多くのリーダーの仕事の中には、明らかに管理職の任務と言われるものを含んでいます。しかし、管理職者が部下に接する場合に、必ずリーダーでなければならない任務か、と、いいますと
答は、以下の管理職任務の分析項目にみられます。
一、製作と実施方法の「企画と定義」
二、諸活動の「組織化」
三、職権と責任の「委託」
四、望ましい結果を得るための「管理統制」
五、目標に向かっての進展度の「監督」
六、総括的「指示と命令」
七、政策「方針の徹底」
八、次期管理者の「養成」
九、多岐にわたる要素と仕事の「結果の系統化」
十、仕事をする部下全員の『激励と高揚』
この最後の項目こそは、管理者にしばしば無視されてきたものです。
しかし、この点においてであればこそ、リーダーは、ただの管理者以上の存在であると自己主張が出来ます。リーダーは、激励がもっとも重要な仕事の要素であり、これを心理的に健全に利用することが大切だと云うことを充分に理解しています。
リーダーは、管理者として部下に接するときは、欲求と目的を合致させようとする影響力を、触媒のような使い方で用います。
ですから「リーダーと仕事をするのは、実に素晴らしい」
という賛辞は、管理者がリーダーのレベル、つまり触媒作用の目的に達したとき始めて得られるものです。
また、リーダーは、人間のエネルギーを結集させて、仕事が満足に協調的に遂行されるように仕向けます。
この協調の中に、新しい力の文字どおりの創造性があります。そして消極性は消え去り新しいレベルが達成されます。冷淡は熱意に変わります。
さらに、無関心はやる気自身に道を譲り、惰性は活気に追い出されます。これらを成し遂げられるのが、リーダーシップの特質なのです。それは、スイッチが入った結果回路の隅々まで電気信号が確かめられ、宇宙ロケットの複雑なエンジンを始動させる行為にも似ております。グループに属する人々は、強く自己推進力を刺激されて、パワーアップし、調子をあげていくのです。
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