1.「水晶の栓」Le bouchon de cristal(1989) | |||
原作通りのゴリ
ラかオランウータンを思わせるキャラクターに劇画化されたことでドーブレックの怪物ぶりがさらに際立っています。 原作通りルパンは何度も変装して登場するのも見どころ。最初に泥棒に入るところとラストシーンだけ燕尾服にマントのいわゆる「ルパン・ファッション」に なっていますが。 ルパンの乳母ビクトワールもちゃんと登場するのが嬉しい。ルパンのクラリスに対する思慕はカットされてしまいましたが、あの余韻のあるラストはそのままで す。 |
2.「813・ルパンの二重生活」813 - La double vie(1990) | ||
「813」は原
作の副題のままきちんと2分冊。そのためタイトルがネタばれになっちゃってますが… 改変はほとんどないのですが、ルノルマンにルパンから電話がかかってくるという原作にないシーンがあります。 セルニーヌ公爵ことルパンは一貫して立派な口ひげを生やしており、これが続編まで引き継がれます。 |
3.「続813・ルパンの三つの犯罪」813 - Les trois crimes(1990) | ||
これも原作にほ
とんど忠実に漫画化されているのですが、さすがにラストは詰め込み状態。最後の4ページで真犯人解明からルパンの飛び込みまであるんですから、もうあわた
だしいこと、あわただしいこと。笑えちゃうぐらいです。 「Apollon」の言葉にルパンがたどりつくとドイツ皇帝に「ホームズ (ショルメス)が4日で解き明かしたわ、初歩だぞ、ワトソン君!」と 言われてしまうところは原作にないけど面白い(笑)。 それにしてもフランス新版の表紙はいったい何の話なんだ。 |
4.「緑の目の令嬢」La demoiselle aux yeux verts(1992) | ||
意外なチョイス
です。ルパンの長編傑作を選んだ場合、「緑の目の令嬢」がくることはほとんど例がないです。内容的にもソフトだし、漫画化しやすいという判断があったかも
しれません。あと世界的にも有名な「カリオストロの城」の元ネタであるということも大きかったかも知れません(笑)。上右図がまさにそのシーン。 ページ数にも余裕があるので原作にほぼ完全に忠実な展開。「火を貸してくれ」のギャグもしっかり連発され、「マレスカルは〜」のあの場面もちゃんとありま す(笑)。 それにしてもフランス新版の表紙…これまた全く内容を連想させません。 |
5.「奇岩城」L'aiguille creuse(1994) | ||
おおむね原作通
りですが、終盤のエギーユ・クルーズの場面で、ボートルレがストレートに内部に入って行ってしまうため、ガニマールたちがどうやって入って来たのかわから
ない展開になってしまっています。 ルパンの伝記作者「わたし」の自宅でルパンとボートルレが対決する場面が上右図ですが、「わたし」はルブランのことと断定されてます。そういえば顔も似せ て ありますね。 女性の描き方はジュロンさんの趣味が濃厚に出ており、この時代にこういうファッションはないだろう…と思うところも多いし、レイモンドのデザインも現代的 にすぎる気もします。 出版年からするとこの作品がジャック=ジュロンの遺作ということになるようです。 |
6.「特捜班ビクトール」Victor,de la brigade mondaine(1998) | ||
ジャック・ジュ
ロンの死後、1998年になって出た新作。シナリオを担当したのは同じ人ですが、画風はガラリと変わりました。ちょっと「わたせせいぞう」風味ですね
(笑)。 残念ながら日本版は発売されていません。僕はフランスのアマゾンを利用して直輸入で取り寄せ、ようやく読むことが出来ましたが、当然全部フランス語、しか も筆記体風に書かれているのですらすら読むのはかなり困難です。大筋で原作通りなんですが、原作にある複雑な二重浮気話はかなりカットされてますし、ラス ト数ページは原作にはないアクションシーンが入ってます。たぶんページが余っちゃったんじゃないかと。 例によって新版の表紙は意味不明だなぁ… |