ラウンジの素敵なひと
S.S.コロンビアには、テデイ・ルーズヴェルト・ラウンジがある。ここはお酒を楽しめるほか、軽食とデザート類もある。ここは、東京ディズニーシーの中で私の最も好きな場所のひとつであり、頻繁にゆく場所でもある。私はここのカウンターをバーとして利用している。ここへは平日の夜、会社帰りに行くこともある。日中とはまた違った雰囲気でお酒を楽しむこともできる。といっても、外が明るいか暗いか、休日か平日かの違いだけで店内はほとんど変わらない。ただ、会社帰りに一杯飲んでパーク内を歩くのも気分的に良いものである。
年明けのある日の夜、会社帰りにテディ・ルーズヴェルト・ラウンジに寄った。冬休み期間だからか、パーク内は意外と人が多かった。幸いラウンジの列は長くなく、それほど待たずにカウンター席に座ることができた。ここのカウンターは16席で、柱で4席ごとに区切られている。L型で、入り口近くは壁に直角に4席、続いて壁に並行するように4席×3の12席。合計16席である。柱があるために見通しはそれほど効かない。ついでであるが、この柱は熊の形で、天井を支えている。但し、1頭だけは鮭をかじっていて休息中である。
この一区画の4席、一人で行くと原則相席はない。2人+2人という相席はあるが、ひとりの客同士隣り合うことは原則ない。4席あるから一人のお客を4人、というのはないわけで、普通に言う相席はない。その分、お客が多いと待たされることになるがまあ仕方がない。ひとりで行くと見知らぬ人と隣同士になることはない、というのはありがたい一方で、他のバーでときどきある隣の見知らぬ人との話す楽しみがないことになる。お酒の席とはいえ、テーマパーク内なのでほかのお客に絡む変な客、もう少しはっきり言うと、女性に話しかけるような男性はいないと思うが・・・。
ちなみに例外的な相席は、一人で来ている常連さん同士の場合である。
さてこの日の席はカウンターのやや奥であった。3区画並ぶなかでの真ん中、その奥側の席であった。ここはバーテンダーさんが飲み物を作るのが見えやすい席でもある。
座ったときのカウンター、同じ区画にはカップルが、そして柱の向こうにもカップルが座っているのが見えた。休日にはいつも見かける常連さんも平日のこの時間には見かけない。他のお客もゆっくり飲んでいるようで、これもまた休日昼とは違うようにも思えてくるどこかホテルのバーの雰囲気に思えてくる。
お酒を傾けるうち、いつのまにか隣は空席になっていた。そして、柱向こうのカップルも出て行った。もともと遅めに入ったのでラウンジ全体で空席も増えてきたようだ。そのためか、とても静かになってきた。
このとき、ふとカウンターの奥に目が向いた。ひとりの若い女性が座っている。ここのカウンター、ひとりで来るお客も少なくない。ひとりの人にはカウンターを利用している人も多い。彼女が座っているのはカウンターの中で一番奥の席。カウンターの奥の角には他と同様熊の形の柱がある。その手前である。端の席だからかちょっとななめに、ややこちらに向いて座っている。暗めの店内で白っぽい明るい色の服、少し茶色く染めたショートヘア、とても雰囲気に似合っている。銅色のカウンターには白いコースターの上に足の長いグラス、鮮やかな赤い色の飲み物が置かれている。ここだけ明るくなっているのでは、と思えるくらいだった。
バーテンダーさんとの会話があるようには見えないので常連さんではないのかもしれない。だけど・・・このバーカウンターにとても似合う女性である。
こういう女性、ちょっと話しかけたくもなるがもちろんそれはしない。お客同士の会話は決してないわけではない。私の例では、常連さんともあるし、ご夫婦で来ておられる人ともあった。そんな、話しをするのに抵抗がないような一部の人だけである。一人客の若い女性に話しかけることはもともととても少ないのだが・・・。(ということは少しはある?)
常連さんではない・・・でも、また見かけたいな、と思う雰囲気のある女性であった。
キツネの舞浜便りに戻る。