システム調整の話 マーメイドラグーンシアター その3


マーメイドラグーンシアターの話が多いが、私が好きでよく行くからである。ご容赦願いたい。

マーメイドラグーンシアターは、シアター形式のアトラクションだけどシステム調整も時々ある。結構複雑なシステムになっているので仕方のないことでもある。これは、ある日の最終回ショーでのことである。

マーメイドラグーンシアター、キングトリトンのコンサートではアリエルは途中から出てくる。このときアリエル役が誰なのか? 私には大いに気になる。アリエル役、少なくとも10人はいる。みんな似たような感じなので見分けはつきにくいのだが、それでも何人かは見分けられる。今回、出てくるときの手や尾びれの動かし方で約4週間ぶりに会う人と分かった。彼女、実は私を覚えてくれている数少ない人のひとりである。
ショーの途中で最初に目が合ったとき、私が軽く手を振ると口を軽く開け、嬉しそうな表情でにっこりとしてくれた。”久しぶり~”と言っているようにも思える。その後何回か目が合い、そのたびに手を振る。彼女も振り返してくれる。マーメイドラグーンシアターでの演技、基本的にはみんな同じだけど微妙な違いがあり、彼女の場合目が合うタイミングも分かっているので直前に手を振れる。
ショーが続いて終わりが近くなる。ここでアリエルは私の席の真上に来る。ここで彼女は真下を向く(アリエル役によって違う)。そのとき目を合わせ、素早く手を振る。彼女も手を振り返してくれる。今回、いつもより長い間目が合ったように感じる。他のアリエル役とも目が合うことがあるが、みんな素敵な目である。

そして、その直後フランダーがアリエルと軽く接触したように見えた。当然、いつもはこんなことは起こらない。なぜ? と思ったところでアリエルが動いていないことに気が付いた。そして、音楽も止まり、システム調整のアナウンスが流れた。アリエルはワイヤーで吊られいるが、そのワイヤーが止まってしまったようだ。アリエルの場所、私の真上付近のままである。
スステム調整、まれにあるが、その場合アリエルは観客に向かって手を振ったりしてくれる。彼女、他のアリエル役以上に尾びれや手を積極的に振ってくれた。客席の左右を向き、なるべく広い範囲に手を振っている。逆立ちして後ろに向かっても手を振っている。そのたびに客席から声が上がる。これだけお客のことを思っていてくれるのかな、と思えてうれしくなる。アリエルは私のほぼ真上なので尾びれを振るたびに風が当たる。尾びれで起きる風があたること、これはよくあることだけど、今回は至近距離だけに結構な風である。そして一度、下に向いて私に向かって手を振り、小さく投げキッスしてくれた。周りの人は分からなかったかも、と思えるような小さな投げキッスである。これは嬉しい。
そのあと、彼女は不意に拍手をした。なぜ? と思ってアリエルの向いている先を見ると、セバスチャンとフランダーが退場するところだった。それに気が付いたか、アリエルに続いて会場全体に拍手が起きた。彼女のやさしさと心配りに感心した。
その後、アリエルはステージの中央に移動、高さも上がり、続いて退場していった。アリエルの退場時、いつも拍手が起きるが今回はそれ以上に大きな拍手だった。ショーは中止となったが、ショーが普通に終わったとき以上に楽しめた。他にも同じように感じた人も多いと思う。
そして私は・・・、彼女の魅力が一層増したように感じた。


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