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「白鳥 の首のエディス」(短編)
EDITH AU COU DE CYGNE
初出:1913年2月「ジュ・セ・トゥ」誌97号 単行本「ルパンの告白」所収
他の邦題:「神秘の闇」「壁布紛失事件」(保篠龍緒訳)「古代錦事件」(田中早苗 訳)「蜀江の錦」(小酒井不木)「古代壁掛けの秘密」(ポプラ)「白鳥の女王」(氷川瓏)「白鳥のような首をもつエディット」(角川)「白鳥の首をしたエディス」(青い鳥文庫)など

◎内容◎

 ブラジルの富豪スパルミエント大佐が所有する歴史的な12枚のタペストリー。そのうち一枚「白鳥の首のエディス」を盗んだルパンだったが、輸送中に発 見・回収されてしまった。悔しが るルパンは「次は12枚全部いただく」と犯行を予告。スパルミエント邸では水も漏らさぬ厳重な警戒体制が敷かれ、多くの賓客を招いて盛大なパーティーが開 かれるが、ルパンは全く不可解なやり方でまんまとタペストリーを盗み出してしまう。大佐はショックで自殺し、世論はルパンを非難するが、インドから帰国し た宿敵ガニマール警部は真相を見抜いていた――!



◎登場人物◎(アイウエオ順)

☆アルセーヌ=ルパン
怪盗紳士。

☆エディス=スパルミエン ト
スパルミエント大佐のイギリス人の妻。

☆ガニマール
国家警察部の主任警部。ルパンの宿敵。インド出張から帰国。

☆スパルミエント大佐
ブラジル人の富豪。

☆ソニア=クリチーノフ
ロシア人の女泥棒。「宝冠事件」でルパンと共に失踪した。

☆デュドゥイ
国家警察部部長。

☆ビクトワール
ルパンの乳母。

☆わたし
ルパンの友人で伝記作者。


◎盗品一覧◎

☆12枚のタペストリー
16世紀にアラスの織師ジュアン=ゴッセの刺繍によるタペストリーで、ウィリアム1世(征服王)の妃マチルド作と伝わる「バイユーのタペストリー」を模し たも の。ウィリアム1世によるイングランド征服をテーマにした連作で、その中の1枚「白鳥の首のエディス」が傑作。ブルターニュで発見された直後にスパルミエ ント大佐が5万フランで購入したが、実際には50〜100万フランの値はつくという。

☆タペストリーにかけられてい た盗難保険金
総額80万フランの保険金。ソニアが未亡人を演じて35万フランまで受け取ったが、残り45万フランはガニマールに阻止された。


<ネタばれ雑談>

☆ルパン犯罪歴中の最高傑作!?

 『赤い絹のスカーフ』を“シリーズ最高の短編”と 紹介しておいてナンだが、僕個人としては本作『白鳥の首のエディス』を ルパン・シリーズ短編中の「一番のお気に入り」に挙げてい る。『赤い絹のスカーフ』は偕成社版で初めて読んだとき、カバーの煽り文句で「傑作」と紹介しているせいもあって身構えちゃったようで、実はそれほどの読 後感はなかったのだ。ところがそのあとにある『白鳥の首のエディス』の何と面白いこと!

 この短編は「わたし」とルパンが「ガニマール論」をしているところから始まる。これまでさんざん道化役をやらされていたガニマール警部が実は凄腕なのだぞ、とルパンが言い出すあたりから 普段と違う。この作品はあの『逮捕』以来、ガニマールが大活躍する話なのだと示されるのだ。

 物語がルパンが盗みに失敗したところから始まるのも異例。腹立ちまぎれに「次は12枚全部いただく!」とルパンが声明を出す。『獄中のルパン』『ルパンの冒険』以来の予告強盗だ!いっぱい やってるイメージが流布しているが実は「予告強盗」はあんまりやってないんだよね。狙うお宝はまさに歴史的逸品でいかにもルパン好みだ!
 予告されたからには、盗まれる側も厳重な警戒体制をしく。窓をぬりつぶす、非常ベルをつける、元刑事の腕利き警備員が配置され人の出入りを徹底チェッ ク、タペストリーの陳列室には二重の装甲扉、鉄格子に鎧戸つきの窓…まさに完璧な防犯体制。盗み出せるはずがないではないか!

 ところが!ルパンがこれをまんまと盗んでしまう!読者としては期待どおりなわけだが、方法は全く分からない。まさに「ミステリー」というわけで、泥棒が 主人公でありながらきっちり本格推理になるという、なかなかお目にかかれない話になるのだ。おまけに事件は思わぬ展開をたどってゆき、あれれ…と読み進む と、宿敵ガニマールが登場、ここで彼が名探偵役となりまさに快刀乱麻、アッと驚く真相を解き明かす。
 これ、まさに驚愕の真相なのであるが、読み返してみてもほとんど穴がないし、ガニマールの推理経路もいたって論理的だ。消去法により真相に到達する部分 なんてゾクゾクしてしまう。まぁこれも超人的な変装能力をもつルパンにしかできないトリックといえばその通りなんだけど。
 結局はルパンはまんまと逃亡に成功する結末ではあるが、その目的の半分ぐらいはガニマールによって阻止されてしまった。ルパンの「怪盗」ぶりがいかんな く発揮された作品であると同時に、宿敵のガニマールにも名探偵ぶりを発揮させてにも花を持たせた、読後感も爽やかな一作。『赤い絹のスカーフ』は確かによ く出来た話だが、この『白鳥の首のエディス』だってそれと双璧をなせる傑作短編だと僕は強く推してしまう。
 
 さて、この作品は実は『告白』に納められた短編の中では発表が一番遅い。1911年4月から9月にかけ「告白」シリーズ6作の連載をひとまず終えた後、 ルブランは戯曲『アルセーヌ・ルパンのある冒険』を 執筆、それから次なる長編『水晶の栓』の執筆に入っ て1912年秋にこれを新聞連載、その後1912年末から1913年はじめにかけて「ジュ・セ・トゥ」誌上に『ルパンの結婚』『麦わらのストロー』そしてこの『白鳥の首の エディス』を連載している。
 その後単行本に納められた際に順番は変えられたが、発表順に見るとこれが「告白」シリーズの最後の作品であったことになり、ルブランも思い入れをこめて 構想したんじゃないかな、と思える。宿敵ガニマールに花を持たせているのもその表れだし、『ルパンの冒険』で登場した女賊ソニア=クリチーノフと乳母ビクトワールが再登場するのも、読者(あるいは舞台の観客)の「アンコール」の声に応じるような作 者の気分だったんじゃなかろうか。

 そして結果から言うと、発表順では本作が「正統派ルパンもの短 編」の最後の一本となった。その後もルパンものの短編は存在するが、『八点鐘』『バーネット探偵社』といった連作であり、いずれも盗みがテー マとはなっておらず、主人公がルパンでなくても成立する内容だ。短編に限ったことではなく長編でもルパンの冒険はとくに盗みとは関係がなくなる傾向があ り、ルパンがいかにもルパンらしく、「怪盗」として活躍するのはこれが最後――とも言えるのだ。


☆ガニマール、インドへ出張!?

 本作は事件の経緯を伝える前半と、謎解きをする後半とで構成されていて、ガニマールが登場するのは後半から。それも実はルパンの策謀により、なんとインドへ出かけていたことが記されている。
 インドに出かけた理由は「宝冠事件およびソニア・クリチーノフ失踪事件」、つまり『ルパンの冒険』で語られた事件のあと、ルパンの部下のタレコミなるも のを信じて、というからソニアとルパンがインドに逃げているとの情報をつかまされたのだろう。ソニアについてガニマールが「去年、宝冠事件のとき、わたしがとらえたんですが、ルパンが逃がしてやった ロシア女」と話していることから、『白鳥の首のエディス』が『ルパンの冒険』の翌年の事件であること、また『冒険』におけるゲルシャール警視正が小説内ではガニマール本人にほかならないこと が明らかとなる。
 『ルパンの冒険』の雑談でも触れたように「宝冠事件」は舞台劇という性質上年代特定が難しいが、「ルパン28歳」という明記を信じるなら1902年ごろ の事件なので、『白鳥』は1903年あたりの事件ということになりそうだ。

 ルパンを追ってインドまで!さすが銭形警部の原型と思ってしまうところだが、そもそも『ルパン逮捕される』でもルパンを追ってヨーロッパを駆け回り、ア メリカまで先回りしてルパンを捕らえていた。インドぐらいなんのその、であろう。物語化こそされていないが、ルパンだってアルゼンチンやアルメニアに出か けたことが確認されている。
 実はインドにも、ルパンとソニアが出かけていたことがある――ただし戯曲『アルセーヌ=ルパンの帰還』中の話。正確にはチベットに行っ たのだが、当然インドにも寄っているはず。この戯曲についてはその雑談で詳しく触れるが、もともと舞台化計画が持ち上がったときに最初に書かれた、いわば 「パイロット版」のようなもので、『ルパンの冒険』と登場人物がかぶりながら微妙に設定が違うパラレルワールドな話となっているため「ルパン正史」扱いし にくい作品である。
 「正史」でないのなら、と余談を続けると、江戸川乱歩の『黄金仮 面』ではルパンは日本まで出かけている。『白鳥の首のエディス』でインドすら「極東」と表現されてるから日本なんてそれこそ「地の果て」だ ろう(笑)。このときはさすがにガニマールは追ってこなかったが、『813』『虎の牙』で登場したウェベール(エベールと表記)が日本まで追ってきた。

 ルパン・シリーズ第一作からのレギュラーであった宿敵・ガニマール警部の登場は名残惜しいことに本作が実質最後。シリーズ中の年代ではこのあと『奇岩城』でルパンと最後の対決をすることになる(そういえばこの話でもルパンにつかまったためとはいえアフリカあたりを旅して いた)。その後まもなく定年で引退したものと思われ、それ以降の作品は登場していない。唯一『ルパン最後の事件(ルパンの大財産)』で新聞中のコメントで 読者サービス的に「登場」はしているが。
 ガニマールの上司でシリーズ第2作から登場していた国家警察部部長のデュドゥイ氏もこれが最後の登場。彼はその後1908年に死去したようで、ルノルマン氏が後任につくこととなった(『813』)


☆親譲りの無鉄砲で子供の時から盗みばかり…(笑)

 『ルパンの冒険』のヒロイン、ソニアの再登場も嬉しい。それもルパンの共犯として、イギリス女性に変装して(ガニマールはすぐ分かったらしいが)「悲劇の未亡人」を演じ てみせるなど、なかなかの手腕を疲労する。ただ「ルパンにほれて、 ルパンのためなら殺されてもいい女」とガニマールが評しているのだが、他の作品からするとルパンと結婚した様子はない。『奇岩城』の一年前 (1907年)に悲劇的な死をとげたことがわかっているので、どうも本当に「ルパンのために命を捨てた」可能性が高い。

 もう一人のヒロイン(?)、ルパンの乳母ビクトワールも、シリーズではこのあとしばらく見かけなくなる。ところで本作でガニマールがルパンの存在に気づ くきっかけが、ビクトワールが「ぼっちゃん」という 呼びかけを使うこと。これ、原文では「mon petit(モン・プチ)」で、おもに小さい男の子に対する呼びかけなのだが日本語訳する場合には訳者の解釈により「ぼうや」「ぼっちゃ ん」「おまえ」など多様に変化する。「ぼっちゃん」「ぼっちゃま」と訳すとビクトワールがルパンにかなりへりくだった召使的表現になるのだが、「ぼうや」 「お前」と訳すとかなり乱暴なタメ口をきくようになる。このビクトワールの扱いは訳者によりいろいろで、どれが正解とも言い切れないところ。
 で、どうしても日本人としては気になっちゃうのが夏目漱石の 小説『坊っちゃん』の存在だ。『坊っちゃん』の主人 公と下女・清の関係がルパンとビクトワールのそれと類似することは中島 河太郎氏が指摘したことがあるが(あくまで連想す る、という指摘だけど)、実は「坊っちゃん」とルパンは「同時代人」でもある。『坊っちゃん』が発表されたのは1906年のことで、ルパン 年代的にもまさにドンピシャ。ただし戯曲「アルセーヌ・ルパン」が発表されたのは1908年で、漱石のほうが発表が2年ほど早い。まぁ単なる偶然なんで しょうけどね。
 漱石は1900年にイギリスへ留学する際、途中でパリの万国博覧会を見物している。このときに実はルパンと遭遇していた――というシーンが、芦辺拓氏のパスティシュ『真説ルパン対ホームズ』にある。ビクトワールの件については 何も出てこないけど。

 その「坊っちゃん」ことルパン当人はといえば、「わたし」とガニマール論を語る中で、実に彼らしい手前勝手なポリシー(笑)を披瀝しているのが面白い。 ルパンが警察官を称えるのを聞いて「わたし」が「きみはまるで善良 な市民だね」とからかうと、以下のようなセリフを吐く。

「市民じゃなかったら、なんだね、ぼくは?他人さまの財産については、いささか変わった考えはもっているが、 自分の財産となれば話はまるで別というもんさ。おっと、ぼくのものに手を出そうなんてよくない料簡だ。けものにもなりかねんぞ。だめだめ!ぼくの財布、ぼくの札入れ、ぼくの時計だ…手を出すな!き み、ぼくは保守精神の持ち主だよ。ささやかな金利生活者の本能と、あらゆる伝統と権威に対する尊敬をもちあわせているのさ」(偕成社全集版、長島良三訳)

 「お前のものはオレのもの、オレのものはオレのもの」というやつですな(笑)。
 この話の中でガニマールが真相にたどりつく出発点が「ルパンとい う男は、どんな場合でも、ただ同然の仕事はもちろんのこと、何百万、何千万といった仕事のときでも、人を殺すなんてことはしないし、人の死にかかわること も望まんのです」ということだった。常にどういう結果を招くか考えてやる、とも言っているのだが、『地獄の罠』なんか読むと「そうかぁ?」 と思えるし、『黒真珠』の殺人事件でもガニマールは 「ルパンのにおい」をかぎつけたりしていたものだ。

 真相を知る由もない新聞記者が書いたルパンの犯行が人の死を招いたことを非難する記事で、「ルパンのそのいたずらも、悪徳銀行家、ドイツの財界人、はでな暮らしのうさ んくさい外国人、資本家どもが出資しあった株式会社に向けられているかぎりにおいて、許されるのだ」と書いている。悪徳銀行家はともかくと して、あとの三者は「許される」というのは…(汗)。
 発表年を見れば分かるように、翌年7月には第1次世界大戦が勃発するという時期の話で、フランスの対ドイツ感情はかなり激しいものになっていたことがこ んな些細なところにもうかがえる。ドイツにからめて「うさんくさい外国人」までそうした敵視の対象になっていたことは続く『金三角』にも見ることができ る。資本家達の「株式会社」が標的になるのは、労働運動・社会主義思想が背景にあるのだろうか。別に社会的に支持を受けたわけではないが、ルパンと同時代 に「ボノ団」という無政府主義を標榜する強盗団が実在した(ただしルパンと違って暴力・殺人はかなりやった)ことも連想 ばなしとして書いておきたい。


☆「白鳥の首のエディス」とは?
 
 さて、今回のお宝「白鳥の首のエディス」の歴史的 背景について。まず日本人にはどうしても馴染みのない、仏英両国にまたがる歴史講座を先にやっておこう(『奇岩城』の雑談でもちょこっと解説したことなんだけど)
 10世紀に北欧ヴァイキングの「ノルマン人」が族長ロロに率いられてフランス に侵入、フランス国王はロロにフランス北西部のセーヌ河口付近を領土としてあたえ、彼を臣従させた。これが「ノルマンディー公国」の始まりだ。ルパンのふるさとともいえる 「ノルマンディー地方」の名はここに由来する。
 1066年、ロロの子孫のノルマンディー公ギョームは 海を渡ってイングランドに侵入、ヘースティングスの戦いでアングロ・サクソン系のイングランド王ハロルド2世を戦死させて 勝利し、みずから新たなイングランド国王に即位した(「ノルマンの 征服」)。「ギョーム」の英語読みは「ウィリアム」であるため、イギリス史では彼を「ウィリアム1世」「ウィリアム征服王」と 呼ぶ。これが現在にいたるイギリス王室の開祖ということになるわけだ。

 さてこの「ノルマンの征服」の成功を記念して直後に作成されたのが、作中にも言及される「バイユーのタペストリー(Tapisserie de Bayeux)だ。ウィリアム1世の王妃マティルドが作ったと伝え られ「マティルド王妃のタペストリー」とも呼ばれるが(これも本文 中に書かれている)、あくまで伝説であり、実際には彼女はタッチしていないものとされる。
 このタペストリーは「ノルマンの征服」のヘースティングスの戦いまでを描いた、日本で言えば「絵巻物」だ。今でこそ国宝扱いのシロモノだが、長いことノ ルマンディーのバイヨー修道院内で保管されたままほとんど存在を忘れ去られており、フランス革命のときには武器箱のカバーに使われてしまったこともあった そうで。1803年にナポレオン1世がパリに持ってこさ せ、イギリス征服の参考にしようとしたなんて話もある。その後バイヨーに戻されるが、第二次大戦時にはフランスを占領したドイツ軍により接収され、一時 ルーブル美術館に保管されたこともあるなど、このタペストリーじたいが大波乱の歴史をたどっている。(下の写真は「バイヨーのタペストリー」の一部)



ヘイスティン グスの戦いに向かうノルマン軍。
ハロルド戦死 の場面らしい。

 さて『白鳥の首のエディス』で出てくるタペストリーはこの有名な「バイヨーのタペストリー」を模して、16世紀にノルマン征服で活躍した武将の子孫が作 らせたことになっている。その中に、もとのタペストリーにはない場面、「ハロルドの遺体を捜し求める悲劇の女王エディス」の一枚があ り、これが「白鳥の首のエディス」と呼ばれ、スパルミエント大佐のイギリス人妻そっくり…ということになっている。
 
 「白鳥の首のエディス(Edith Swan-Neck)」と はハロルド2世の愛人のことで、厳密には王妃というわけではない。と いっても教会が認めた結婚ではなかったというだけで20年つきそった事実上の妻であり、二人の間には複数の子どもも生まれていた。1064 年にハロルド2世は教会も認証する形で別の女性と結婚をしているが(や やこしいことにその相手も「エディス」だった)、これはあくまで政略的な意味合いの強い実質をともなわない結婚であったらしい。
 1066年のヘイスティングスの戦いでハロルドが戦死した際、ノルマン軍はその死体を斬りさいなみ、ハロルドの母が埋葬のために「同じ重さの金との交 換」を条件に遺体の引取りを求めたが、これを拒否した。その後この「白鳥の首のエディス」が愛する夫の遺体を求めてヘイスティングスの戦場をさまよい、彼 女のみが知っていたハロルドの胸の特徴によりハロルドの遺体を回収して埋葬できることになったという。この伝説は19世紀に詩人ハイネ(1797-1856)により「ヘイスティングスの戦場」と 題する詩のテーマとなり、「白鳥の首のエディス」の名を一躍高めることになった。ルブランもこのハイネの詩によるイメージを前提にこの小説を書いたのだろ う。
(おわび:この「白鳥の首のエディス」の伝説に関する部 分、当初まったくの勘違いを書いており、一週間近くそのままになっておりました。史実確認をいい加減にやって「誤訳」とか書いちゃっていました、すいませ ん)


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