過去の雑記 07年 6月

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6月29日
 cocoさん作成の『早川さん』バナー、いろいろ。使用例をいくつか見たが、軒並み↑帆掛さんで笑った。早川さん、立場なし。

 『ゴーレム100を読了。えーと。タイポグラフィックも含めたグラフィカルな部分は、よくやるなあとは思ったものの、そこまで感心しなかった。実験的な面では、マキシマム ザ ホルモンとしか思えない(< その連想はどうか)最後の場面など、言葉遊びの方が印象深い。でもより印象深いのは、物語自体。っと、これだけいろいろ遊んでいる作品で一番印象深いのが物語というのは、すごいことだよな。
 でも、情ではピンと来ておらず、理ですごいと思っている部分はやはりある。物語の力も、構成の密度も、文章の気品も劣っていたとしても、『ゴールデン・エイジ』のほうを愛しているのは否定しがたいのだった。

 それはもう、「精霊の守り人」の完成度は認めつつも、「キスダム」を愛するようなもので。

 ごめん、うそついた。「キスダム」はそこまで愛しちゃいない。

SFM07年 3月号。3月号恒例の英米SF受賞作特集号。

パオロ・バチガルピ「カロリーマン」
 石油が枯渇し、バイオ燃料全盛となった世界。世界の経済は、バイオ燃料の原料となる作物の遺伝子特許を抑えた大資本が牛耳っていた。あり得るかもしれない未来を舞台とした泣かせ。読ませどころであろう背景世界のアイデアは面白い。ただ、そこで語られるドラマ(世界の秘密を知る老人が、次世代に未来を託す)はありきたり。情緒的な描写は悪くないのだが。

デイヴィッド・D・レヴァイン「トゥク・トゥク・トゥク」
 奇妙な慣習を持つ惑星にやってきてしまったセールスマン。なぜいまさら、50年代のシェクリイを何のアップデートも無く再演せねばならないのか。謎。

コリイ・ドクトロウ「I:ロボット」
 行方不明になった娘を探すロボット嫌いの警官が、追跡の果てに辿り着いた場所で待っていた人物は。地味な出だしに、ありきたりな近未来社会物かと思っていたら、後半に予測不能の急展開が待っていた。これは良い方向に予想を裏切られた。

 連載陣では、山田正紀と朝松健の作品が、時代がまったく違うのに頭の中ですっかり混ざってしまい往生した。

6月30日
 大森さんの日記で存在を知った、オリエント工業のラブドール展と石田黙展がどちらも6月いっぱいだったので、まとめて行ってきた。ついでに、行き損ねていた「パフューム」が早稲田松竹でかかっていたから、これも。

 デリーでカシミールカレーを食べた後、まずはヴァニラ画廊で「人造乙女博覧会」。狭い部屋に10数体のラブドールが展示されていた。Web上の記事や、数回買った「アイドロイド」の誌面で、どんなものか知ってはいたが、間近で見ると印象の鮮烈さが違う。ここまで、存在感のあるものとはね。デフォルメのしかたが実に上手く、不気味の谷をわたることに成功しているドールが多いという印象。ただ、使うところはちょっと想像しにくいかも。なんというか、畏れ多いというか、もったいないというか。
 意外とパーティションラインが目立つのは予想外。確かに材質からして消すのは難しそうだ。技術がある購入者なら、自分で消したりするのかな。2体だけ触ることが出来るドールもいたので、うちのいったいとおずおずと握手。旧世代のほうらしい。指先の感触は「なるほどシリコンだねえ」というもの。骨の感じられないやわらかさはやや不気味。
 500円の入場料と引き換えにもらった16ページほどのリーフレットは、オリエント工業の歩みをまとめたもの。全篇カラーの誌面からは力のこもり具合が伺える。たぶん、オリエント工業の持ち出しなんだと思うが、金かけてるなあ、と。会場の画廊はこの手の展示が多いからか、片隅で駕籠真太郎の同人誌なども売っていた。20歳未満入場禁止のイベント(IDチェックあり)のチラシなんかも描いていたり。いろんな仕事をやっているのだなあ。

 20分ほどで会場を出て、すぐ近くでやっていた石田黙展を観る。恥ずかしながら名前も知らなかった画家なのだけど、言われてみれば書影で見覚えのある絵もちらほら。暗い画面にたたずむやや抽象化された人物たちの、情念のこもった表情に気圧される。

 つづいて早稲田松竹に移動して「パフューム」。せっかく併映だというのに、「ラン・ローラ・ラン」を観損ねたのはちょっともったいなかったか。
 「パフューム」は期待以上の出来。例によって序盤は寝てしまって観ていない(< どうも予告が退屈だとそのまま冒頭十分ほどを見逃し気味なのだ)のだけど、最初の殺人からは一度も退屈することがなかった。原作のまじめぶったおかしさを見事に再現している。父娘を追跡するシーンの追尾映像で噴き出して、クライマックスの壇上でのポーズで噴き出して、ラストの聖餐で感動しながらも噴き出して。
 しかし、こんなにギャグシーン満載の映画なのに、場内からほとんど笑いが聞こえなかったのは謎過ぎる。なんで笑わないんだ、みんな。

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