で総カロリー摂取量に大きな差は無く、また就寝時
刻と肥満度の関連がなかったことから「カロリー摂取の時間帯が肥満度に強く関連した」と述べています。
これらの結果をあわせると、朝食は抜かずに昼食に重きを置くこと、夜更かしせず夕食はできるだけ早く軽く済ませること、が肥満予防に役立つと考えられま
す。会社勤務をされている方々にはなかなか難しい点も多かろうとは思いますが、皆さんの日々の食生活へのヒントとしてお役立てください。
大西内科クリニック